本記事は、白濱龍太郎氏の著書『ぐっすり眠る習慣』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

理解
(画像=Tiko/stock.adobe.com)

寝つけない4つの理由を知っておく

たまに寝つけないくらいならまだいいのですが、頻繁ひんぱんに寝つけないことが繰り返されるようになると深刻です。きちんと原因を見つけて、早めに対処しておく必要があります。

では、寝つけない原因はどこにあるのでしょうか? 寝つけない原因は複数考えられますので、まずそれを知っておくことで解決しやすくなるでしょう。

【身体的原因】

就寝時に病気の症状が出現することによって、寝つきが悪くなります。呼吸器疾患による咳や発作、レストレスレッグス症候群(むずむずあし症候群)からくる不快感、高血圧による胸の苦しさなどです。

また、降圧剤こうあつざいや抗がん剤などの薬の影響から眠りにくくなることがあります。

【精神的原因】

ストレスは心理的な緊張状態を引き起こし、交感神経が優位になります。そのため脳は興奮した状態になり寝つきを悪くします。うつ病などの精神疾患も、寝つきの悪さの原因となります。

【生理的原因】

体内時計が乱れると寝つきが悪くなります。昼夜逆転の生活をしている人は、体内時計が乱れているおそれがあります。

また、就寝前の刺激物の摂取も原因のひとつ。カフェイン、タバコのニコチンには覚醒作用があります。

【環境的原因】

睡眠はとても繊細せんさいな身体活動なので、音や光、気温にも影響されます。これらのほか、寝具が自分に合っていない場合も同様です。

寝つきの悪さが深刻な状況になり、日常生活や働くうえで影響が出るようになったら、ためらわずに医療機関を受診してください。受診するタイミングとしては、睡眠にかんする不調が1カ月以上続いており、改善の工夫を行っても解消されない場合というのが目安です。

睡眠障害で通院したいとき、睡眠専門医が近くの病院にいればベストですが、いない場合は、内科を受診してください。睡眠障害に気分の落ち込みなどが関連している場合は心療内科、睡眠時無呼吸症候群など呼吸に関連する不眠であれば呼吸器内科、耳鼻咽喉科じびいんこうかが対応しています。

コロナ禍をきっかけに、オンライン初診を原則解禁する動きが厚生労働省からアナウンスされており、これは新たな診療形態のひとつとして恒久的こうきゅうてきなものになりそうです。ビデオチャットを用いた初診受付の体制が整った睡眠専門医が見つかれば、うまく活用するのもいいでしょう(ただし、条件・制限があります)。

ぐっすり眠る習慣
白濱龍太郎
睡眠専門医
筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。公立総合病院睡眠センター長などを経て、2013年に「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立。これまで2万人の睡眠に悩む人を救ってきた。自身がオンオフを切り替えるのが苦手だったという過去から、いかに睡眠が日中の活動に影響するかを実感し「睡眠投資」という考えを発信。マイクロソフト、PHILIPSなど世界的企業での講演や、東京オリンピックでは選手村で選手をサポートするなど、ビジネスやスポーツ界からの信頼も厚い。慶應義塾大学特任准教授、国立大学法人福井大学客員准教授、武蔵野学院大学客員教授、日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ、ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員などを兼歴任。『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』『いびきを自分で治す方法』(アスコム)など著作多数。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「めざましテレビ」(フジテレビ)などメディアにも広く出演している。

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