総括
FX「一時7円割れ、SVB事件でリスク回避の円買い主導。選挙戦開始も経済暗雲」トルコリラ見通し
(通貨7位、株価16位)
予想レンジ トルコリラ/円6.5-7.5
(ポイント)
*一時7円割れる
*SVB事件でリスク回避、トルコが売られると言うより円買いが主導
*5月14日に大統領・議会選挙 大統領発表
*今年は建国100周年
*2月経常収支、15か月連続の赤字
*サウジアラビアがトルコに50億ドルの預金
*先週、今週の指標は改善(除く経常収支)
*来週は政策金利決定 0.5%利下げの予想
*リラは、外貨送金の制限、海外からの援助金・保険金流入で支えもある
*2022年のGDPは5.6%増
*2月の消費者物価は前年同月比55.18%
*北欧2国とNATO加盟巡り、3月9日協議再開
*大統領は利下げ示唆
*国内預金が外貨預金を上回る=リラ化政策で
*外交では問題が多い
*対円では8年連続陰線、今年は僅かに陽転
(野党の大統領候補選出で落ち着くも、SVBの破たんで売られる)
一時、野党の大統領候補選出が決裂し、リラが下落した。その後統一候補が決定しても、SVBの破たんもありリスク回避でリラは売られた。
(5月14日に大統領・議会選挙 大統領発表)
エルドアン大統領は、大統領・議会選挙を5月14日に実施すると正式決定した。従来の予定から1カ月前倒しされる。
エルドアン大統領は「5月14日に大統領と国会議員を選出する投票を実施する」と述べ決定書に署名した。野党勢力は3月6日に大統領選の統一候補として中道左派、共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首(74歳)を擁立することを決めた。
(リラは一時7円割れ、株価は持ちなおし、長期金利は小幅低下)
株価は、野党の統一候補擁立を好感し上昇している。長期金利も野党ならインフレ抑制で金融引き締め策をとる思惑で上昇、11%台で推移している。為替は地震災害の援助金や保険金の流入、リラ化政策が支え、去年まで続いてたリラ最弱の状況は避けられているが、貿易・経常赤字が続くだけに持続性に難がある。
(サウジアラビアがトルコに50億ドルの預金)
先週はサウジアラビアがトルコに50億ドルの預金を置くことが明らかとなり、為替安定策と推測されリラが持ち直した。
(先週の指標は改善)
1月失業率は9.7%で前月の10.2%から改善した。1月鉱工業生産も前年比4.5%増で前月の0.4%減から改善した。
(今週、経常収支など、来週は政策金利)
1月経常収支は引き続き98.49億ドルの赤字。ほぼ予想(100億ドルの赤字)通り
1月小売売上は前年比33.9%増、前月の21.4%増、予想の16.4%増を上回る
2月自動車生産 前年比6%増、前月は23.6%増 予想は2.2%増
来週は政策金利決定 0.5%利下げの予想だがSVB問題を考慮すれば1%利下げもありうるか。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン2σ上限から下限へ反落
日足、ボリバン2σ上限から下限へ反落。雲中へ下落。2月2日-3月13日の上昇ラインがサポート。3月10日-13日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向く。
週足、ボリバン2σ下限から反発。中位で止まる。2月13日週-20日週の上昇ラインがサポート。10月31日週-2月27日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向く、20週線下向き。
月足、11月-12月の下降ラインを上抜く。1月-2月の上昇ラインがサポート。22年10月-11月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から6円台へ沈む。今年は僅かに陽転。
メルハバ
トルコ新政権誕生しても暗雲。日本と似ているところも
もし、野党統一候補が誕生しても、長年続いてきた金融政策を直ぐに変えることは難しいだろう。為替を自由化すればリラの流出を招くし、インフレ抑制で利上げすれば景気に悪影響となる。古い規制にどっぷりと浸かっていた既得権益層からの不満も出る。日銀のYCC同様に市場原理を重視しても急に変えることは難しい。