本記事は、やまもとりゅうけん氏の著書『金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています。
仕事をしているのに、財布のお金は減っていく
サラリーマンが「稼げない」原因は、給与を低く抑えられていることだけではありません。
勤務時間以外にかかる経費が「経費」と認められず、仕事をしているはずなのにお金が減ってしまったり、そのくせ税金を多く引かれてしまったりするのも大きな要因です。
仕事に一生懸命な人であれば、終業後や休日に仕事を家に持ち帰ることも少なくいでしょう。
しかし、パソコンにかかる電気代や、仕事をしながら飲むコーヒー代、とっさの事態のときにかける電話代は、会社に経費申請をしても通りません。「家では集中できないから」とカフェやファミレスで仕事をしたとして、その飲食代ももちろん通らないでしょう。
仕事をしているはずなのに、あなたのお財布からは、お金が出ていくのです。そして税務署は、あなたが会社から得ている手取りからそのような出費があるとはつゆほども知りませんから、あなたの所得額に容赦なく、税金をかけてきます。こんな理不尽な話はないでしょう。
理不尽な思いをするのは何も、仕事を持ち帰った場合に限りません。
コロナショックを契機に、仕事のテレワーク化が一気に加速しました。
1週間のうちの数日は家で仕事をすることが増えましたが、その分の家賃を「仕事で使ったオフィス代」として経費申請するのも、税務署に「収入を得るために使った必要経費」として申告するのも難しいというのは、よく考えたらおかしな話です。
スーツやネクタイ、靴、靴なども同様で、サラリーマンは「仕事にしか使わないもの」なのに自腹で買わなければならない事態に多く直面します。
フリーランスや副業サラリーマンは「節税メリット」が大きい
その点、フリーランスとして働いている人や、サラリーマンでも副業をしている人は、家で仕事をする場合の家賃・水道光熱費・通信費の一部や、スーツ・靴・鞄といった「仕事でしか使わないもの」は、経費として確定申告し、所得税・住民税の軽減につなげることが可能です。
副業をしていない「純正サラリーマン」と、「副業サラリーマン」や「フリーランス」には、キャッシュフローに大きな違いが出てくるのです。
先ほど述べたように、2018年度のサラリーマンの平均給与は441万円です。
一方、フリーランスエンジニアの平均年収は862万円(フリーランスエンジニア専門エージェント「レバテックフリーランス」に登録して稼働するフリーランスエンジニアの場合。2020年3月現在)。ざっと見るだけで400万円以上の開きがあることにまず驚くのですが、話はそこで終わりません。
サラリーマンの平均給与は「額面で」441万円ですから、手取額となるともっと低くなるはずです。さらにそこから、家やカフェ、ファミレスで仕事をする場合の経費やスーツ・靴・鞄などの経費を自腹で払うわけですから、可処分所得はさらに下がります。特定支出控除もありますが適用条件が現実的とは言えず、税金はこれらの経費を考慮せず、手取額にまるまる掛かってきます。血も涙もありません。
一方のフリーランスエンジニアは、家で仕事をする場合の家賃・水道光熱費・通信費の一部や、スーツ・靴・鞄、さらに打ち合わせにかかった飲食代や交通費などをすべて経費として申告できる可能性が高いです。
税金は、全収入からこれらの「経費」を除いた所得に対してかかります。サラリーマンと比べると、とても「理に適った」かたちで課税されるのです。
経費に関する考え方は、サラリーマンをしながら副業を行う場合も同様です。副業をしている場合も、副業に使った分の家賃・水道光熱費・通信費は「経費」として計上することができます。「純正サラリーマン」よりも収入は増え、節税メリットを多く受けられるのですから、キャッシュフローは格段によくなります。
何も、いきなり「サラリーマンをやめてフリーランスになれ」とは言いません。
ただ、「サラリーマンを続けながら副業を始め、ちょっとずつ収入を増やし、理不尽に取られていく税金をちょっとずつ減らしてみる」くらいならば、考えてもいいのではないでしょうか。
もちろん、「それでも自分は、純正サラリーマンでいく!」という決断を下すのならば、それで構いません。ただ、その決断は、サラリーマンでいることのメリットとデメリットを十分に把握し、吟味してから下してほしい。私はそう考えるのです。
「じゃあ……副業を始めてみようかな。……でも、何をどう始めればいいの?」
心配いりません。「副業を成功させるために何を準備するべきか」「どのような副業を始めるべきか」は前著『人生逃げ切り戦略』に詳しく記したのですが、本書でもその内容を踏襲しつつ、内容の重複になりすぎないように説明していきます。