責任ある株主の力

非上場でも上場でも、ファミリービジネスの株を保有している人は責任ある株主だと言える。会社の経営が厳しい時は、自らの個人資産を投げ打つ覚悟を決めているという意味では、有限責任の会社を経営しているが、意識としては無限責任の株主に近いだろう。それに対して有限責任の株主は、うつろいやすいお金を儲けるマシンとしてしか企業を見ていない株主であるとも言える。

アダム・スミスが『国富論』の中で、株式会社は2つの無責任、すなわち株式を持っていない経営者の無責任と有限責任制度における株主の無責任を内包すると主張した。これに照らして言えば、ファミリービジネスを支えている株主は、実質的には無限責任を持つ株主と言えるのだ。つまり、会社の経営が行き詰まり、誰もお金を出してくれないような時に、自分の個人資産を出してでもその会社のミッションの実現や存続を守ろうとするのがファミリービジネスを所有する一族である。そこには、自己実現や、地域へのコミットメントや、一族のアイデンティティとしての価値も含まれている。

理念あってこそ強くなるファミリービジネス

ここで見てきたファミリービジネスの強さは、すべて一族の理念によって支えられている。一族の理念には、次のような諸要素が不可欠となる。どのような社会課題を、どのような方法で解決し、誰にどのような付加価値を実現し、その利益を社会にどのように還元するのか?

この機会に、ファミリービジネスを所有するオーナーとして、今一度自らの存在を原点に立ち返って確認してみてほしい。その上で、次回はファミリービジネスの永続化がもたらす価値について深掘りしていきたいと思う。

文・山田ちとら

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