マイナスさまの悲劇
◎おひとりさまに憧れる不幸な結婚生活に縛られる人たち
話を生涯未婚率に戻しますと、この生涯未婚率という数字、1980年頃は、100人に1人~3人くらいでした。しかし、どんどん増えたのです。
ちなみに先ほどの数字は男性のもので、女性は18%くらいだそうです。日本では女性がひとりで生きていくのは本当に大変です。男女の賃金格差が大きい。だから、無理して結婚する人もいるんだろうと思います。ですから、女性で結婚しないで、何とか経済的に自立できている人は経済的には決して不幸な人でないはずなんです。そんな女性も、おひとりさまは一大勢力です。
100人に1人が生涯未婚の時代は昭和、令和は4人に1人の時代となれば、すでにおひとりさまは「普通」です。
100人いれば100人の人生があって、もう一度申し上げると、結婚していても、幸せな人もいれば、そうでない人もいる。離婚してなくても、家庭内離婚、家庭内別居、リアルな別居生活と、仲たがいする人も少なくありません。仲たがいする人たちをつなぎとめているものは、たいていは2つです。
1つは子ども、もう1つは経済的な理由です。
子どもは教育費だけで、大学まで行くとなると公立コースでもひとり1,000万円はかかります。
これが、お受験だ、習い事だとなると青天井です。
家庭教師のトライや進学塾のどこそこも、夏の講習が無料と宣伝していてもその先はちゃんと請求書が回ってくる講習が始まります。
夫は憎くても子どものために離婚を諦めている人は少なくありません。
また、いまだに日本の年金制度は夫婦で老後を迎える方がはるかにトクにできています。私は、そんな古い時代の家族の形にしがみついているから、年金のお金が足りなくなってしまうのだと考えているのですが、それは事実です。
変えたほうがいいのに、国民がそれを真剣に求めない。特に女性が損をしているのに、女性が年金制度を変えて欲しいと求めないのです。
このため、特に女性に多いのですが、老後のお金のために、見たくもない旦那と同じ屋根の下で暮らし、炊事、洗濯、掃除などをひたすら我慢しながら生きている人もいるのです。お金のために生涯、好きでもない夫にしがみついて生きていく。私は年金制度を今の時代に合わせたものに変えるべきだと考えています。
こういう不幸せな虚像夫婦は少なくない。では、夫は果たして幸せなのでしょうか? 自分のことを妻はもう愛してくれていない。旅行に行こう、食事に行こうと誘っても断られたり、ついてきても楽しそうでない。たった一度の残された人生。自分なりの自由で幸せな時間を紡いでいった方がいいのではないでしょうか?
そんな無理やり一緒の生活を送っている夫婦はシニア層だけではありません。若い夫婦にも妻や子どもの心はすっかり離れていて、住み込みの子連れお手伝いさんのような状態になっている。家に帰っても安らげない。働く金の大部分は妻子のために使っている。だから、自分の将来の資産形成もできない。そういう人達を数多く見てきました。
私はこのような人たちを、おひとりさまならぬ、マイナスさまと言ってます。