主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年3月13日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼11日(金)の為替相場
(1):日銀金融政策決定会合 現状維持
(2):独CPI わずかに減速
(3):英経済指標 多数発表
(4):米2月雇用統計
(5):SVB経営破綻 リスク回避の動き
▼11日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:SVB破綻で不安定な動き継続/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
11日(金)の為替相場
期間:11日(金)午前7時10分~12日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀金融政策決定会合 現状維持
日銀は金融政策の現状維持を決定。短期金利を-0.10%、長期金利を0±0.5%に誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC)にも修正を加えなかった。一部には政策修正への警戒感があったことで、円売りが優勢となった。その後、黒田日銀総裁が退任前の最後の会見に臨み、過去10年の大規模な金融緩和について「2%物価目標の実現に至らず残念」としながらも「日本経済の潜在成長力が発揮され金融緩和は成功」と振り返った。なお、今後については「出口戦略、論じるのは時期尚早」とし「新たな方針での金利形成定着にはある程度時間を要する」とした。また次期日銀総裁である植田氏に対しては「物価安定・金融システム安定に向けた手腕発揮を期待」と発言した。
(2):独CPI わずかに減速
独2月消費者物価指数(CPI)・改定値は前年比+7.6%と前月の+7.7%からわずかに減速。欧州連合(EU)基準の2月CPIも前年比+8.3%と前月の+8.4%から減速した。
(3):英経済指標 多数発表
英1月国内総生産(GDP)は前月比+0.3%と予想(+0.1%)を上回る伸びとなった。ストライキなどの影響で-0.5%だった前月から持ち直した。なお、英1月鉱工業生産は前月比-0.3%(予想±0.0%)、同貿易収支は178.55億ポンドの赤字(予想175.00億ポンドの赤字)だった。
(4):米2月雇用統計
米2月雇用統計は、非農業部門雇用者数が31.1万人増(予想22.5万人増)と堅調だった一方、失業率は3.6%(予想3.4%)に上昇した。平均時給は前月比+0.2%、前年比+4.6%であった(予想+0.3%、+4.7%)。インフレの先行指標とされる賃金(平均時給)の伸びが予想に届かなかったことで米長期金利が低下するとドル売りが強まった。新興テクノロジー企業を主要取引先とする米シリコンバレー銀行(SVB)の資金繰り悪化を巡る懸念も相まって米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ観測が後退。米金利先物市場が織り込む3月米連邦公開市場委員会(FOMC)における50bp(0.50%ポイント)の利上げ確率は前日の70%前後から40%前後へと急低下した。
(5):SVB経営破綻 リスク回避の動き
米連邦預金保険公社(FDIC)はSVBについて、経営破綻し事業を停止したと発表。SVBはカリフォルニア州を拠点とする銀行で、昨年末時点の総資産は約2090億ドルと全米16位の規模だった。米金融システム全体への影響を巡る不透明感から、リスク回避的なドル買いが優勢となる場面もあった。