FX「パウエル議会証言。日本は東京CPI低下で金融緩和継続か。注目は2月上中旬の貿易統計」
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「パウエル議会証言。日本は東京CPI低下で金融緩和継続か。注目は2月上中旬の貿易統計」

ドル円=133-138、ユーロ円=142-147、ユーロドル=1.04-1.09

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨11位(11位)、株価9位(10位)、2月東京消費者物価低下で金融緩和継続か。注目は2月上中旬の貿易統計」
 円は11位で弱いままだ。日経平均は先週1.73%上昇し年初来7.02%となり世界の20市場のうち9位。ドル円は3週間ぶりの陰線。日足ではボリバン2σ上限から離れ、週足では20週平均線、月足では5か月平均線が頭を押さえた。
 さて2月東京消費者物価は前年比3.4%となり1月の4.4%から大幅低下した。政府の電気・ガス代支援策影響した。コアが3.3%、コアコアが1.8%。政府日銀はこれまでの超金融緩和政策を継続しそうだ。世耕弘成・自民党参議院幹事長も「今は超緩和的な金融政策からの脱却を検討する時ではない」と語った。
 
 今週の日銀政策決定会合でも現状維持となろう。1月の国際収支の発表があり、経常収支は7000億円程度の赤字が予想されているが、既に発表されている1月貿易統計が3.5兆円の赤字だったので驚きはない。注目は2月上中旬の貿易統計で、上旬では輸出の伸び率が輸入のそれを上回っていたので、その継続性をチェックしたい。超金融緩和は継続されるだろうが、貸出より預金がはるかに多い日本では、消費者は預金金利の受け取りがなく、消費低迷が長期化し、それゆえ製造業も伸びず、日本経済の低迷に繋がっているのではないか。日本と違ってスイスは金利を上げ、貿易黒字も維持している。超金融緩和の弊害は意外と大きいと考えるが、為政者には是正する気持ちはないので、その方向で投資していきたい。自分の正論より市場の動きをつかむのが重要だ。

*米ドル「通貨2位(6位)、株価(NYダウ)16位(16位)、先週はドルは全面安で2位から3位へ後退。今週はパウエル議長議会証言と雇用統計」
 ドルは先週、ほぼ全面ドル安で、通貨番付では2位の座を人民元に譲り3位へ後退した。1月の個人消費支出(PCE)物価が前年同月比で5.4%上昇したことによるドル高が一服した。ボスティック・アトランタ連銀の総裁が今夏の利上げ停止の可能性を示唆したことや2月ISM非製造業景況指数が低下したことがあった。一時4%台に乗せた10年債利回りは先週末に再び4%を割り込み、米株式指数を大きく上昇させた。

 FRBは半期の金融政策報告書で、高インフレが経済にもたらす課題を「痛感」しているとし、2%のインフレ目標達成を「強く確約」すると表明した。ただ、これまで堅調だった個人消費の伸びは緩和していくと予想している。賃金が堅調に増加しているにもかかわらず、物価上昇などの影響で2022年のインフレ調整後の税引き後所得は1.4%減少したと指摘。消費者心理は「引き続き極めて低い」とした。その中で、労働力不足が続く状況は続いている。パウエル議長は同報告書に基づき、議会証言を行う。

 また2月雇用統計の発表がある。1月は非農業部門雇用者数が驚きの51.7万人増となったが、季節的要因も剥げ落ち、2月は20万人程度の増加となる見込みだ。

*ユーロ「通貨7位(8位)、株価2位(3位)DAX)、金利先高観はあっても、株価は強調推移し経済先行きに楽観的か」
 ユーロは強くもなく、弱くもない。ECBは南欧の中銀を除いてはラガルド総裁を始めとしてタカ派が多い。インフレのピークの22年10月の10.6%から23年2月は8.5%まで低下しているが、目標の2%までは遠いのでタカ派にならざるを得ないのだろう。ECB議事要旨には「過度の利上げの危険性を心配するのは時期尚早」とあり、金利先高観はあっても、欧州株は強いのが意外だ。ギリシャが19%高、独仏伊スペインは10%超えと、利上げを織り込んでこなしている。通貨ユーロは、米国経済動向主導で動くが、欧州の経済指標も力強さはないが、改善している。

 需給的には、エネルギー価格高騰はあっても独の貿易収支は黒字を続けたし、最近のユーロ圏の貿易収支も改善している。大騒ぎはしているが、エネルギー価格の海外依存度が日本よりはるかに低いことも需給改善が速やかに行われユーロを支えているのだろう。
 ユーロドルの週足も20週平均線で持ちこたえたので、当面は底堅く推移するのではないか

