本記事は、野口敏氏の著書『2度目の会話が続きません』(サンクチュアリ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
共通の話題が見つかりません!
趣味、学校で探すよりも天気とカレンダーの話
天気の話題はきっかけにふさわしいテッパンの話題
人と話をするときに「まず共通の話題を探せ」などとよく言われます。しかし目の前にいる人と「出身地」「出身校」「趣味」などが同じという偶然は滅多にあるものではありません。
実はもっと身近に、誰とでも必ず共通する話題があるのです。
それが「天気」です。
「いいお天気ですね」「午後から雨みたいですね」「暑くなりそうですね」と話しかければ、誰もが「そうですね」と返してくれるはず。
あなたの親しみの気持ちが伝われば、相手も快く「そうですね」と返してくれるでしょう。
この「……ですね」「そうですね」のやり取りが共感となり、肯定となってお互いの心をやさしく開いてくれます。
カレンダーも共通の話題になる
天気以外では、カレンダーも必ず共通するいい話題になります。
「もう5月ですね」「連休ですね」「今年も半分終わりですか」「もうすぐ給料日ですか」「まだ水曜日ですか」など、暦や日程を話題にすれば、誰もが「そうですね」と答えてくれます。
しかし、みなさんの疑問はこのあとにあるのでしょう。
「いい天気ですね」「そうですね」のあと、どうして話をふくらませたらいいのか。
でも大丈夫。この疑問も、とても簡単に解決できるのです。
- 【×】ムリに共通の話題を探す
スポーツは何かなさいますか?
特にやっていません
そうですか……
ムリに探して共通の話題が見つからなければ、焦りが表情に出て、お互いに気まずい感じになることもあります
- 【○】共通していることを話題にする
-
いい天気ですね
そうですね
POINT
広がる会話は自分語り→質問ではじめる
「天気の話」って広がらなくない?
天気の話から「私ネタ」に持っていく
天気の話をずっとするから盛り上がらない
お伝えしたように、話しかけるときの話題は、天気やカレンダーの話でよいのです。
「夏らしくなってきましたね」
「本当に」
問題は、このあとの会話の広げ方です。
いちばんやってはいけないのは、「このあと1週間ぐらいは続くそうですよ」と、天気予報のような会話を続けることです。
情報だけの会話では親しみも生まれず、話も続きません。
ではどうしたらいいかというと、ここから「私の話」「あなたの話」につなげるのです。
話題転換は自分のエピソードから
きっかけは、自分からはじめることです。
「夏らしくなってきたので、私は……」とひと言話をします。
「まだ半袖のシャツを押し入れから出していない」
「実は私、暑いのが苦手なんです」
「うちの子も、来週から学校でプールがはじまるみたいです」
など、このあとは話がさまざまに広がっていきます。
相手の人も「そうそう、私……」と自分の話をすることもできるし、「ええっ! では○○ですか?」と質問をしてくれるかもしれません。
- 【×】天気予報のような会話を続ける
夏らしくなってきましたね
このお天気は、このあと1週間ぐらいは続くそうですよ。
そうですか……
情報だけの会話になってしまい、話が続きません
- 【○】お互いの話に広げる
-
夏らしくなってきましたね
本当に
まだ半袖のシャツを押し入れから出していないんですよ。いつも衣替え遅いんです、私
そうそう私も……
自分の話からはじめることで、相手も話しやすくなります
POINT
季節や天気とからめて、自分から話題をつくろう
誰にでも通じる話題ってあるんですか?
日常のあるあるを話題にする
「暑がり」「寒がり」から話を広げる
きっと読者の多くは、「暑がり」「寒がり」からどうしたら話が広がって楽しくなるのかわからないと、考えているかもしれません。
ここではその秘訣についてお話をします。
まずは率直に「○○さんは暑いのは得意? 苦手?」と話を向けてみましょう。
暑い、寒いなどは誰にでもある感覚なので、これこそが共通の話題となります。もうこれだけで雑談がはじまるのです。
自分がついしていることを思い出す
さあ、ここからが腕の見せ所。話を広げるためにこんなことを考えてみましょう。
自分が「暑くて」「寒くて」ついしていることを想像してみます。
「本当はクーラーの設定温度を22℃にしたい」
「(妻)にリモコンを好きにさせてはもらえないな」
「夏バテは食欲にくるな」
想像したことを質問してみる
自分が想像したことを相手にも尋ねてみます。「あなたはどうなんですか?」というニュアンスで聞いてみましょう。
職場での雑談でも、その方法は同じ。まず自分がつい思ってしまうこと、してしまうことを発見します。
それを同僚にも聞いてみればいいのです。
「昼休憩の何分前から、仕事モード終わってる?」
そこから思いもしない話に発展していくのが雑談。とても楽しい思いができるはずです。
「クーラーの設定温度は何度にしているの?」
「クーラーのリモコンの決定権は誰にあるの?」
「夏バテは、体のどこにくるの?」
あなたが想像したことは、相手のイメージを見事に刺激します。すると思ってもみなかったエピソードがこぼれ出すのです。
「家内がトイレに行ったすきにクーラーの温度を1℃下げる」
「たった1℃の違いを家内は瞬時に見抜く」
「家内がいないスキに温度を下げ、リモコンを隠す」
「家内はトイレに行くときも、リモコンをエプロンのポケットに入れて行くようになった」
……と、日常の中で起きるミニ事件を聞かせてもらえます。
冬になれば「寒いのは苦にしない? 苦手?」と聞いてください。
POINT
まず自分がつい思うこと、していることに目を向ける
1989年に男性にコミュニケーションを教える花婿講座を日本で最初に開講。マスコミから200社以上取材を受けるも、「男が結婚のために勉強するなど情けない」と世の中から猛バッシングを受け、時代を先駆ける者の苦難を経験。以後、テーマをコミュニケーション全般に転じ、コミュニケーションスクールTALK&トークを主宰したが、苦労が20年間続く。
この間、研究と経験を地道に積み重ね、それを基に2009年『誰とでも15分以上 会話がとぎれない! 話し方66のルール』(すばる舎)を発刊。シリーズ120万部を突破。以後、著書は18冊を数える。
現在も大阪、東京、リモートでコミュニケーション講座を開催。「習ったその日にうまくなる」をテーマに、雑談力、スピーチ力、説明力UPの講座を開き、全国から生徒が絶えない。
公式YouTubeチャンネルでは定期的にライブ放送を開いている。※画像をクリックするとAmazonに飛びます