総括
FX「世界でも評価の高い正統派政策。ただリラ浮上せず。国民は外貨選好」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円5.0-6.0
(ポイント)
*8月24日の大陽線を上にも下にも抜けない
*S&Pやムーディーズはトルコの評価を引き上げ
*今年の株価指数は世界最強。長期金利も政策金利引き上げとともに上昇
*外貨準備は15週連続で増加
*今週は指標が多い、CPIの予想は60%超え
*中銀=インフレ見通しが改善するまで段階的な引き締めは強化
*中銀=国内に資金を呼び込む決意
*大統領自ら積極経済外交を続ける
*預金の半分は外貨という異常さ
*EUとの関係悪化か
*スウェーデンのNATO加盟も難航
*貿易経常収支の赤字がリラ安を生む
*2Q・GDPはまずまずだが、3Qは苦しい
*為替保護リラ預金制度を解除へ(外貨預金残高はハイレベル)
*エネルギー問題で海外と交渉(中国とロシアなど)
(リラ浮上せず)
いい話が多いが、リラは上昇せず、対ドルではじり安。対円では円も弱いので横ばい推移となっている。
(世界の評価は高い正統派政策)
S&Pはトルコのソブリン格付けをBと確認し、見通しをネガティブから安定的へ引き上げた。安定的な見通しは中銀の利上げに伴う従来の金融政策設定への回帰後のトルコの信用力に対する「バランスの取れたリスク」を反映しているとした。
「新たな政治的不確実性がなければ、2026年までに新経済チームは経済を対外債務で賄う消費から、より均衡のとれた対外収支と財政収支、そしてより許容可能なインフレ水準に向けて再調整できると信じている。政治と経済はバランスがとれている」と続けた。既にムーディーズもトルコへの評価を高めている。
(株価は最強、金利は上昇)
今年の株価指数は世界最強だ。長期金利も政策金利引き上げとともに上昇、プラスの実質金利を目ざしている。
(外貨準備は15週連続で増加)
外貨準備は15週連続で増加している。それでもリラが上昇しないのは貿易・経常赤字とトルコの預金の約40%が外貨であることだ。高い物価に悩む国民は自己防衛のために外貨を保有している。金の保有も多い。政府の政策はまだ国民に浸透していない。
(今週は指標が多い)
今週は、9月製造業PMI、貿易収支、消費者物価、生産者物価の発表がある重要週だ。
9月製造業PMIは49.6、8月は49。9月消費者物価は前年比61.7%上昇の予想。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
1か月以上8月24日の大陽線の中で動く。狭いボリバンで小動き。気持ち安い
日足、8月24日の大陽線で一気にボリバン3σ上限を突破、5.77をつける。ただ、行き過ぎで反落。一時ボリバン下限割り込む。ボリバンの幅は狭い。5日線、20日線下向く。
9月27日-10月2日の上昇ラインがサポート。9月27日-10月2日の下降ラインが上値抵抗。雲中。
週足、横ばい。7月24日週-9月18日週の上昇ラインがサポート。8月21日週-9月25日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線下向き。
月足、8月最強もまだ2σ下限近辺で推移。23年6月-7月の下降ラインを上抜く。7月-8月の上昇ラインがサポート。5月-6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。
メルハバ
EUに期待せず
エルドアン大統領は10月1日、「EUはトルコを何十年も待たせてきた。トルコは今やEUに期待をしておらず、EU加盟のプロセスをもはや容認できない」と述べた。 強制的な要件や新たな条件が発生する場合がある。エルドアン大統領は、EUがトルコに対する不公平な態度、特にトルコに対するビザ政策を変えれば、間違いを正すことができると強調した。そうでなければ、EUは政治、社会、経済、軍事の面でトルコに期待すべきではない。