たった1本のETFで全世界の分散投資ができる「VT」の魅力
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投資では少しでも高いリターンを求める一方で、手持ちの資産を失わないためのリスク管理がとても重要です。リスク管理の手法として分散投資は基本中の基本とされていますが、個人投資家の運用規模では十分な分散投資をするのが難しいこともあります。それ以前に、運用先をどう分散するべきなのか分からないという人も多いでしょう。

そこでおすすめしたいのが、たった1本で全世界の株式に分散投資ができるユニークなETF「VT」です。これなら個人投資家が少額からでも分散投資が可能なので、ぜひ運用先の候補として検討してみてください。

投資の「守り」、分散投資が重要な理由

たった1本のETFで全世界の分散投資ができる「VT」の魅力
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投資には、「攻め」と「守り」があります。少しでも高いリターンを求めることが「攻め」であるならば、1つの資産に集中投資をすることによるリスクを分散するのが「守り」といえます。

投資の世界には、「卵を1つのかごに盛るな」という格言があります。1つの資産に集中投資をしてしまうと、その資産が暴落したり無価値になってしまうと全財産を失う恐れがあります。1つのかごにすべての卵を盛ってしまうと、そのかごを落とした時に全部の卵が割れてしまうのと同じです。

そうではなく、複数のかごに分散しておけば1つのかごを落としてしまっても大半の卵は無事です。これは、分散投資の必要性を説くとても分かりやすい格言です。

今後の経済情勢や日本経済の先行きを考えると、やはり集中投資はリスクが高いと言わざるを得ません。そもそも日本円で現金の預金をしていること自体が「日本円への集中投資」であり、ハイリスクです。

そこで日本だけではなく全世界に目を向けて分散投資をするのが「VT」をおすすめする理由です。

全世界の株式に分散投資できるETF、「VT」とは

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先ほどから「VT」と呼んでいるこのETFですが、正式名称は「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(Vanguard Total World Stock ETF)」といいます。バンガードというのは、世界最大級かつ高い知名度を誇る米国の運用会社の名称です。

このVTがもつ最大の特徴は、分散性の高さです。2023年5月時点で9,443銘柄の株式で運用しており、その対象は全世界です。運用銘柄の国籍を見ると、以下のような内訳になっています。

地域運用比率
北米62.1%
ヨーロッパ17%
太平洋10.8%
新興国9.9%
中東0.2%

世界の地域分類が日本とは少し異なる考え方になっていますが、欧米先進国に高い比率で投資していることが分かります。日本は「太平洋」に含まれます。欧米と太平洋でほぼ9割に達するため、VTは全世界の比較的安定した投資先で運用していると考えられます。

VTの魅力

たった1本のETFで全世界の分散投資ができる「VT」の魅力
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ここでは、VTがもつ魅力を詳しく解説します。

たった1本で全世界分散投資ができる

たった1本のETFで全世界の1万社近くの銘柄に分散投資ができるのは、VTがもつ最大の特徴です。

分散投資の効果を高めるには異なる国や地域、そして異なる性質の資産などを自分で組み合わせてポートフォリオを構築する必要がありますが、VTはこれを1本もっておくだけで少なくとも異なる国や地域の株式に対して高い分散効果が得られます。

世界経済の成長とともに長期的に成長している

個別の国ごとで見ると経済や景気の浮き沈みがありますが、世界経済全体を見ると長期的な成長が続いています。

人類は本質的に欲をもっており、これが世界全体の経済成長の原動力になっています。個別の国に集中投資をするとその国の経済情勢から強く影響を受けることになりますが、世界全体であればその影響を分散できます。

VTの長期チャートを見ても、一時的な下落をしつつも着実に成長していることが見て取れます。

TradingView
出典:TradingView

安定した配当が得られる

VTは株式運用型のETFなので値上がり益だけでなく、組み入れ銘柄の配当による分配金収入もあります。利回りは1〜2%程度なので高配当を売りにしているETFと比べると決して高いわけではありませんが、長期的成長に期待しながら定期的な収入があるのは魅力的です。

運用コストがとても安い

ETFは上場している投資信託です。投資信託の一種なので、どの投資信託にも付き物の信託報酬(運用コスト)が発生します。その点、VTは信託報酬がとても安く、0.07%です。ほとんどコストを意識する必要がないレベルなので、長期運用向きです。

日本の個人投資家も手軽に買える

VTは米国バンガード社が運用し、ニューヨーク証券取引所に上場しているため、米国籍のETFです。海外のETFではありますが知名度が高く取引高の多いETFなので日本でも多くの証券会社が取り扱っており、日本からであっても手軽に売買が可能です。

VTの注意点

たった1本のETFで全世界の分散投資ができる「VT」の魅力
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続いて、VTの注意点についても押さえておきましょう。

値下がりのリスク

VTは上場しているETFであり、市場の需給によって価格が変動します。VTは「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」という指数と連動するように運用されていますが、この指数も世界経済の動向によってもちろん変動します。

先ほどのチャートをご覧になっても分かるように、世界経済は常に一本調子で成長しているわけではなく、一時的な下落局面もあります。

こうした上下変動をこなしながら長期的な成長に期待するのがVT投資の基本線なので、一時的な下落によって含み損を抱えることは織り込んでおく必要があります。「そもそもそういうもの」ととらえ、短期的な値下がりに狼狽して売ってしまうのはおすすめしません。

米国株式への偏りが強い

先ほど、VTの運用先の内訳を紹介しました。これを見ると、米国株式への偏りが大きいことにお気づきかと思います。全世界分散投資といいつつも実質的には米国内で分散投資をしているだけだと指摘する声もあり、「全世界に均等に分散」しているわけではない点にご注意ください。

しかし、これは全世界の株式市場の規模やシェアなどを考慮すると決して実勢から乖離しているわけではなく、全世界の株式市場シェアを考慮したバランスだといえるかもしれません。

おすすめのVT投資法

たった1本のETFで全世界の分散投資ができる「VT」の魅力
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VT投資は、長期積立投資が最もおすすめです。その理由は、分配金収入を得ながら長期的な世界経済の成長力を資産増につなげることができるからです。そこで最も手軽かつ確実なのが、ドルコスト平均法を採り入れた一定期間ごとの積立投資です。

VTは1株単位で売買が可能なので、毎月一定額分ずつ購入していくのがよいでしょう。VTの価格が下落している時には買える本数が多くなり、逆にVTの価格が高い時には買える本数が少なくなるため、高値掴みを防ぎます。VTは年に4回の分配金支払いがあるため、ここで受け取った分配金についてもすべてVTの買い増しに充てます。

積立金と分配金をすべてVTの買い増しに充て、それが10年、20年という期間になるとVTそのものの成長と相まって本格的な資産形成効果が期待できます。短期的な価格の高騰や下落で一喜一憂することなく、粛々と買い増していくのがドルコスト平均法の基本です。

これなら日々の価格変動でストレスを感じたり「相場が気になって仕方ない」といったこともないため、無理なく長期間にわたって続けやすいでしょう。

(提供:Incomepress



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