環境(定番5銘柄)の特徴

環境関連銘柄は、大きく分けると『エコ輸送(環境対応車、鉄道車両)』『発電(原子力、太陽電池、風力)』『水』に分けられる。

石油資源依存からの脱却、経済対策と環境対策を兼ね、低公害車の普及を促進させるべく、低公害車の購入について補助を行う国が増えている。エコカー減税のように、環境対応車への買い替え・購入に対する補助制度がある。

エコ物流(環境に配慮した物流)は、トラックや貨物機による輸送を貨物列車・貨物船に切り替える『モーダルシフト』、アイドリングストップを含む『エコドライブ』、天然ガス車などの低公害車の普及などがある。走行距離そのものを削減するため、巡回集荷など輸送の効率化も行われている。さらに、ケースの小型化・多段積みなど積載率を向上させて単位あたりの効率を上げる試みも行われている。

再生可能エネルギーによる発電コストが、既存の電力コスト(電力料金、発電コストなど)と同等かそれより安価になる点『グリッドパリティ』。日本ではNEDOが、家庭用電力並み(23円/kWh)を第一段階、業務用電力並(14円/kWh)を第二段階、汎用電源並(7円/kWh)を第三段階と定義している。技術革新などで、急速に進展している。

日本においては治水は災害防止の印象が強いが、世界的には、水不足が進み、水需要が増大の一途をたどっている。

環境(定番5銘柄)関連銘柄

魅力①:長期トレンド
環境関連銘柄は、石油資源の枯渇対策、人口増加に伴う需要急増に対応するための資源開発という世界的なニーズが底力となっているため、ニーズそのものが消滅する危険性はない。資源開発という側面が生じることで、政府から援助が得やすくなったり、買い替え需要を掘り起こす目的の補助金や減税を立案してもらいやすくなる。

魅力②:イメージアップ
環境問題が大きく認識されるようになった経緯として、日本の場合は特に、昭和後期の公害問題やその後に生じた石油ショックが連想されがちである。環境問題に取り組むという姿勢が、消費者に対する会社のイメージアップにつながるため、研究開発など先行投資に対し、理解が得られやすいのも魅力。

魅力③:節約志向
環境銘柄は、研究開発が進むことで、消費者の安全志向に加え、究極的には節約志向にも資することが期待される。従来製品・サービスに比べたコスト削減は、事業者向けにも一般消費者向けにも訴求力が大きく、買い替え需要や他社からのサービス乗り換えなど、積極選択に結び付きやすい。

環境(定番5銘柄)のリスク

先の東日本大震災に際し、福島第一原発が津波で被災し、深刻な放射能漏れ事故を引き起こしている。このことで、原子力発電については当分の間、世界的にかなり厳しい注目を受け続けることが予想される。また、エコ物流については、災害時の対応力や、平時の労働者確保が課題となり得る。

エコカー関連銘柄

電気自動車、メタノール自動車、圧縮天然ガス (CNG) 自動車、圧縮空気車及びハイブリッド自動車の5車種を指す。『低公害性能』に加え、『石油代替性』が要求される。大気汚染物質(窒素酸化物や一酸化炭素、二酸化炭素など)の排出が少なく、環境への負荷が少ない。低公害車の認定を受けた自動車は、税制面で優遇される等の特典がある。

①ジェイテクト<6473>
光洋精工と豊田工機が合併、軸受け等自動車部品と工作機械が2本柱。電動パワステが戦略商品

②三菱ケミカルホールディングス<4188>
三菱系の総合化学持株会社。自動車用リチウムイオン電池の重要部材は電池の正極材、負極材並びに電解液とセパレーターで、その全てを手がける。

③トヨタ自動車<7203>
自動車メーカー世界3強。HV技術で先行。国内登録車シェア5割弱。傘下に日野、ダイハツ等。

太陽電池関連銘柄

光エネルギーを直接電力に変換する発電機。シリコン太陽電池の他、様々な化合物半導体などを素材にしたものが実用化されている。太陽電池から効率よく電力を得るには、太陽電池を最大出力点付近で動作させる必要がある。このため大電力用のシステムでは通常、日射量や負荷にかかわらず、太陽電池側からみた負荷を常に最適に保つように運転が行われる。

①フェローテック<6890>
太陽電池や半導体設備向けの部品を製造。真空シールは世界シェア7割。装置や材料、消耗品も。

②昭和シェル石油<5002>
石油精製元売り大手。シェル系。サウジアラムコが2位株主。CIS薄膜太陽電池に成長託す。

水関連銘柄

人口増に伴う産業用水・飲料用水の需要増加、砂漠化進行に伴う水資源確保は、世界的な課題である。「水」の安定的供給に貢献する技術として、海水に含まれる塩分を除去し淡水に転換する「海水淡水化技術」が注目される。下廃水処理の分野においても、水処理膜を使った生物処理技術が活用され、処理水質が良く設備設置面積が小さいという利点から急速に需要が拡大している。水処理膜の市場規模は、2025年には4,400億円に達するとの推測もある。

①ササクラ<6303>
海水淡水化装置の大手。船舶用造水装置や排水処理装置も強み。近年は水冷媒放射空調を事業化

②東レ<3402>
合繊最大手。フィルムは電子材料分野にも強み。炭素繊維世界首位。水処理用の逆浸透膜も有力。

③日東電工 <6988>
テープ類から総合材料メーカーに。液晶用光学フィルムで成長。ニッチ商品でシェア首位多数。海水淡水化用RO膜は、脱塩率、各種無機イオン成分、農薬、有機ハロゲン化合物などの有機物への阻止性能を発揮。