この記事は2023年2月3日に「月刊暗号資産」で公開された「ロッテ、ブロックチェーンを用いたカカオ農園関連の実証実験を開始」を一部編集し、転載したものです。
国内菓子メーカーのロッテは1日、ブロックチェーンを活用したガーナ産カカオ豆のトレーサビリティおよび児童労働リスク情報を監視する実証実験を開始することを発表した。
具体的には、トレーサビリティ情報と児童労働リスク情報をブロックチェーン上で統合する検証を行うという。本実証実験には、カカオ豆のサプライヤーとして三井物産株式会社とETC Group Limited、ブロックチェーン開発企業DLTラボス株式会社が参加する。
ロッテによると、ガーナ国内におけるカカオ豆のサプライチェーンは複雑かつこれまでほとんど電子化されていないという。そのため、詳細なトレーサビリティ情報を取得することは難しいとされてきた。
こうした背景から、ロッテはこれまでCLMRS(児童労働監視改善システム)による支援を行ってきた。しかし、CLMRSによって得られる児童労働リスク情報と調達したカカオ豆のトレーサビリティ情報を紐づけることはできていない。さらに、サプライチェーンの児童労働リスクの詳細を把握することはできていなかった。
今回の取り組みでは、調達したカカオ豆のサプライチェーン上の児童労働リスクを把握することを目的に実証実験を行う。より詳細なトレーサビリティ情報を所得するため、ETC Group Limitedの協力を得て、専用倉庫を現地に確保し、農家コミュニティIDをもとにトレーサビリティ情報を取得し、ブロックチェーン上に記録する。ブロックチェーンを利用することでサプライチェーン上の作業負担を最小限に留め、情報の信憑性を担保した上で、カカオ豆のトレーサビリティ情報を一括管理するという。
また、児童労働リスク情報とトレーサビリティ情報を、農家コミュニティIDを用いてブロックチェーン上で統合することで、サプライチェーン上の児童労働リスクの可視化が可能になると説明している。
本実証実験の流れとして、フェーズ1(2022/2023クロップ=収穫年度)では、現地専用倉庫での分別流通と農家コミュニティIDを取得するオペレーションの確認、そしてブロックチェーンシステムの開発とデータ入力の検証を行う。フェーズ2(2023/2024クロップ)では、現地専用倉庫でトレーサビリティ情報をブロックチェーンシステムへ入力するオペレーションを確認し、現地訪問して実態調査を行う。
将来的には、本トレーサビリティシステムにより、児童労働リスクの可視化ができるようになるため、児童労働リスク低減に向けたより効果的な介入が可能になることが期待されるという。また、詳細な農家コミュニティ情報が入手できるようになるため、消費者への農家の情報開示も可能となる。
農家コミュニティの位置情報を衛生からの映像情報と統合して解析することで、サプライチェーン上の森林破壊やアグロフォレストリー化のモニタリングにも応用が可能だと説明した。(提供:月刊暗号資産)