本記事は、野口敏氏の著書『2度目の会話が続きません』(サンクチュアリ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

会話
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

話がうまい人は何が違うの?

言葉は短く、間をうまく使う

聞き手に映像を見せる技術

共感についてお伝えしました。そのなかで、共感上手というのは、相手の話を映像にして思い浮かべながら聞いているものだと言いました。

実は、話し上手な人というのは、この「聞き手に映像を見せる力」を持っているのです。

この力があると、どんな平凡な話でも、いきいきとしたおもしろい話になります。そうすると、わざわざおもしろい話題を用意する必要もなくなりますよね。

そこで聞き手の人の頭に映像が浮かぶ話し方についてご紹介していきます。

一気に話してはいけない

映像が浮かぶ話し方のワザのひとつは、言葉を短くすることです。たとえば、

「近所のスーパーでイチゴを1パック198円で買ったんですけど、家でなかを開けたら半分腐ってたんです」

という話をしたいとき。エピソードを一気に伝えないようにして、短く話します。

「近所のスーパーでね」

ここで少し間をあけて、聞き手を見ます。すると聞き手は思わず「はい」とあいづちを打ちますよね。このあいづちを待って、

「イチゴを買ったんですよ」

また間をあけて、聞き手の「はい」とか「ええ」といったあいづちを待ちます。この調子で会話を続けていきます。

映像が共有できると、笑いも取れる

「近所のスーパーでね」
「はい」
「イチゴを買ったんですよ」
「ええ」
「1パック、198円!」
「えっ、安い!」
「家でなかを開けたら……半分腐ってたんです」
「えー!」

このように話すと、たいしたことのないエピソードにもきちんとオチがつきますよね。

それは、聞き手の頭のなかにイチゴの映像、198円という値段、開いたときの半分腐った映像が浮かび、残念な気持ちが伝わるからです。

これはもう映画を観る感覚です。まるで自分に起こった出来事のように話に入り込むことができます。

このようなスキルを見ていきましょう。

POINT

映像が浮かぶように話すには、「短く話す」が原則

オチのつけ方がわかりません!

相手のあいづちを待つ

情報が多いと映像が浮かばない

映像が浮かぶ話し方のコツは、言葉を短く切って、間を取ることです。

なぜそうしたほうがいいのか、理由をもう少し詳しく説明しましょう。

まず、言葉を短くしたほうがいいのは、情報が多いと理解するのにせいいっぱいになってしまうからです。処理が追いつかず、パッと映像が思い浮かばないのです。

映画も登場人物が多すぎて、場面展開が早いとついていけないですよね。話も同じなのです。

間を取る勇気が大切

次に間を取る理由は、相手のあいづちを待つためです。なぜあいづちを待つかというと、あいづちは「話が浮かんだよ」というサインだからです。

だから、話すことにいっぱいにならずに、ぜひ相手の反応を待つ余裕を持ってみてください。

実際、あいづちを打ちやすいちょうどいい間をあけると、その時間が意外なほど長く感じると思います。

でも、聞き手にとってはそれくらいの間が必要だということです。

そのタイミングがわかってくると、どんな話でも自信を持って話しやすくなりますよ。

【○】短い言葉で間を取って話す

うちの近所にあるスーパーね

はい

そのスーパーで1パック198円のイチゴを買いまして安物売りで有名なんですよ

はいはい

家で開けたらね

ええ

半分腐ってたんです

うわー!

言葉を短く切ることで、相手の頭に映像が浮かびます

2度目の会話が続きません
(画像=2度目の会話が続きません)

POINT

間が長いなーと感じても、相手のあいづちを待とう

話はどこで区切ればいい?

舞台設定と登場人物で考える

映像化に必須の2大要素

「短く区切って話しましょう」と言いましたが、どのように区切ると効果的でしょうか?

「あのね」「この前ね」と、あまりにも短く区切って話すのはもたついてしまって逆効果ですよね。

基本的な考え方としては、聞き手が「舞台設定」と「登場人物」をイメージできるよう、丁寧に伝えるということを意識してみてください。

例を使いながら見ていきましょう。

舞台設定が相手の頭のなかに整うまでは丁寧に

「年末に飛行機で帰省をしたんですけれども、搭乗口にはすごい行列ができていて、並んでいたら、うしろに並んでいたおじいさんが、一緒にいたおばあさんに“こんなに混んでたら座れないかもしれんな”と言っていました」

この話、ゆっくり聞けばおもしろい話なのですが、こんなに一気に話されるとなかなか映像が浮かびませんよね。

映像化に何より大事なのが、「舞台設定」です。つまり、どんなシーンの話なのかということです。

「年末に飛行機で帰省をしたんです」
「はい」
「搭乗口はすごい行列で
「年末ですものね」

こうして相手のあいづちを待ちながら状況を丁寧に伝えると、イメージしやすくなりますね。さらに、「登場人物」も同じように伝えます。

「そうなんですよ。で、並んでいたら、私のうしろにおじいさんとおばあさんが並んだんです」
「ええ」
「するとおじいさんがおばあさんに言ったんです」
「はい」
「こんなに混んでたら、座れないかもしれんな……って」

このように話すと、オチがしっかりとつき、「○○さんってお話がうまいね」と思ってもらえるでしょう。

おもしろいエピソードなのに、いまひとつウケがよくないなぁと感じるときは、聞き手に場面と登場人物を上手にイメージさせられているか、考えてみてください。

大事な場面が伝わったら、重要ではない部分はテンポよく話してかまいません。

とっておきのエピソードや、ここで人を笑わせたいというときにもぜひ使ってほしい話し方です。

POINT

場所と登場人物を、しっかりイメージしてもらう

2度目の会話が続きません
野口敏
1959年生まれ。㈱グッドコミュニケーション代表取締役。関西大学経済学部卒。
1989年に男性にコミュニケーションを教える花婿講座を日本で最初に開講。マスコミから200社以上取材を受けるも、「男が結婚のために勉強するなど情けない」と世の中から猛バッシングを受け、時代を先駆ける者の苦難を経験。以後、テーマをコミュニケーション全般に転じ、コミュニケーションスクールTALK&トークを主宰したが、苦労が20年間続く。
この間、研究と経験を地道に積み重ね、それを基に2009年『誰とでも15分以上 会話がとぎれない! 話し方66のルール』(すばる舎)を発刊。シリーズ120万部を突破。以後、著書は18冊を数える。
現在も大阪、東京、リモートでコミュニケーション講座を開催。「習ったその日にうまくなる」をテーマに、雑談力、スピーチ力、説明力UPの講座を開き、全国から生徒が絶えない。
公式YouTubeチャンネルでは定期的にライブ放送を開いている。

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