本記事は、野口敏氏の著書『2度目の会話が続きません』(サンクチュアリ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=nenetus/stock.adobe.com)

とっておきの話なのに盛り上がらない……

大ネタより小ネタのほうが食いつきがいい

大ネタが興味をひくわけではない

話題を提供するとき、驚くような大きな話でないと、相手が興味を持ってはくれないと誤解をしている人が多いようです。

たとえば、「今度ニューヨークに行くんだ」とか、「宝くじで100万円あたりました」と言えば相手は驚くでしょうが、意外とそのあとが続かなかったりします。

なぜなら、そんな体験は相手が持ち合わせていない場合が多いからです。

共感してもらえることが何より大切

実は話題は、誰もが経験するような小さいことのほうが広がりやすいのです。

たとえば混んでいる電車に乗って、たった1駅で座れたことはないですか? 目の前に座っている人が何かごそごそしはじめて、いかにも降りる風情……。

すると、その人が次の駅で降り、あいた席に座れた瞬間、どんな気分でしょうか? 「今日はなんていい日なんだ!」と思いますよね。

反対に、目論見が外れて、「あくのはそこだったか!」と、別の席があいて悔しかった経験もあるでしょう。

このような話をすると、「それ! わかります!」と、その人のエピソードを話してくれるでしょう。 同じ体験を語り合うので、共感が生まれ一体感も出ます。話題は小さいほうがいいのです。

【×】大きい話題を話す

今度ニューヨークに行くんだ

えーすごいね(返せる話題がない……)

驚きはしますが、そのあとが返しにくいです

【○】あるある体験を見つける

(電車で目の前に座っている人が降りた! 1駅で座れるなんて今日はなんていい日なんだ!)

今日は電車に1駅乗っただけで座れたんです。ラッキーでした

多くの人が同じような経験をしているので、話が広がります


(あとから乗ってきた人に座られた、そっちに立っておくべきだった……)

今日は電車でぜんぜん座れなかったんです。あとから乗ってきた人はすぐに座れたのに。ついてなかったなぁ

POINT

大ネタよりも、日常の小ネタに注目しよう

人に話せるような出来事がありません

心が少し動いたことを話題にする

小さな幸せと小さな不幸

そんなに話題にできることなんて起こらないよ!」と思うかもしれませんが、大丈夫です。必ず盛り上がる話題の見つけ方があります。

私の教室では、生徒さんたちに「小さな幸せ」か「小さな不幸」をお話ししてもらうようにしています。

この「小さな幸せ」と「小さな不幸」という切り口で日常を見ると、いつもの生活のなかにも実は話せることがたくさん見つかるのです。

「何かを感じた」一瞬を切りとる

昨日は夜中に眠れなくて、ネットで奈良の大仏のライブ配信をずっと見てたんですよ。あと少しで悟るところでした」

これは、「口ベタ」を自認する生徒さんのとても楽しい「小さな幸せ」のお話。一方、

「出がけに今日はすき焼きよと言われて、寄り道もせずに真っ直ぐ家に帰って家の玄関開けたら、ギョーザの匂いがした。すっかり裏切られました」

これは、「小さな悲しみ」のお話です。こんな話をされたら、思わずほっこりしますよね。

本来、私たちの心は、その一瞬一瞬で何かを感じ取っています。話がうまい人は、その小さな動きをおもしろがり、話しているのです。忙しくしているとついつい忘れてしまうものですが、自分の心の動きから、素敵な話題は生まれます。

【○】小さな幸せを話す

昨日は夜中に眠れなくて、ネットで奈良の大仏のライブ配信をずっと見てたんですよ。あと少しで悟るところでした

かすかな心の動きがつかめるようになれば、話題に困ることはなくなります

【○】小さな悲しみを話す

出がけに今日はすき焼きだと言われて、寄り道もせずに真っ直ぐ家に帰って玄関を開けたら、ギョーザの匂いがしたんです。すっかり裏切られました

食べ物の話は誰にでも経験があるので、相手も話しやすいです

【×】無駄なフォローをする

出がけに今日はすき焼きだと言われたのに、帰ってきたらギョーザの匂いがしたんです。まあ晩ごはんのことなんて、どうでもいいし、ギョーザも好きなんでかまわないんですけどね

無駄なフォローはしないで、「すごく期待したのに悲しかった」と極端に話したほうがおもしろくなります

POINT

日常の「小さな幸せ」「小さな不幸」をピックアップ

2度目の会話が続きません
野口敏
1959年生まれ。㈱グッドコミュニケーション代表取締役。関西大学経済学部卒。
1989年に男性にコミュニケーションを教える花婿講座を日本で最初に開講。マスコミから200社以上取材を受けるも、「男が結婚のために勉強するなど情けない」と世の中から猛バッシングを受け、時代を先駆ける者の苦難を経験。以後、テーマをコミュニケーション全般に転じ、コミュニケーションスクールTALK&トークを主宰したが、苦労が20年間続く。
この間、研究と経験を地道に積み重ね、それを基に2009年『誰とでも15分以上 会話がとぎれない! 話し方66のルール』(すばる舎)を発刊。シリーズ120万部を突破。以後、著書は18冊を数える。
現在も大阪、東京、リモートでコミュニケーション講座を開催。「習ったその日にうまくなる」をテーマに、雑談力、スピーチ力、説明力UPの講座を開き、全国から生徒が絶えない。
公式YouTubeチャンネルでは定期的にライブ放送を開いている。

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