総括
FX「人民元は巧に操作(バスケット制12通貨中7位)も、経済と株は回復せず」人民元見通し
(通貨7位、株価18位)
予想レンジ 人民元/円20.0-20.5
(ポイント)
*今週も人民元円年初来高値更新
*バスケット制度で通貨は12通貨中では安定
*株は弱い
*8月の鉱工業生産と小売売上が改善
*OECD 景気減速で2024年の世界と中国の成長見通しを引き下げ
*中露首脳会談は10月か
*多くの国は中国の14億人の消費とは離れにくい
*米中関係悪化(バイデン大統領や駐日米大使の批判は厳しい)
*中国は投資できない国、レモンド米商務長官
*米中半導体戦争続く中、新たな自前の半導体ファンド設立へ 400億ドル規模
*ドル売り介入実施の憶測
*バイデン大統領=中国は時限爆弾
*バイデン大統領が中国への新たな投資制限策発令か
*対米貿易で首位陥落
(バスケット制の強み=人民銀行が確認)
通貨は米ドル基軸のバスケット制をとっているので、ドルより弱いが、7位とまずまずの位置につけている。中国人民銀行金融政策局の鄒瀾局長は、人民元の対ドル相場よりも対通貨バスケット相場に注目するべきだと指摘した。
中国は市場の秩序混乱を断固として抑制し、為替相場がオーバーシュートするリスクに対応すると表明した。「通常は元の対ドル相場について議論されることが多いが、実際には対通貨バスケットの方が元の価値変動をより包括的に反映することができる」と述べた。
(市況)
人民元円は右肩上がりで推移し、年初来高値を更新、20.325をつけた。円が相変わらず弱いことと、ドルが9月はここまで最強通貨であり、ドルを主軸とするバスケット制をとる人民元が底堅くなったからだ。景気減速とか、米中経済摩擦は影響しない為替のシステムだ。
(久々に改善の経済指標)
経済指標は久々に改善した。8月の鉱工業生産は前年比4.5%増加し、7月の3.7%増から改善した。 小売売上高も夏の旅行関連需要により4.6%増加し、5月以来の高い伸びとなった。7は2.5%増。
明るい経済指標は、不動産市場支援など当局による最近の一連の措置による効果が出始めていることを示している。
8月新規人民元建て融資も予想を上回る堅調な数字となった。8月の国内乗用車販売台数も前年比2.2%増の194万台となり、5月以来のプラスを記録した。
景気回復の勢いを維持するため、人民銀行は、銀行預金準備率(RRR)を0.25%引き下げると発表。一方懸念の不動産投資は8月は前年同月比19.1%減少した。7月は17.8%減だった。
ムーディーズは、中国不動産セクターの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。
(OECD 中国景気減速で2024年の世界と中国の成長見通しを引き下げ)
OECDは中国の23年成長率見通しを5.1%と0.3%引き下げた。24年も0.5%引き下げて4.6%とした。
2024年の世界全体の実質経済成長率を2.7%とした。6月の前回予測から0.2%引き下げた。不動産不況などに揺れる中国で内需が低迷し、世界景気を下押しすると分析した。
コロナ禍で厳格な感染対策を講じた中国は景気回復の遅れに住宅価格の下落が重なり、個人消費が鈍化している。中国と関係の深い日本は23年を上方修正したが24年は下方修正し、減速傾向が強まると見込んだ。
(それでも、なかなか中国とは離れられない)
今年上期のドイツの対中直接投資が、過去最高を記録した前年を下回った。
今年上期の対中投資は103.1億ユーロ。前年同期の120億ユーロから減少。
ただ、今年上期の対中投資は2019年の55億ユーロ、過去10年の上期の平均40億ユーロを依然大幅に上回っている。
ドイツ政府は対中投資の削減を呼びかけているが、企業が引き続き中国に大量の投資を続けている。
テクニカル分析(人民元/円)
今週も年初来高値更新、月足右肩上り
日足、年初来高値更新20.325。ボリバン2σ上限から小反落。9月13日-20日の上昇ラインがサポート。9月18日-20日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ上限。8月21日週-9月11日週の上昇ラインがサポート。22年10月17週-9月11日週の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。
月足、今年はここまで右肩上りといってもいい動き。4月-7月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年7月の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。
年足、3年連続陽線。23年も陽線スタート。ただ22年は上ヒゲが長い。20年-21年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
プーチン大統領、10月に訪中
プーチン大統領は10月に中国を訪問し習近平国家主席と会談する。ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は中国の王毅共産党政治局員兼外相との会談で「両首脳が10月に北京で会談することを待ち望んでいる」と述べた。
プーチン氏は北京で開かれる「一帯一路」首脳会議に参加するという。