本記事は、白濱龍太郎氏の著書『ぐっすり眠る習慣』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

起床
(画像=taka/stock.adobe.com)

遅くまで仕事するより早く寝たほうが圧倒的にいい

仕事をしていると、帰り際に、「明日、朝イチで会議することになったから、〇〇の資料よろしく」などと無茶な要求をしてくる上司もいます。今の時代を思えば問題になりそうな言動ですが、部下としてはそれに応えて徹夜を覚悟することもあるかもしれません。

でも、さすがに徹夜はよくありません。少しでも(できれば3~4時間)睡眠をとるべきです。時間が足りないなら普段どおりの時間に眠り始め、早く起きるのがいいでしょう。つまり、資料をつくってから朝方に3~4時間眠るのではなく、いつもどおりの時間に就寝して3~4時間だけ眠り、早く起きて資料づくりをする、ということです。

人は眠ることによって疲れを取り除き、身体の修復再生を行っています。傷を負った細胞の修復には、脳の下垂体かすいたいから分泌される成長ホルモンが欠かせません。成長ホルモンは、眠りが深まり最高レベルの睡眠になると分泌が始まるのです。そのためのゴールデンタイムは「眠りはじめの4時間」になります。

脳を休ませ、身体の疲れを回復させるのに重要な深睡眠も、同じく眠り始めた3~4時間のなかでやってくることがわかっています。

つまり、成長ホルモンが多く分泌されて、深いノンレム睡眠も出現するのが、眠りはじめの4時間。理想的な睡眠時間にはほど遠いのですが、その時間だけでも睡眠を確保することで、心身の健康を維持する最低限の睡眠を確保することは可能です。

疲れた目を温めると副交感神経が優位に働く

目を使いすぎることから起こる眼精疲労は、正常な睡眠を妨げる要因のひとつです。これは、眼球そのものが疲労しているわけではありません。目を動かす筋肉が疲れることで血行が悪くなることから生じているのです。目がしょぼしょぼしたり充血したりして、次第に頭痛や肩こりなどの症状に発展します。

眼精疲労は、自律神経の働きにも影響を及ぼします。眼精疲労になると目のまわりの筋肉だけでなく、顔や首の筋肉も緊張している状態です。そうなると脳への血流が減ることになり、血流が減った脳はストレスを感じ、交感神経が優位になってしまうのです。

快適に眠りにつくためには、なんといっても就寝前に目を疲労させないことに尽つきます。就寝前にスマホの小さな画面でゲームをすることは避けましょう。もちろん、パソコンの使用もよくありません。

ただ、仕事の都合上、家で仕事を片づけてから就寝することもあるかもしれません。そんなとき、目の疲れを取るのに手軽な方法があります。それは、蒸しタオルで目を温めること。

蒸しタオルのつくり方は簡単です。濡れたタオルをよく絞り、くるくると巻き、電子レンジを500Wにして1分温めるだけ。温めた蒸しタオルを目の上にのせて、10分ほどそのままにします。温度の目安は、ほんのり温かく「気持ちいいなあ」と感じる程度です。もし、「熱い」と感じるようなら、タオルを開いて少し冷ましてから使ってください。蒸しタオルの効果によって、目の周辺が温まり血行がよくなることを実感できるでしょう。緊張もほぐれてリラックスできるため、ぐっすり眠るのに大切な副交感神経が優位に働くようになります。

ぐっすり眠る習慣
白濱龍太郎
睡眠専門医
筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。公立総合病院睡眠センター長などを経て、2013年に「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立。これまで2万人の睡眠に悩む人を救ってきた。自身がオンオフを切り替えるのが苦手だったという過去から、いかに睡眠が日中の活動に影響するかを実感し「睡眠投資」という考えを発信。マイクロソフト、PHILIPSなど世界的企業での講演や、東京オリンピックでは選手村で選手をサポートするなど、ビジネスやスポーツ界からの信頼も厚い。慶應義塾大学特任准教授、国立大学法人福井大学客員准教授、武蔵野学院大学客員教授、日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ、ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員などを兼歴任。『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』『いびきを自分で治す方法』(アスコム)など著作多数。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「めざましテレビ」(フジテレビ)などメディアにも広く出演している。

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