1981年12月12日生まれ。兵庫県出身。スポーツニッポン新聞社を経て、2014年にヒューマンホールディングス株式会社に入社。2015年から現職。戦略、経営管理、IR、ブランド部門を管掌。2020年にグループのサステナビリティビジョン策定を推進。
ESGにおけるこれまでのお取り組み
ヒューマングループは1985年に創業し、世のため人のためという意味の「為世為人」を経営理念として掲げてきました。これは創業者の佐藤耕一が座禅を通じて「教育は事業ではない」という教えを得たことから始まります。当時、企業による教育機関は一般的ではなく、社会に認められる企業となるために「為世為人」を会社の存在意義にすると決めました。
現代では利益を追求しながら社会貢献をすることが当たり前になっていますが、我々は創業時から現在のSDGsに近い考えのもと事業を展開してきました。国内の労働力不足や超高齢化社会、待機児童問題などの社会課題の解決、また時代のニーズに対応するため、教育事業を起点として、人材、介護、保育などの各事業に取り組んでまいりました。グループが展開する事業の成長そのものが持続可能な社会の実現に寄与すると考えています。
事業を通じた具体的な取り組みとしては、スポーツを通じた社会貢献活動を行っています。グループでは、B1リーグに所属する大阪エヴェッサというプロバスケットボールチームを運営しています。健全な青少年育成を目的として、パートナー企業と連携した小中学校へのバスケットボールやビブスの寄贈、選手たちは学校訪問やバスケットボール指導活動を行い、地域社会含め複数のステークホルダーとの結びつきを大事に、社会貢献に取り組んでいます。ほかにも、保育事業では地域の子どもたちを対象に低額で食事を提供する「子ども食堂」の運営を行っていたり、ネイルサロン事業では介護施設を訪問し、ご利用者様にネイルサービスを提供する少し変わった取り組みも行っています。
ESGの取り組みや事業の強み、実績
ヒューマングループの強みは、教育を中心としたビジネスモデルです。「教育を提供するだけでなく、人材が社会に出て活躍する場や機会までを提供する」という考え方が特徴的です。
具体例として、国内のIT人材不足を解消するために、海外のIT人材に日本に来ていただいて国内企業に派遣しています。これを可能にしているのは教育事業での日本語教育のノウハウであり、海外人材の渡航前後に職場での日本語コミュニケーション力向上を重視した日本語教育を提供しているからです。また、教育事業で養成した日本語教師の7割が当社グループが運営する日本語学校の教師として活躍しており、グループ内でのシナジーが効いたビジネスモデルとなっています。
労働力不足がますます深刻化する中で、教育を通じて社会のニーズにマッチしたスキルを持つ人材を養成し、社会を持続的に支える機会を創出・提供することが私たちの強みです。
現状だけではなくESGの取り組みでこれから目指すところ
これからヒューマンホールディングスが目指すのは、教育を中心としたビジネスモデルの海外展開です。我々のこれまでのノウハウを生かして、海外で今後直面する社会課題解決に取り組んでまいります。
例えば、急速な経済発展を遂げるインドネシアでは、女性の高学歴化(教育水準の向上)に伴い、共働き家庭が増加し、それにより保育サービスの需要が拡大しています。これに対応するため、弊社は国内で培った保育のノウハウを活かし、事業を展開しています。マレーシアでは今年、1拠点目となる保育園を開設しました。
また、中国では超高齢化社会がすぐそこまで迫っています。シニア先進国の日本で介護事業を展開してきた当社にとって、ESGをさらに推進していくだけでなく、大きなビジネスチャンスでもあります。 これからも国内で培った教育ノウハウを海外に展開することで、さまざまな社会課題を解決していきたいと思います。
今後の上場企業の意義や投資家ユーザーへのメッセージ
繰り返しになりますが、弊社の事業そのものが社会課題の解決につながっています。
最近では政府の方針もあり、新しい職業に就いたり、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために必要なスキルを獲得する「リスキリング」という言葉を頻繁に見聞きするようになりました。国内の労働力人口が減少する中、DX人材を育成し、成長分野への労働移動を進め、最終的に所得を向上させることが政府の狙いですが、これを一気通貫で担えるのが教育事業と人材事業を持つ弊社です。
「為世為人」を経営の羅針盤にしてきたヒューマングループに注目していただければ幸いです。
- 氏名
- 佐藤 安博(さとう やすひろ)
- 会社名
- ヒューマンホールディングス株式会社
- 役職
- 経営企画室 取締役