2022年の米国市場は株式と債券が下落し、株式60%、債券40%に投資する伝統的な「60/40戦略」は約15%の損失を出しました。主に株式や債券を保有している投資家がそれらと相関性が小さいオルタナティブ資産、たとえば、不動産やコモディティ、ヘッジファンドなどに投資をしていれば、リスク分散が可能となります。この記事では、オルタナティブ投資の特徴やそのメリット/デメリットを解説します。
オルタナティブ投資とは
オルタナティブ投資とは、株式や債券などの「伝統的資産」とは異なる資産への投資です。デリバティブなどの金融派生商品、ベンチャーキャピタル、不動産、ヘッジファンド、プライベート・エクイティなどがあります。
オルタナティブ投資は、「伝統的資産」とは相関がない(低い)という特徴があります。そのためポートフォリオの分散化やリスク調整後リターンの向上が期待できるというメリットがあるのです。一方、流動性が低い、評価が難しい、手数料が高いなどの欠点もあります。
オルタナティブ投資はファンドを活用して行われることがほとんどです。ヘッジファンドは「顧客資産を運用するファンド」であるという点で投資信託と似ています。しかし、以下のように情報開示やファンド・マネージャーの評価方法が異なります。
投資信託 | ヘッジファンド |
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規制が厳しい | 規制が緩い |
不特定多数の投資家が対象 | 少数の特定投資家が対象 |
毎日、純資産価格を計算 | 月次/四半期でパフォーマンスを評価 |
成功報酬制度はほとんどなし | 成功報酬制度が一般的 |
情報公開義務がある | 情報公開義務はあるが縛りは緩い |
ベンチマークを指数とした相対評価 | 絶対リターンの評価 |
一部を除き、ほとんどのヘッジファンドは私募形式です。公募の投資信託のように不特定多数の投資家を相手にするのではなく、富裕層や機関投資家など少数の特定投資家をターゲットにしているからです。
また、多くのヘッジファンドはオフショアやタックスヘブンなどに籍を置き、規制や税制面からの縛りを緩め、運用の自由度を高めています。