台風関連銘柄の特徴
台風などで大雨が続くと、土砂崩れなど大規模な被害が発生する。公共事業では、防災対策として道路や橋、トンネルなどの改修・整備に充てる国費を2兆-3兆円規模に設定している。4月以降に予定する契約を前倒しで実施できる特別枠を数千億円分設ける方向である。日本では高度経済成長期に多くのインフラが整備された。それに伴い、インフラの長寿命化・耐震補強は急務となっているため、関連銘柄には注目が集まることが予想される。
台風関連銘柄
魅力①:堅調な需要
年度により台風の接近・上陸数には差があるものの、日本においては全く無関係となる年は、まずない。2000年から2012年の過去13年間をみると、日本への台風接近数が最も少なかった2010年で7回、最も多かった2004年で19回を数える。
魅力②:公共事業の活性化
ゼネコン株が注目を集めている。2012年12月の衆院選・2013年8月の参院選で圧勝した自民党は東日本大震災からの復興と災害に強い国づくりを提唱。2012年12月17日の大手ゼネコン株は軒並み買われた。解散(11月14日)と比べても、大手ゼネコン株は日経平均株価(12.4%)を上回る、約20%も上昇している。
魅力③:オリンピックと安全
2020年夏季オリンピックの開催都市が東京に決定した。「安全、安心、確実」な運営を実現するうえで今後大きなウエートを占めるのが、「国土強靱化」のテーマである。台風襲来リスクのある季節は、オリンピック開催時期と重なる。日本はコンクリートの橋梁やトンネルなどの老朽化が問題となっており、この対策が急務となる。
台風関連銘柄のリスク
台風は年度によって発生頻度が大きく変動する。台風が日本各地に接近する際にはニーズが急速に高まるが、台風の少ない年にはニーズに限界がある。逆に、台風が連続して襲来した場合、労働者を十分に確保できない危険性もある。
台風の接近関連銘柄
台風の中心が、その地点を中心とする半径300㎞以内の域内に入ることを「台風の接近」と呼ぶ。日本本土への接近という場合は、北海道・本州・四国・九州のいずれかへの接近を指す。台風の中心が海岸に達した場合、「台風の上陸」という。
①ウェザーニューズ<4825>
民間気象情報で世界最大手。海事気象、鉄道、航空など交通気象に強い。個人向けも積極的に展開している。
②いであ<9768>
1953年に気象情報の提供を目的に設立された、(株)トウジョウ・ウェザー・サービス・センターを前身とする国土環境と、日本建設コンサルタントが合併し総合化。環境調査、分析最大手。官公庁向け8割。
③明星電気<6709>
無人で気象観測し電話回線で自動的に観測データを送るアメダスを、1974年の運用開始時から納入・システム提供。気象・防災観測機器と人工衛星用観測機器が2本柱。官需過半。12年IHI子会社に。
排水対策関連銘柄
台風に伴う水害には、洪水、浸水、湛水がある。洪水は、堤防の決壊や河川の水が堤防を越えることで生じる。浸水は、排水が追いつかずに用水溝や下水溝などがあふれて氾濫したり、河川の増水や高潮によって排水が阻まれたりして起こる。湛水は、低湿地や耕地などに水がたまり、引かないままの状態が幾日も続くことによって起こる。舗装が普及した都市部では、雨が低い場所に集まって短時間のうちに浸水が起こり、特に地下街は雨水の流入により水没の危険にさらされる。速やかな排水が、防災・減災に大きくつながる。
①鶴見製作所<6351>
水中ポンプ専業トップで市場シェア約3割。大型ポンプや産業機械育成。中国、台湾に生産工場。
②酉島製作所<6363>
ポンプ国内大手3社の一角。エネルギー用高効率ポンプは国内1位。中東の海水淡水化向けに強い。
③荏原製作所<6361>
ポンプの総合メーカー。環境対応のガス化溶融炉や半導体研磨装置等でも世界首位級の技術力。
道路関連銘柄
一般的な道路だけでなく、道路と一体となって利用される橋やトンネル、横断歩道橋や横断地下歩道などの施設も含まれる。最も基本的な交通施設である。台風の際は、土砂・倒木撤去などが必要になったり、路面崩壊の際の復旧、仮設道路の敷設が必要とされる場合もある。
①NIPPO<1881>
土木業界最大手(売上高シェア:20.7%)近年では、地球温暖化や地域の環境保全、資源循環型社会の実現等に寄与する舗装技術などにも注力し、高評価を獲得。
②前田道路<1883>
前田建設工業のグループ会社で、土木業界2位。
③日本道路 <1884>
道路舗装大手であり、土木業界3位。不動産・建築・スポーツ施設等に多角化し、子会社でリース業も行っている。