*ポンド「通貨5位(6位)、株価10位(8位)、PMI改善と北アイルランド問題合意でしっかり」
 引き続き好調な経済指標と、ECBに比べて高い4%の政策金利がポンドを支えている。2月のサービス部門PMI改定値は、好不況の分かれ目である50を昨年8月以来初めて上回り、8カ月ぶりの高水準となった。
新規受注は昨年5月以来の大幅な伸びを記録。西欧、米国の需要増大を受けた輸出回復が寄与した。雇用も拡大した。製造業とサービス業を合わせた総合PMIは48.5から53.1に上昇。7カ月ぶりに50を超えた。

 また、スナク英首相とフォンデアライエン欧州委員長がブレグジットを巡る争点となってきた英領北アイルランドの物流規則を巡り合意したと発表しことは好感された。スナク首相は英国とEU間の「国境という感覚」を排除することで合意したと表明。離脱協定を一部見直し、北アイルランドでの物流・関税規則を緩和する。

 金融政策では、ベイリー英中銀総裁は、利上げ局面が終わりに来ている可能性を排除しない一方、今後の政策について確たる見通しを示すのは時期尚早との見解を示した。「現段階では利上げを終えたと示唆することも、一段の利上げが必要との見解を示すこともすべきでない」と述べた。次回3月23日の政策委員会で0.25%の利上げを決定するとの見方が金融市場でやや後退したが、今年後半に政策金利が4.75%まで上昇するとの予想は変わっていない。「インフレ率はわずかに低下し、経済活動と賃金はわずかに上昇したが、いずれも「わずか」であることを強調しておく」と述べた。

*豪ドル「通貨8位(7位)、株価14位(13位)、弱いCPI、GDP、賃金指数で下落。政策金利は0.25%利上げに留まるか」
 今年は、対中貿易関係の改善と、中国のゼロコロナ政策解除にともなう中国の製造業PMIの大幅上昇で、豪ドルは一時2位まで上昇していたが、その後失速している。4Qの賃金価格指数の伸びが3.3%と予想の3.5%を下回ったこと、1月の消費者物価が前年比7.4%上昇と、伸びは22年12月の8.4%から鈍化し、予想の8.0%も大きく下回ったこと、また22年4QのGDPが、1年ぶりの低い伸びとなったことによるものだ。

 貿易が好調だったものの、金利上昇や高インフレに圧迫された。景気は今後さらに減速する見通しだ。前期比0.5%増で、伸び率は22年3Qの0.7%から鈍化し、予想の0.8%を下回った。貿易を除いたベースで経済は0.5%縮小し、新型コロナウイルス対策のロックダウン以降で初めてのマイナス成長となった。 RBAは、3月7日の理事会で政策金利を0.25%引き上げ3.6%とする見通し。さらに2Qにあと1回利上げをして年内は休止するとみられている。インフレは低下しているとはいえ目標からは、乖離していると言う他の中銀と同じ理由による0.25%の利上げとなる見込み。
 先週は米ドル全面安で対ドルでなんとか下げ止まった。対円では底堅い。

*NZドル「通貨10位(10位)、株価15位(14位)、リセッション懸念でも利上げする苦しさ。ただ円より強い」
 円よりは強いが、全体では10位と弱い。株価も冴えない。中国経済指標の改善で、強含む場面もあったが、やはり悪材料が多く伸びきれない。ただ対円では円が弱すぎるのでしっかりしている。2月の消費者信頼感指数は79.8と、前月から3ポイント低下した。強いインフレ圧力の中、生活費と金利の上昇が家計を圧迫している。家計の支出が高騰する家賃に回され、小売りや接客部門が課題に直面している。
小売の主要指標である高額家庭用品の購入に今が適した時期と考えている回答者の割合が7ポイント低下し、新型コロナウイルス感染拡大抑制のためロックダウンが行われた2020年以来、最低の水準となった。

 貿易赤字は続き22年4Q小売売上は前年比で4%の減少となり、前期の4.9%増から大きく落ち込んだ。
シルク中銀総裁補は2月の0.5%利上げについて、最近の気象災害の影響を考慮したが、インフレ抑制に注力する姿勢を崩さなかったと説明した。
中銀は今年2Qに景気後退入りし、年内は後退期が続くと予想している。シルク氏は、利上げが深刻な景気後退につながらないことを望むが、決定はデータに基づいて下す必要があると述べた。