2023年5月は日本で大きな地震が頻繁に起き、噂される巨大地震につながることを不安視する声もありました。地震はマンション投資におけるリスクの1つです。揺れは階層によっても違い、マンションの構造によって被害の程度も異なるといわれています。地震に強い中低層マンションの魅力を紹介します。
最近の日本は地震が頻発している
2023年5月は日本各地で震度5以上の大きな地震が頻発し、マンションオーナーにとっては気になる状況となりました。気象庁が観測しただけでも5月中に7回(うち1回は震源地不明)も震度5以上の地震が起こっています。
▽2023年に起きた震度5以上の地震(発生順)
日付 | 震源地 | マグニチュード | 最大震度 |
---|---|---|---|
2023年2月25日 | 釧路沖 | 6 | 5弱 |
5月5日 | 石川県能登地方 | 6.5 | 6強 |
5月5日 | 不明 | 不明 | 5強 |
5月5日 | 石川県能登地方 | 5.9 | 5強 |
5月11日 | 千葉県南部 | 5.2 | 5強 |
5月13日 | トカラ列島近海 | 5.1 | 5弱 |
5月22日 | 新島・神津島近海 | 5.3 | 5弱 |
5月26日 | 千葉県東方沖 | 6.2 | 5弱 |
このなかで短期間のうちに千葉県南部と東方沖で大きな地震が発生したのは、将来起こるとされる首都直下型地震の前触れではないかと危惧する見方があります。
2014年に政府の地震調査委員会が発表した予測によると、30年以内にマグニチュード7クラスの首都直下型地震が発生する確率は70%程度とされています。マンションオーナーとしては5月に集中して起きた地震を教訓に、所有する物件の地震対策をいま一度見直すことが大事です。
中低層マンションと高層マンションの違い
これからマンションに投資する場合は、地震対策を考えて中低層マンションと高層マンションの違いを把握しておく必要があります。
中低層マンションとは一般的には5階建てまでのマンションを指します。これに対して高層マンションは高さ31m以上のマンションが該当します。その理由は消防法で高さ31m以上の建物を高層建築物と定義しているからです。
高さ31mは階数でいうと10階建て以上になるといわれています。したがって、10階建て以下が中層マンションの範囲と考えてよいでしょう。
メリット・デメリットを比較すると、高層マンションはタワマンを含め駅に近く、商業施設とデッキでつながっている物件もあり、利便性が高いのがメリットです。半面、駅近ならではの喧騒があり、子育て世帯が望むような住環境の良さは期待できません。
これに対し中低層マンションは駅から離れた住宅街に位置している物件が多いので、住環境が良く落ち着いて暮らせるメリットがあります。半面、駅からはやや遠いので、通勤・通学・買い物に不便というデメリットがあります。
マンション投資にあたっては、そのデメリットを緩和するために、中低層マンションでありながら駅徒歩10分以内の好立地にある「資産運用型マンション」を購入する選択肢があります。資産運用型マンションとは東京23区内にあり、駅から近距離の好立地、高級感のある外観・室内、行き届いた管理、十分な設備など一定以上のクオリティを備えたハイグレードマンションを指します。駅から近いため通勤・通学・買い物も苦になりません。
地震に強いマンションの構造とは
マンション購入の重要なポイントといえるのが、地震に強い建物の構造であるかどうかです。マンションの構造形式には、「ラーメン構造」と「壁式構造」があります。ラーメン構造は柱と梁、壁式構造は壁で建物を支えています。
ラーメン構造は柱と梁で枠組みを作り、壁や床を張っていく工法です。一方の壁式構造は柱や梁を使わず壁という面で建物を支える構造になっています。壁式構造は縦や横からの圧力に強い、分厚く強固な鉄筋コンクリートが使われるため、頑丈な建物を建てることが可能です。5階建て以下の中低層マンションで使われる構造です。
日本建築学会の調査によると、1995年に起きた阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では、被害が集中した地域に建つ4階建ての壁式構造の共同住宅には構造的被害が生じなかったという実績があります。地震リスクが心配なマンション経営においては、壁式構造の中低層マンションを購入することでリスクを軽減できます。
タワーマンションは地震リスクが高い?
タワーマンションは高さ60m、20階建て以上のマンションを指し、建築基準法で構造耐力や設備の安全性に厳しい規制が設けられています。よほど構造がしっかりしていないとタワーマンションを建てることはできません。したがって、超高層だからといって建物の構造自体が危険というわけではないのです。
それなのにタワーマンションは地震リスクが高いといわれるのには理由があります。1つは高層階ほど揺れが大きくなることです。
地震による揺れには「短い周期の地震動」と「長周期地震動」があります。気象庁の解説によると、建物の揺れやすい周期(固有周期)は高さによって異なり、一般的に高いビルほど長い固有周期をもちます。したがって、低層階ではそれほど大きな揺れに感じなくても、高層階では恐怖を感じるほどの揺れになる場合があるのです。
2つめは大地震が起きてエレベーターが停止した場合に避難に時間がかかることです。3〜5階建て程度の中低層マンションであれば、エレベーターが停止した場合でも容易に階段で非難することができます。しかし、タワーマンションで40〜50階に住んでいてエレベーターが停止したら、強烈な揺れを感じながら階段を降りなければならず、地階に辿り着くまでにはかなりの時間を要するでしょう。
さらに、エレベーターに乗っているときに大地震が発生すると閉じ込められるリスクもあります。国土交通省の調査によると、2018年に起きた大阪北部地震で、最大震度6弱を記録した大阪府では278台のエレベーターで閉じ込めが発生しています。同じく国土交通省によると、2011年の東日本大震災においては210件の閉じ込めが発生し、東京都では救出までに9時間を要した例もあります。
高層マンションは閉じ込められた場合に救出まで時間がかかる可能性が高いですが、中低層マンションは規模が小さいため救出も短時間で行われるメリットがあります。
首都直下型地震が想定される将来を考えると、中低層マンションのほうが精神的には安心して暮らせそうです。
投資を考えるなら中低層マンションがベスト
タワーマンションや高層マンションは眺望の良さや駅近立地など魅力もありますが、地震が頻発するようになると、高層階への居住を敬遠する人が増えてくる可能性があります。逆に出口に近く、揺れも少ない低層階を選択する人が増えるかもしれません。地震対策を考慮に入れて投資を考える場合は、好立地の中低層マンションが相対的に優位に立つと考えられます。
投資を考えるなら中低層マンションを購入するのがベストな理由をまとめると以下のようになります。
・壁式構造の物件が多く地震への耐震性に優れている
・地震でエレベーターが停止しても階段を使った避難が容易
・エレベーターに閉じ込められた場合も救出が早い
・住環境が良く落ち着いて暮らせる
・資産運用型の中低層マンションなら駅から近く通勤・通学者の需要も見込める
2023年5月に集中して大きな地震が起きたことが一過性のものかは不明です。しかし、これからのマンション経営は地震対策を抜きには考えられないことは確かでしょう。地震大国の日本においては、中低層マンションでリスクが低い経営を目指すことが求められます。
(提供:Incomepress )
【オススメ記事 Incomepress】
・不動産投資にローンはどう活用する?支払いを楽にする借り方とは
・お金の貯め方・殖やし方6ステップとは?ごまかさずに考えたいお金の話
・日本人が苦手な借金。良い借金、悪い借金の違いとは?
・あなたは大丈夫?なぜかお金が貯まらない人の習慣と対策
・改めて認識しよう!都市としての東京圏のポテンシャル