人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「懸念は景気減速、不動産問題、米中経済摩擦だが人民元円は高値更新」人民元見通し

(通貨7位、株価16位)


予想レンジ 人民元/円20.1-20.6

(ポイント)
*ドルに寄り添って動くのでドル円と似通うチャートとなる
*懸念は景気減速、不動産問題、米中経済摩擦
*金融緩和は続くだろう。ただ元は管理相場で安定
*今週も人民元円年初来高値更新
*株は弱い
*1-8月工業企業利益は11.7%減
*今週はPMIの発表
*8月の鉱工業生産と小売売上が改善
*米が中国へ経済制裁。ウイグル族の強制労働
*OECD 景気減速で2024年の世界と中国の成長見通しを引き下げ
*多くの国は中国の14億人の消費とは離れにくい
*米中関係悪化(バイデン大統領や駐日米大使の批判は厳しい)
*対米貿易で首位陥落

(小さなドルのような動き)
 今週はここまでドルが首位 人民元が3位、今月はドルが2位、人民元が3位。
年初来ではドルが5位、人民元が7位。ほぼパラレルに動いている。バスケット制度のお陰である。ある程度安定するし、ドルと似たような動きとなるので米国から強く批判はされない。生活の知恵だ。

(ただ株価は安い)
 人民元の安定とは異なり、株価は冴えない。やはり、景気減速、米中経済摩擦、不動産不況、世界の中国回避の動きが影響している。明確な定義のない反スパイ法の改正など外国企業にとって活動し難いリスクが増えている。
 上海総合指数は年初来0.58%高、香港ハンセン指数は10.97%安。

(4QにRRR引き下げか金利引き下げか)
中国人民銀行金融政策委員会の第3四半期定例会議が開催された。第一に国内経済情勢の判断がより楽観的になっているが、依然として現状の問題点が指摘されている。第二に、海外経済情勢の判断は「先進国の金利は引き続き高止まりする」と指摘、第三に「景気回復を促進する」と明記、第四に、金融政策の次のステップは、「カウンターシクリカル調整およびインターシクリカル調整の促進」をうまく行うこと(通常は次の四半期にRRR引き下げか金利引き下げが行われることが多い)。

(1-8月工業企業利益は11.7%減)
1-8月の工業部門企業利益は前年比11.7%減少し、2桁の落ち込みが続いたが前月からは減少ペースがやや和らいだ。当局の一連の景気支援策で一部の部門に安定化の動きが出たとみられる。 減少幅は1-7月の15.5%から縮小した。
8月単月の利益は17.2%増加した。7月は6.7%減だった。

(今週は9月財新製造業・サービス部門PMIの発表)
今週は9月財新製造業・サービス部門PMIの発表がある。8月の鉱工業生産や小売売上高に続き景気回復の兆しを見せるか。

(「日本化」しない)
 中国側からの報道は、楽観的だ。海外の指摘は悲観的だ。
中国人民銀行金融政策委員会の王一鳴委員は、今年の中国の成長率は5%をやや上回るとの見通しを示した。
中国の経済状況は1990年代の日本とは全く異なっており、懸念されている「日本化」は根拠がないと語った。
一部では、中国経済が不動産部門の低迷、高水準の負債、高齢化を背景に、1990年代以降の日本経済のような停滞に陥る「日本化」に向かっていると指摘している。
王氏は「中国の日本化はない。中国はまだ中・高成長の段階にある」と述べた。
中国政府は今年の経済成長目標を5%前後に設定している。