本記事は、ゆうパパ氏の著書『ほったらかし投資FIRE』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋・編集しています。
配当金を出す米国企業、出さない日本企業
ではなぜ、米国株はこんなにも配当金が出て、日本企業は出ないのでしょうか。理由は大きく2つです。一つは「配当金に対する考え方の違い」、もう一つは純粋に「米国経済が強い(だから企業に配当金を出す余裕がある)」という理由です。ここでは、まず1つ目の「配当金に対する考え方の違い」から解説していきます。
実際、日本にも配当金を出している企業はありますが、やはり多くの企業は利益が出ても内部留保をする傾向にあります。一方で、アメリカの場合は利益が出ているなら自社株買い、または配当金を出すことで、「株主への還元」を行うという考え方が根強くあります。
では、なぜアメリカの企業には「株主への還元」の考え方が根強くあるのでしょうか。その背景には、「株主が企業に対してどれほどものを言うか」ということがあるのではないかと私は考えています。例えば、日本では株主総会で株主が声を上げ、それにより社長が退任に追い込まれるケースはあまり聞きません。しかし、アメリカではこういったことが日常茶飯事に起こります。
今一番わかりやすい例が、メタ(旧・Facebook)です。メタは今、何をしているかというと、メタバースと言われている仮想現実の世界に対して4か月間で1兆円の投資をしています。しかし、実は株価は下がっていますし、業績も下がっている状況なのです。これに対して、今、メタでは株主から強く声が上がっています。
要は「それほどの規模の投資をするなら、株主還元してくれてもいいのでは」という声です。たしかに、メタのような大企業がメタバースに1兆円も投資することは、メタバースという業界の成長にはいいと思います。しかし、メタバースがビジネスになるのはあまりに先すぎる話かもしれませんし、将来花開くかどうかもわかりません。
そこで、今、「年間の設備投資金額を5,000億までにしてほしい」と大口の株主からクレームが入っているのです。日本ならここまで株主が経営に口を挟むことは少ないですが、アメリカではこういった議論が世論を巻き込んでなされます。
企業が利益を出しているときに、株主が「株主還元はないのか」と声を上げるのがアメリカ。だから、たくさん配当を出す企業が多い。一方で、日本の株主はあまりこういった声を上げることはありませんので、企業としては少しだけ配当金を出して、ほとんどは企業の中に留保するというケースが多くあります。「企業がどれだけ株主還元をすべきか」という点で、アメリカと日本では考え方が大きく異なるのです。
日本にいながら米国高配当株に投資するのが一番オイシイ
株主が声を上げるのですから、自分が企業の側だったらと想像すると大変です。しかし、日本で働いている我々は当然ながらそのような大変な思いはしなくて済みます。一方で、アメリカで「株主還元」の考えが強いおかげで、米国株に投資する私たちは、その恩恵だけを受けることができます。メリットばかりなのです。
つい最近も、日本の大企業である三菱商事が決算を発表したのですが、「1兆円の利益」という結果でした。当然、株主は沸きに沸いて、「これは増配だろう」という空気になったのですが、ふたを開けると増配はたったの5円でした。1兆円も利益が出ているのに株主還元が5円。残りは全部、内部留保になってしまいました。1兆円の利益を出している三菱商事でもです。これが日本企業です。
一方で、マクドナルドは2022年の増配を10.1%と発表しました。2018年にも14.9%の増配を実施しています。この「株主還元」に対する考えは、明らかにアメリカと日本では風土が違うのです。ですから、米国株に投資をするというスタンスでいけば、こういった米国企業のシビアな株主還元に関する恩恵を間接的に得ることができるのです。
投資歴は13年、60ヵ国の海外渡航歴など、世界を舞台に『時間とお金に縛られないFIREライフスタイル』を実現。しかし、TOEICは250点しかなく英語が弱点。
現在は米国株で豊かなライフスタイルを送る仲間を増やしていくため、次世代の金融教育にも力を注いでいる。SNSフォロワー総数約8万人のインフルエンサー。Twitter、Clubhouse、Voicyなどのメディアで『ゆうパパ』として活躍中。