総括
FX「世界は常に土壇場、修羅場と思えば冷静に対処できる」
ドル円=147-152、ユーロ円=156-161、ユーロドル=1.03-1.08
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨11位(11位)、株価4位(4位)、10月はドル安にのって4位スタート。ドルよりも若干強い。イスラエル問題の日本への波及は」
年初来弱い円だが10月は欧州通貨高に連れて4位スタート。ドルよりも若干強い。先週のドル円は5週ぶり週足は陰線。例年の9月のドル高からの変化は10月はある。日経平均は年初来18.78%高、このところ弱いが先週末の金曜の先物は310円高。ここに週末のイスラエル問題が関わってくるので波乱はある。有事の原油高はあるか。有事で買われるのはドルかスイスか、円か。
経済指標では短観などからは全体に持ち直すが、実質賃金は減少し豊かさは感じられない。税収増なので政府に減税などの景気対策が求められているが実現するか。
需給面では昨年の史上最大の貿易赤字は激減しているが、まだ貿易赤字で、黒字=円高のストーリーはまだだ。超短期には10月10日(火)は3連休買いゴトビでドル買いが強くなる。ただ今週は外貨投信の払い込みはない。
介入は不透明感がある。過度な変動は介入するというが、それもスムージングオペになるということ、また過度な変動という主観的な文言も不透明感を生む。日銀の国債買い入れやETF買いは実施に透明性があるが、介入は公表したりしなかったりで一貫性がなく、もてあそんでいるようだ。
今週は世銀IMF総会、G20財務相中銀総裁会議があるが、為替には過去の文言通りで特に言及はないだろう。その他、国際収支 景気ウオッチャー調査 企業物価指数 機械受注の発表がある。
*米ドル「通貨4位(5位)、株価(NYダウ)14位(14位)、内外政治に大きな不安はあるも、経済は利上げが予想されるほどしっかり。ドルは強すぎず弱すぎず」
米国大統領には内外共に様々なことが降りかかってくる。ウクライナ、イスラエル、中国、移民問題。国内では政府閉鎖問題、共和党過激派問題、賃上げストでの民間企業閉鎖問題。それでも雇用は増加、賃金の伸びは落ち着いてきた。上述の各種問題がなければ米国もさらに繁栄しているのではないか。ただ気に食わぬ共和党と論争するのが民主主義で時間はかかるが素晴らしいと思う。 それで経済が一時的に減速するが長期的にはしっかりしてくる。
米ドルは年間12通貨中4位、10月第一週は5位で強くもなく弱くもない。円が弱すぎるのでドル独歩高という声もあるがそうでもなくドルは安定して米国経済を支えている。
経済指標もマチマチながら全体ではやや良好。GDPナウは4.9%と中国並み。CPIナウは3.69%。恐怖と欲望指数は株下げ、金利上昇があって29と低い。7月の84から急低下している。
先週の雇用統計で利上げ予想も高まっているがフェッドウオッチではまだ据え置き予想が多い。今週の9月消費者物価も注目だ。
*ユーロ「通貨6位(6位)、株価6位(7位)DAX)、対ドルで12種振りに陽線、ドイツはマイナス成長」
ユーロは対ドルで12週ぶりに週足陽線となった。週足のテクニカルでボリバン上限から下限へ落ちきったこともある。ただそれでもユーロは6位、ドルは4位と差異はない。ドルはこれまで平時で弱かったが、最近は原油高、終わらぬウクライナ紛争で有事のドル買いとなっていた。ドイツ経済がいくら弱くてもインフレ抑制で金融引き締めを続けるECBの姿勢は週末のラガルドECB総裁の発言でもあった。ラガルド総裁「ユーロ圏の短期経済見通しに関する私自身とECBの見解は悲観的ではない、われわれはユーロ圏のインフレ率を2%に戻すことを望んでおり、われわれの反インフレ努力は今後も続くだろう。ユーロ圏には「賃金・価格スパイラル」は存在しない」と発言した(欲しがりません、インフレ低下まではといった感じだ)。
ドイツ政府は秋季経済見通しで今年の経済成長率はマイナス0.4%に下方修正するとの観測がある。24年は1.3%、25年は1.5%のプラス成長を見込んでいるという。
