本記事は、ゆうパパ氏の著書『ほったらかし投資FIRE』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋・編集しています。
なぜFIREするなら「インデックス投資」より「配当投資」か?
ここまでお話を進めてくると、「インデックス投資にすればいいのに」と思われることでしょう。それも一理あります。インデックス投資は、FIREの本を出している方たちが決まってお勧めしている金融商品です。
インデックス投資をお勧めしない理由の一つは、プロローグでお伝えした通り、FIRE達成に時間がかかるためです。さらに、インデックス投資を勧めているFIREの本を読み進めてみると、インデックス投資だけではFIRE後の生活費を賄うことができず、結局、副業も追加でしなければならなかったり、給料の8割を投資に回すという過度な節約をしなければならないものが多くあります。「FIREを目指す」ということにおいては、インデックス投資は、結局、「時間がかかる」部類に入ってしまうと思います。
また、これら以外にも、インデックス投資によるFIREをお勧めしない理由があります。それが「『出口』のタイミングをはかるのが難しい」という点です。
仮にインデックスファンドでFIREできるだけの資金が作れたとしましょう。インデックスファンドの場合、配当のように一定期間ごとにお金が払い出されるわけではありません。ということは、「FIREできるだけの資金が作れた」と感じられるときが来て、いざFIRE生活を始めるとなったら、今度は「資金を取り崩す」という作業が必要になるのです。その決断ができるかどうか……私は難しいと思います。
というのも、私は今までインデックスファンドで作った資金を取り崩しながらFIRE生活をしている人に会ったことがないのです。
なので理論的には理解できるのですが、果たして実際問題としてインデックスファンドで積立をしてきただけで、実際に自分の手を動かして投資をしてこなかった人が、お金を減らす「資金の取り崩し」という決断ができるのかどうか、はなはだ疑問です。
そう言えば、インデックスファンドでFIREを目指したはいいけれども、取り崩しをすることにどうしても抵抗があり、資金が作れた今もFIREに踏み切れない人がいる、という話を聞いたことがあります。取り崩すというのはそれくらい精神的にも大変なことなのだと実感させられました。
その点、配当投資なら、毎月配当金が自動で口座に入ってきます。もうFIREできるだけの資金が作れたと思ったら、それまで再投資に回していた配当を生活費に充てればいいだけですから、資産を取り崩す必要がありません。
FIREを達成するまでは、月に1回、口座に入ってきた配当を再び投資に回す作業が必要にはなりますが、ものの3分もあれば終わります。これ以外の毎月一定額を投資する作業は、一番最初に証券口座で「自動積立設定」をしてしまえばあとは“ほったらかし〟でできるので、FIREするまでは、この「月1回3分の再投資の作業」だけで大丈夫なのです。
「今」を楽しめるのも「インデックス投資」より「配当投資」のいい点
ここまで、FIREに向けて資産作りをしている期間は配当を再投資することを前提にお話を進めてきました。
しかし、早くFIREを達成したい人にお勧めしているというだけで、全員が必ず再投資に回さなくてはいけないという意味ではありません。年収が高くて資金的な余裕がある人や、資金作りに縛られてやりたいこともやれないのはつらいと感じる人は、配当を「今」使うという手もアリだと私は思っています。それも含めて本人の「自由」なのです。
この選択が取れるのも配当投資の利点です。よくFIREのための原資5000万円をインデックス投資で作るために月20万円頑張って積立をし、それゆえに今の生活が犠牲になっている、という話をSNSで見かけます。家族や友達と旅行に行ったり、キャンプをしたりすることを「将来、FIREしたときにやればいいや」と後回しにして、それよりも原資産を大きくすることを優先してしまったり……。
もちろん、インデックス投資でも毎月の投資金額を減額することで今を楽しむお金を捻出することは可能だと思います。しかし細かい調整をしている方はあまり見受けられません。どちらかと言うと目標積立金額というゴールに向かって一直線に駆け抜けている方が多いのではないでしょうか。
ところが配当投資なら、手元に一度お金が来るわけですから、再投資する以外に「使う」という選択肢を選ぶことができます。もちろん、毎月配当が入るたびに全額使ってしまうようでは、いつまで経ってもFIREは達成できません。それを避けるべきなのは言うまでもありません。
ただ、FIREを目指しているからと言って、過度に今の生活を犠牲にする必要はないのではないかとも私は思います。「今しかない時間」「今だからこそ使うべきお金」 というものがあると思うからです。
子どもがいる人の場合、大きくなったら一緒に遊んでくれなくなるとか、大学受験で家族旅行どころではなくなるということもあるでしょう。「今しかない時間にお金を使う」ということを、大切にするのは決して悪いことではありません。その選択ができるのも配当投資なのです。
私が思うに、若さというのは何よりの資産です。若いからこそできること、年を取ったらできないことというのが必ずあると思います。30歳の今だからこそできることを 犠牲にして、さあ60歳で経済的に自由になったからそれをやろうか、となったときに本当にできるかどうか……。そんなふうにも思います。ましてや現代社会は「70歳まで働くことができる社会」です。お金の不安がある人はずっと労働者であり続けなければなりません。
投資歴は13年、60ヵ国の海外渡航歴など、世界を舞台に『時間とお金に縛られないFIREライフスタイル』を実現。しかし、TOEICは250点しかなく英語が弱点。
現在は米国株で豊かなライフスタイルを送る仲間を増やしていくため、次世代の金融教育にも力を注いでいる。SNSフォロワー総数約8万人のインフルエンサー。Twitter、Clubhouse、Voicyなどのメディアで『ゆうパパ』として活躍中。