郵便貯金を放置していると「消滅」のリスク!あなたは大丈夫ですか?
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郵便貯金(ゆうちょ)を長期間取引せずに放置していると、最悪の場合は権利が消滅し、引き出せなくなってしまうことをご存じでしょうか。「自分のお金なのでそんなことがあるはずはない」「自分には関係ない」と放置していると、大切なお金が自分のものではなくなってしまう恐れがあります。

特に郵便貯金の場合は他の金融機関と違って民営化された過去があるため、民営化前と民営化後とでは対応が異なります。大切なお金を守るためにも、郵便貯金の取引をしたことがある方、お金を預けている方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

「ゆうちょ」を放置していると預金がなくなるって本当?

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最初に結論から述べると、条件によっては郵便貯金に預けているお金がなくなってしまう可能性があります。郵便貯金は2007年10月に民営化をしており、お金を預けたのが民営化前なのか、民営化後なのかによって対応が大きく異なります。

リスクの高い順に解説しますので、郵便貯金に残高がある方はまず、その郵便貯金がいつ預けたものなのかをチェックしつつ読み進めてください。

2007年(平成19年)9月30日以前に預けた定額、定期、積立の郵便貯金

最もリスクが高いパターンです。2007年9月30日よりも前に預けた定額貯金、定期貯金、積立貯金が満期後20年と2ヵ月が経過している場合、払い戻しの手続きをしていない場合は権利が消滅します。すでにこの年数を経過している場合は、残念ながら手遅れです。
なお、この「2ヵ月」というのは、後述する催告書が届いてからの猶予期間です。

2007年(平成19年)9月30日以前に預けた通常郵便貯金、通常貯蓄貯金

通常郵便貯金と通常貯蓄貯金、これらは銀行でいう普通預金に近い性質の口座です。2007年9月30日の時点で「最後の取引」から20年と2ヵ月が経過している場合は、権利が消滅します。最後の取引がいつだったのか思い出せない場合は至急行動を取ることをおすすめします。

ただし、最後の取引から20年2ヵ月が経過していない場合であっても最後の取引から10年が経過するとそのままでは払い戻しができなくなっている可能性があります。この場合はゆうちょ銀行の窓口で手続きをすれば払い戻しが可能です。

2007年(平成19年)10月1日以降に預け入れたゆうちょ銀行の預金

2007年10月1日以降に預けたお金は民営化後の預金なので、他の銀行と同じルールが適用されます。最後の取引から10年経過するとATMやネットバンキングサービスである「ゆうちょダイレクト」では引き出せなくなる可能性がありますが、窓口で手続きをすれば払い戻し可能です。

重大なポイントは「2007年9月30日」

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上記の解説をお読みになった上で、あることにお気づきかと思います。それは「2007年9月30日」が重要な節目になっている点です。郵便貯金は2007年10月1日に民営化されているため、9月30日は民営化前最後の日です。

民営化後のルールでは預金が消滅する可能性は低いのですが、民営化前の預金には消滅のリスクがあります。少しでもこの日以前の預金があるのではないかと心当たりがある方は、ぜひ早急にチェックしてみてください。

自分自身だけでなく、亡くなった親や祖父母などが預金をもっていた可能性も含めてチェックしてみることをおすすめします。

自分の預金が大丈夫かチェックする方法

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権利が消滅する可能性がある郵便貯金を保有している人には、「権利消滅のご案内(催告書)」が届きます。この催告書は20年間払い戻しなどの取引をしていない人が対象で、この催告書が届いてから2ヵ月が経過すると権利は消滅します。

まずは古い郵便貯金の通帳やカードなどがないか、次にこの催告書が届いていないかをチェックしてみてください。ご本人だけでなく故人の持ち物も含めてチェックしましょう。

子供のために積立貯金をしている場合、子供本人はその存在を知らないことが多いため、子供のために何か積立や貯金などをしたことがある方はそれもチェック項目に加えてください。

また、この催告書は口座保有者の住所に届きます。口座を開設してから引っ越しをして、住所変更の手続きをしていない場合は旧住所に届くため見落としてしまう可能性があります。この20年間に引っ越しをした人は、旧住所に通知が届いている可能性も疑ってみてください。

もし古い「ゆうちょ」が見つかったら

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もし上記のチェックをした結果、古い郵便貯金の通帳などが見つかった場合は、今すぐ最寄りの郵便局にその旨を伝えてください。

古い口座の場合は通帳やカードなどを紛失していることもあります。こうした書類がなくても郵便貯金に口座があることが明らかな場合は、身分証明書をもって郵便局に行くことで払い戻しの手続きが可能です。

重要なのは、迅速に行動することです。20年2ヵ月が経過すると郵便貯金は権利が消滅してしまいますし、そのことに対する救済措置はありません。

20年が経過した時点で催告書を送るなど、郵便局としても注意喚起はしているので、それでも時間が経ってしまうと郵便局としても対処できないというスタンスです。少しでも可能性があると思われる場合はすみやかに行動することが大切です。

郵便貯金と銀行で取り扱いが異なる理由

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ここまで解説してきた内容は、2007年9月30日以前に預け入れた郵便貯金に関するものです。2007年10月1日以降であれば郵便貯金(ゆうちょ銀行)であっても預金が消滅することはなく、それは他の銀行などと同じです。

なぜこのように同じ金融機関でありながら対応が異なるのでしょうか。その根拠は、かつての郵便貯金に適用されていた旧郵便貯金法第29条です。先ほどから解説してきた権利が消滅してしまう条件などは、いずれもこの法律によって規定されています。

しかし、郵便貯金は2007年10月1日より民営化されています。民営化後は「ゆうちょ銀行」という名称のとおり民間の銀行になったため、他の銀行と同じルールが適用されます。この場合は休眠預金等活用法という法律が適用され、2009年1月1日以降の最後の取引から10年以上経過している口座は休眠口座として取り扱われ、民間公益活動に活用されることになっています。

だからといって預金の権利が消滅するわけではなく、休眠扱いになった後からでも金融機関で手続きをすれば預金の引き出しが可能です。完全に権利が消滅するわけではないので、この部分は旧郵便貯金法と大きく異なります。

2021年には457億円の郵便貯金が消滅している

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古い郵便貯金口座がある方、その可能性がある方に向けて預金の権利が消滅する可能性があるという注意喚起をしました。「自分には関係ない話」と思ってしまう方も多いと思いますが、郵便貯金の権利消滅額は急増しています。2021年には総額457億円もの郵便貯金の権利が消滅しており、これはもはや他人事とは言い切れない金額です。

このように消滅している郵便貯金が預け入れられた時期にはバブル期も含まれており、当時の郵便貯金が高金利だったこともあって、多くの資金が流れました。それが年月を経て忘れ去られたり、本人が亡くなったりすることによって権利消滅を迎えてしまっている現実があります。

ゆうちょ銀行には、約1億2,000万口座があります。これは日本の総人口とほぼ等しい数で、計算の上では全国民が1口座ずつ保有していることになります。これだけの口座数があるとなると、今この瞬間にも権利消滅の危機にある口座が相当数あると推測できます。ぜひ今一度、古い郵便貯金に心当たりがないかお考えになってみてください。

(提供:Incomepress



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