政府は4月時点で今年の成長率をプラスの0.4%と予測していた。ハーベック経済相は11日に秋季経済見通しを発表する。インフレ率は今年が6.1%、来年が2.66%と予想されている。
欧州委員会は先月、今年のドイツの成長率見通しをマイナス0.4%に引き下げた。IFO経済研究所やドイツ経済研究所(DIW)も今年の成長率はマイナス0.4%と予想している。
ただそれでもユーロは円より強い。ユーロ圏と日本の貿易需給の差だ。
*ポンド「通貨3位(3位)、株価13位(11位)、ユーロより強い要因は」
今年のポンド(3位)はユーロ(6位)より強いが、株価は弱い(15位、独DAXは6位)。ユーロ圏よりやや高い金利とユーロを抜け出して経済政策の自由度が高まったことなどが、やや強い要因か。
英国の経済指標は独のように一様に悪いわけでもない。 2Q・GDP確報値は前期比0.2%増で、速報値と変わらず。一方、新型コロナウイルス禍前の2019年4Qを1.8%上回わり、0.2%下回るとしていた8月の直近推計値から上方修正された。
ベイリー中銀総裁は「インフレ率は11月に「大幅な低下」が見込まれている、インフレ率の低下は「良いニュース」であり、私たちはそれと執拗に戦わなければならない」と発言している。ブロードベント副総裁は、政策当局者がこれまでの引き締めによる影響を評価する中で、金利がさらに上昇するかどうかは議論の余地があると指摘した。 エネルギー輸入コスト高騰によるショックが和らぐことで、英国のインフレ率は2年以内に中銀目標の2%に戻る見込みだとし、「金利がさらに上昇しないとしても」そうなる見通しだが、金利については「議論の余地」があると述べた。 過去の利上げが経済に影響し始めている兆候が強まっているという中銀の見解も改めて示し、失業率の上昇に言及した。
今週は8月・GDPに注目したい。7月よりやや増加が見込まれる。
*豪ドル「通貨9位(8位)、株価17位(15位)、政策金利は据え置き。中国市場再開にも注目。LNG急騰」
先週の水曜以降3日間は対円、対ドルで上昇した。政策金利は予想通り4.1%に据え置かれた。貿易収支は黒字は続く。シェブロン従業員のストでLNGが高騰したことも豪ドルを支えた。
RBAは、金融政策の幾分のさらなる引き締めが必要になる可能性があるとの認識を改めて表明した。
ブロック新総裁は、「これまでの利上げの影響と経済見通しを見極めるための時間をさらに確保できる。インフレ率が合理的な期間内に確実に目標値に戻るようにするために、金融政策の幾分のさらなる引き締めが必要になる可能性がある。だがそれは今後もデータとリスク評価次第だ」と説明した。
8月の物価上昇率は前年比5.2%と、目標レンジの2-3%を超えている。雇用やGDPも改善している。ただロウ前総裁が当初は利上げせずと発言、その後立て続けに利上げをして景気が悪化、ロウ前総裁が辞任、金融政策決定にも広く他の意見を取り入れる新体制としたことから、利上げし難い空気はある。
今週から中国市場が再開する。このところ、小売売上、鉱工業生産、製造業PMIが回復してきたことは、中国を最大の貿易相手国とする豪にとって朗報だ。今週の中国は9月消費者物価・生産者物価や貿易収支の発表がある。
今週の豪は10月消費者信頼感指数、9月企業景況感指数、10月インフレ期待などの発表がある。
*NZドル「通貨8位(9位)、株価19位(19位)、9月は後半に好材料出て月間MVP、今週は政策金利、10月14日に総選挙」
NZドルは年間8位と豪ドルを上回っている。力強い2Q・GDPや、22年4Qの上方修正でリセッションも消し去ったことの余韻が続く。中銀は政策金利を5.5%に据え置いた。これまでの利上げが想定通り支出とインフレを抑制しているとの見解を改めて示した。 消費者物価上昇率が1-3%の目標範囲に確実に戻るまでは、政策金利を制約的な水準で維持する必要があるとの見解を示した。10月17日の3Q消費者物価の発表が注目される。2Qの6%より低下して5.8%との予想だ。また豪と同じく、今週から市場に戻ってくる中国の9月消費者物価や貿易収支にも注目したい。
