本記事は、やまもとりゅうけん氏の著書『金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています。

月の手取りが「17万円」。あなたならどう使う?

電卓とお金と貯金箱
(画像=Hiro/stock.adobe.com)

2年ほど前のことです。

住んでいるマンションの1階にあるコミュニティスペースで、地域の人たちを集めたワークショップが開かれました。

テーマは「お金の勉強」。面白そうな気がしたので、妻と参加してみることにしました。

参加したのは20人ほど。下は小学生から、上は結構年配に見える方までいます。

講師は冒頭、次のようなお題を出しました。

「あなたがもし24歳で、月の手取りが17万円しかなかったら、あなたはお金をどう使いますか?」

さて、あなたならどう考えるでしょうか。

「収入の枠を広げる」という発想を持つ

ワークショップでは、考える時間が十分に与えられた後、それぞれが「お金の使い方」の配分を紙に書き出し、発表していきます。

私が驚いたのは、私と妻を除く全員が、まず「いくらを貯金に回すか」を考えていたことです。

17万円のうち、まず3万円を貯金に回す。すると14万円余る。その14万円の中で、さぁどう生活していこうか――ワークショップに参加しているほぼ全員が、このような考えのもとに、お金の使い方を決めていました。

一方、私と妻が思い描いた貯金額は「ゼロ」。これには逆に、周りの人たちのほうが驚いていました。

「この夫婦……将来、大丈夫なのかな」と感じた人もいたのかもしれません。

しかし私は、「まず貯金する」という周りの人の考え方のほうに「将来、大丈夫かな」と不安を覚えました。

そもそも「手取りが17万円しかない」なんて、人生の中でなかなかの緊急事態なわけです。一刻も早く、この状況を抜け出さなければならない。

ならば、貯金なんてしている場合ではありません。ほかの人が「貯金に回そう」と考えている3万円分を使って、本を読むなり、セミナーに参加するなり、人と会うなりして自分を変え、もっと稼げるようにならなければいけないのです。

「17万円」という収入の枠を広げなければ、未来はない。私たち夫婦はそう考えたわけです。

かたや周りの人たちは、「17万円」という収入でいかに生活を継続するかを考えた。「収入の枠を広げる」という考え方はまったくありません。

だから私は、周りの人たちに「将来、大丈夫かな」と不安を覚えたのです。

貯金は単なる「死に金」でしかない

ちなみに、講師が「もしも月収17万円だったら、お金をどう使う?」というお題を投げかけた真意は、「月収17万円だ、と考えたらこれだけ節約し、貯金までできるのだから、あなたたちの収入でこの生活をすれば、もっと貯金に回せるでしょ?」というもの。要は、このワークショップ自体が、私たち夫婦の考え方とはまったく相容れないものだったのです。

「お金の勉強」というテーマなのだから、投資や資産運用について学べるのかな……と考えて参加したのですが、中身はただの「節約指南」「貯金指南」。学べる内容は何一つありませんでした。

それどころか、小学生の参加者がいる中で「節約指南」「貯金指南」が行われたことに危機感を覚えたほどです。

小さいうちに「まず貯金」という価値観を植え付け、収入の枠を決めた生き方を教えるのは、その子のためになりません。

私は、自分の子どもには、「月収17万円しかない貧乏の状態からお金持ちには、自己投資をして自分の価値を高め、より稼げるようになるしかない。貯金している場合ではない。自己投資だ」と教えたいと考えています。

貯金は単なる「死に金」。お金のないときの貯金ほど意味のないものはありません。

子どもの「お年玉」はどんどん使わせるべき

人が「貯金」という考え方を植え付けられるのは、お年玉をもらい始めるころからでしょうか。

自分がもらったお年玉を、お父さんお母さんが預かって、貯金に回す。この一般的な行動こそが、「お金に関する感覚」を磨く機会を奪い、将来的に「資本主義から置き去りにされる大人」を増やす。私はこう考えています。

私は、自分の子どもには、お年玉を好きなように使わせます。

お年玉ほど有益な「お金の勉強」の機会は、そうそうないからです。

大人にとっては、一晩飲んだだけで消えてしまいそうな「5000円」という金額も、子どもにとっては大金です。日々、100円そこそこのジュースやお菓子にしか触れていない子どもにしてみれば、体感で10万円くらいの価値があるでしょう。

たったの5000円で、子どもに「10万円のお金を動かす感覚」を身につけさせることができる。そのような教育の機会は、ほかにありません。間違いなく、5000円以上の価値があります。子どもにはお年玉を全額渡し、どのように使うかを自分で考えさせるべきです。

たとえ無駄遣いに終わっても構いません。反省から学ぶことができれば、立派な勉強です。

「大金をはたいて、つまらないゲームを買ってしまったな。次はもっと、ゲームの中身を調べて、本当に面白そうかどうかじっくり考えてから買うことにしよう」。このような反省の積み重ねで、お金に対するリテラシーは磨かれるのです。

大人になってからの無駄遣いより、子どものうちの無駄遣いのほうが金銭的ダメージも少ないですし、学びも多く得られます。

お年玉は貯金に回さず、どんどん使わせるべきです。

金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン
やまもとりゅうけん
ワンダフルワイフ株式会社代表。1987年大阪生まれ。神戸大学経営学部卒業。新卒で東証一部上場企業にプログラマーとして就職したのち、27歳でフリーランスエンジニアとして独立し、サイバーエージェント大阪支店等に勤務。2017年、オンラインサロン「人生逃げ切りサロン」を開設し、3年間で参加者5500人超まで拡大。「ビジネスYouTuber」としても活躍。チャンネル登録者数は2020年現在約10万人を誇る。著書に『「知っているかいないか」で大きな差がつく! 人生逃げ切り戦略』(KADOKAWA)。

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