税務調査の時期は、税務署の人事異動とのかねあいから、一般的に秋ごろとされています。

各企業に税務調査に入る前は、基本的に「事前通告」があり、実施までに10日~20日程の期間が設けられています。その間に、できるだけ書類の確認や作成・登記簿等の必要書類の準備をしておきましょう。


○税務調査はどんな場合に入るのか?

①売り上げや利益率に大きな変動があった場合

②過去に税務調査で不正が発見された場合

③使途不明金が多く、不透明なお金の流れがある場合

④現金商売をしている場合

⑤貿易など海外進出している場合

その時々の景気や社会情勢でも調査対象は変動しますが、年度ごとに好況と推測される業種や、問題が多いと思われる業種などに重点を絞り、税務調査は行われます。

●頻度は?

だいたい3年~5年に一度程度の頻度で、税務調査は入ります。

●準備する書類

  • 過去3年分の申告書(法人税・所得税・消費税)

  • 過去に税務署に提出した申請届け出書類

  • 決算書・内訳書・総勘定元帳

  • 現金出納帳・売掛帳・仕入れ帳等の帳簿類

  • 預金通帳・小切手のミミ等

  • 賃貸借契約書

  • 旅費規程の規定書

  • 保険証券

  • 領収書・請求書・注文書・納品書等

  • 作業日誌・工事台帳

  • レジペーパー

  • 定款・登記簿謄本・株主総会等の議事録

  • 借入金の返済予定表

  • 車などのリース物件の明細

  • タイムカード・給与台帳

  • 源泉徴収簿・扶養控除等の申告書

  • 退職所得の受給に関する申告書

●ここも確認!

①帳簿や伝票にフセンが貼ったままになっていないか?

②帳簿にメモ用紙が挟まったままになっていないか?

③帳簿や書類に鉛筆での文字の書き込みはしていないか?

④帳簿や書類、カレンダーにマルやバツでチェックを入れていないか?

⑤帳簿や伝票に数字の書き込みはしていないか?

⑥経営者や経理担当者の机の上のメモ紙や、カレンダーに気になる書き込みはないか?


○税務調査の当日は、税理士や経理担当者にも立会いを!

事前通告された日時で都合がつかない場合、他の日に調整してもらうこともできます。その時は、経営者の都合だけでなく、税理士や経理担当者の都合も合わせて確認し、立ち会ってもらうことにしましょう。実際に調査を受けるのは、会社や個人事業主、つまり、経営者や経理担当者です。税理士は、税務調査官の指摘する問題点を明白にし、適切な助言をしてくれるので、専門用語に動揺することも軽減されますね。


○税務調査の対策

書面添付制度をご存知でしょうか?

【書面添付制度】

税理士が税理士法(第33条の2第1項)に基づいて、決算や税務申告の内容の解説書を作成し、申告書に添付して税務署へ提出する制度の事です。つまり、税理士による決算内容の解説補助書です。嘘の記載をした税理士は、懲戒処分を受ける事になります。記載内容をご説明いたします。

  • 税理士の顧客に対する姿勢

  • 顧客の決算書や税務申告書に対する健全な姿勢および経理の状況

  • 顧客からの相談内容やそれに対するアドバイスや、会計処理・税務申告の結果

税務職員が「あやしい」と疑いを持った事でも、その税理士の補助資料で「疑惑」を払拭させる事ができます。税務調査を省略するための制度なので、うまく活用したいですね。書面添付書を添付した税理士には、納税者への税務調査通知前に意見を述べる機会を与えられているので、税務調査官は税務調査前に税理士に意見を聞かなければなりません。しかし、強制調査や特別調査、現況調査、税務調査通知前に意見を述べる機会は与えられていませんので、ご注意ください。


○税理士に違いはあるの?

税理士の資格があれば、誰でも良いというわけにはいきません。税務調査に強い税理士とは、いったいどんなタイプか調べてみました。

  • 顧客の目線で、税務問題を考えてくれる。

  • 節税についての知識や、経営の助言をしてくれる。

  • 役員報酬のシュミュレーションをしてくれる。

  • 税理士報酬への明瞭な説明をしてくれる。

  • 決算の対策をしっかりしてくれる。

  • フットワークが軽く、こちらの質問への返答が早い。

  • 資金調達の知識が豊富。

経験や実績ももちろん大切ですが、人間同士なので自分との相性や直感も大切にしたいですね。

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国税電子申告納税システムの活用

インターネットで納税申告をするシステムのイータックスを活用されている方も多いことと思いますが、税務署の推進事業への参加も良い印象付けの一つの方法です。税務調査には誠実に対処すべく、準備と対策は万全にしておきましょう。税務署が入っても動じないように、普段からできる事をおさらいします。

無理な経理をしない。
信頼できる税理士をつける。
各種の税務届け出書類の提出を忘れない。
初歩的なミスを減らす。

税務調査の準備や対策・税理士選出をしっかりしていると、健全な将来性のある企業経営をすることができます。まずは、日々の経理処理をこまめにチェックし積み重ねていくことが、結局は一番の近道かもしれませんね。