総選挙の投開票は10月14日。インフレが長期化する中、経済立て直しを唱える中道右派の最大野党・国民党が第1党となる公算が大きい。ただ、単独での過半数獲得は難しく、ACT党、NZファースト党を合わせた保守3党で連立政権を樹立する可能性が高まっている。中道左派の与党・労働党は苦戦が続いている。
国民党のラクソン党首は「国民は方向転換を求めている」と訴え、所得減税や道路建設などインフラ投資を通じて経済再生を目指すと公約している。
労働党党首のヒプキンス首相は「態度保留の有権者は多く、勝敗は最後まで分からない」と巻き返しを図るが、緑の党などと合わせても過半数を獲得するのは厳しい情勢だ。
豪RBA、NZ中銀は2010年前後は現在の水準以上で豪ドル買い,NZドル買い介入を行っていたが現在は静かである。G7、G20の非介入の原則に基づいたものか、インフレ抑制より景気支援によるものか。
テクニカル分析
*ドル円「5週ぶり陰線、一時ボリバン下位へ下落。10月3日の値幅(147.28-150.16)のどちらを抜けるか」
日足、10月3日は介入騒動があり値幅が大きくなったが、ボリバン下位から上位へ戻して越週。ただ5日線は下向きに。20日線は上向き。10月3日-6日の上昇ラインがサポート。10月3日-6日の下降ラインが上値抵抗。
週足、5週ぶり陰線。下ヒゲは長い。9月11日週-10月2日週の上昇ラインがサポート。22年10月17日週-23年10月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。雲の上。
月足、例年のデータ通り9月月足は陽線となった。10月のデータは一方向への歪みはない。8月-9月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年9月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線は上向き。
年足、2023年はここまで陽線。2022年の長い上ヒゲを駆け上る。21年-22年、12年-21年の上昇ラインがサポート。
*ユーロドル「12週ぶり週足陽線、日足は3日連続陽線。先週末は下ヒゲが長い。5日線上向く」
日足、ボリバン2σ下限から反発。3日連続陽線。先週末は下ヒゲが長い。10月4日-6日の上昇ラインがサポート。9月20日-10月6日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、12週ぶり週足陽線。一時ボリバン2σ下限を下抜く。2週連続で下ヒゲ長い。5週線、20週線下向き。22年10月31日週-23年10月2日週の上昇ラインがサポート。9月25日週-10月2日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、2か月連続陰線も今月は僅かに陽転。ボリバン中位。8月-9月の下降ラインが上値抵抗。23年6月-7月の上昇ラインを下抜く。22年10月-23年9月の上昇ラインがサポートも下抜く。5か月線、20か月線下向き。
年足、陰転。2022年は2年連続陰線もボリバン2σ下限到達し反発していたが陰転。22年の下ヒゲが長く反発力あり上昇したが元に戻る。02年-22年の上昇ラインがサポート。21年‐22年の下降ラインを上抜くも元に戻る。
*ユーロ円「ボリバン3σ下限下抜きから元に戻る。雲の下から一気に上に戻す」
日足、ボリバン3σ下限下抜きから元に戻る。雲の下から一気に上に戻す。10月58日-6日の上昇ラインがサポート。10月2日-6日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、20日線下向き。
週足、ボリバン上位で高原上に推移。7月24日週-10月22日週の上昇ラインがサポート。8月28日週-10月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線上向き。
月足、スピード緩めるも年初来高値圏にあり。6月-7月の上昇ラインがサポート。8月-9月の下降ラインが上値抵抗。5か月、20か月線は上向き
年足、3年連続陽線。今年はさらに大陽線。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。