TPPのメリット・デメリット

では、TPPに参加するとどのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあるのだろうか。

【メリット】

(1) 関税をなくすことで、日本製品や農産物の輸出が増え、雇用や収入が増加する。

(2) 衣食住等あらゆる商品が安価で手に入るようになる。

(3) 貿易手続きや投資規制が緩和され、すぐれた技術を持つ中小企業やベンチャー企業も海外へ進出しやすくなる。

(4) 知的財産権の保護に関するルールが遵守されるようになり、技術やブランドはもちろん、日本の優れたマンガ、アニメ、ゲーム、キャラクター等が保護されるようになる。

【デメリット】

(1) 安価な商品が入ってくることで、デフレを引き起こす可能性がある。

(2) 安い農作物が輸入されるようになると、農業の衰退や食糧自給率の低下が進む。

(3) 各国によって規制の水準が違うので食の安全が害される。

(4) 規制緩和により、公的医療保険が崩壊する可能性がある。

(5) 質の低い外国人専門家(医師・弁護士等)や単純労働者が大量に流入する。

(6) ISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)により、外国人の投資家が日本企業等を訴えることで、国内法秩序が害される。

(7) ラチェット規定(締約国が、後で何らかの事情により、市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定)により、不利な状況になっても改善できない。


TPPに参加すればGDPが3.2兆円増える?

これだけ見ると、デメリットの方が多いように思われるかもしれない。しかし、例えば安い製品が入ってくることは、消費者の立場からすればメリットであるが、国内企業にとってはデメリットであるように、一面で捉えられるものではない。それでは経済的な側面で見ると日本はどれだけの恩恵を受けるだろうか。

政府の試算によれば、日本がTPPに参加した場合、関税撤廃により、GDP(国内総生産)が実質3.2兆円増えるという。内訳は、消費が3.0兆円、投資が0.5兆円、輸出が2.6兆円増え、輸入増加額の2.9兆円を控除して3.2兆円となる。環太平洋地域において輸入が多いのは農産物であることを考えると、日本の農産物の輸出も増えるとは言え、ダメージは避けられない。


万全の体制で農業へのサポートを

日本は少子高齢化で消費市場が縮小していくことが予想され、今の段階から大きな市場を確保しておくことは将来に対する責任として重要なことである。一方、食糧自給率は、国の根本にも関わる問題であり、一度、農業を辞めてしまうと復活は容易ではない。したがって、TPPに参加するのであれば、農業が廃業に追い込まれることがないように、国や自治体が農産物の輸出をサポートしたり、低コストで農作物を栽培する技術の開発に資金面で協力するなど、万全の体制で挑む必要があるだろう。

(ZUU online)

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