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人材派遣事業銘柄の特徴

景気の底打ちと、法改正がキーポイント。個社ごとには経営効率が向上しているかをチェック

人材派遣業界の市場規模は2013年予想でおよそ3兆円となっており、ここ数年減少傾向である。しかし、2008年のリーマンショックからの落ち込みは底打ち傾向であり、今後の上昇が期待される。

1999年からの数字を見ると、景気の上昇とともに人材派遣業界の市場も増加しており、景気に関連した銘柄であることが確認できる。一方、リーマンショック後の景気後退局面では市場規模は大きく縮小しており、リスクも内在していると考えられる。ここ数年、売上規模は減少傾向にある業界ではあるが、業界各社はコスト削減に努めており、経営効率が向上している企業も存在している。

安倍政権は「限定正社員」の導入や、解雇基準の見直しなど人材流動化に向けた施策を打ち出しており、人材の流動化に積極的な動きを見せている。今後、景気の回復に伴い、人材需要が拡大していくことが推測される。そのため、人材の供給元である人材派遣業界の関連銘柄には注目が集まることが予想される。


人材派遣業界関連銘柄

魅力①:経済成長による人材流動化
人材サービス業界の業績は景気と非常に関連が深い。景気が良いと企業が雇用する人材数が多くその分、人材派遣の業界も潤う。そのため、2013年からのアベノミクスによる成長戦略の恩恵を受けやすい業界と言える。政府の成長戦略の中にも雇用60万人の創出ということが掲げられており、流動的に人材が動くことが推測され、人材業界には追い風の状況と言える。

魅力②:ハローワークの民間開放
ハローワークに登録されている求人情報はおよそ639万人分あるが、この情報が2014年以降民間に解放される。これまでの民間の求人情報はおよそ200万件程度であったことを考えると、民間が取り扱える求人情報の数が大きく増加することになる。解放されることで、人材サービス企業が求人情報を取り扱うことができ、派遣のみならず紹介などの業態でも業績が上がる可能性が高い。

魅力③:解雇規制改正による雇用流動化
安倍政権が成立したことで、企業の解雇規制が大きく変わろうとしている。これまで企業が正社員を解雇するためのハードルは非常に高いものだったが、現在は緩和の方向で検討されている。正社員の解雇のハードルが下がると、企業の人材が流動化し転職サービスは活況となっていく、そのため人材派遣の業界にもその影響が大きくでることが予測される。。


人材派遣事業銘柄のリスク

人材派遣業には2つのリスクがある。一つは景気変動、もう一つは法改正である。2008年から2010年までリーマンショックの影響で各企業が雇用を絞り、人材派遣業界は大きな打撃を受けた、同様の景気変動が今後起きた場合、各社の業績に与えるインパクトは大きい。また、法改正のリスクも伴っている。派遣業界を取り巻く法律は、日々改正が続いている。そのため今後派遣業者にとって不利な方向に法改正がなされた場合利益が減少する恐れがある。


総合人材派遣関連銘柄

複数の子会社等を持ち総合的に人材サービスにかかわっている会社群である。あらゆる人材市場にかかわってくる。業界大手が多い。

①パソナグループ<2168>
海外展開も行う、人材派遣の草分け的存在。業界3位。業務請負育成。上場子会社として福利厚生代行会社も所有。

②テンプホールディングス<2181>
持株会社傘下にテンプスタッフやインテリジェンスを持つ総合人材派遣業者。業界2位。

③フルキャスト<4848>
日雇いなど短期の人材サービスでは首位。日々紹介と雇用管理業務代行に主力事業を移行中。警備請負などの業務も開拓中。


医療系人材派遣関連銘柄

①エスエムエス<2175>
インターネットを通じ介護・医療業界に特化した人材紹介、求人広告、資格情報事業等を展開

②ニチイ学館<9792>
医療事務受託の最大手。人材教育から派遣まで一貫した業務サービスを提供している。介護事業もコムスン譲受で業界首位


技術系人材派遣関連銘柄

主に企業の生産ラインや、開発人員の技術者を派遣する特定技術派遣である。分野には機械、電気、電子部品などいろいろな分野がある。

①アウトソーシング<2427>
特に工場製造ラインへの人材派遣が主力。東海、関東を主地盤に全国に展開。請負化も促進している

②アルプス技研<4641>
機械、電機、電子分野の開発、設計、試作等への人材派遣に強み。技術者派遣の大手。子会社で老人ホームも展開

③トラストテック<2154>
製造系技術者派遣・請負と開発系技術者派遣の2本柱で事業を展開。