米国による日本へのTPP参加早期締結を求める動きが強まっている。日本の7~9月期の実質GDP(国内総生産)の対前期比成長率は、事前予想から大きく乖離したマイナス0.4%(年率マイナス1.6%)となった。11月19日、これを受け、米国のフロマン通商代表が一層のTPP交渉の加速を呼び掛けた。
そもそも、日本国政府は、2013年3月15日にTPP交渉に参加すると表明してから、アメリカを中心に交渉を何度も重ねてきたが、アメリカとの溝はなかなか埋まらず、交渉は難航している。もともとTPPは、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国間で締結されていたものであるが、そこに、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、メキシコ、カナダ、日本が参加しようと交渉を進めている。
TPPは、Trans-Pacific Partnershipの略で、日本語表記では、環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)という。TPPというと、関税撤廃のイメージが強いが、関税撤廃だけではなく、環太平洋地域において非関税分野(投資、知的財産等)と貿易課題(環境、労働等)を含む包括的な地域間の自由化を目的とした条約である。
このTPPによって包括的に自由化がなされた場合、日本にはどのような影響があるのだろうか。次から、長所と短所を羅列していく。