1979年秋田県生まれ。仙台高校にてバスケットボール部所属。レギュラーとしてインターハイ3位、国体3位、選抜3位。
白鴎大学経営学部経営学科卒。
約7000名の大手IT 商社(東京都千代田 区)にて10年間営業で勤務。全国トップ実績もあり。
2014年4月に株式会社ミツイ代表取締役社長に就任。起業8年で22事業、社員数 200名超え。
【受賞歴】
・グッドキャリア企業アワード大賞(厚生労働大臣表彰)
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000584185.pdf
・モデル企業(宮城県・宮城県労働局)・仙台「四方よし」企業大賞優秀賞
https://www.city.sendai.jp/kezai-chose/kurashi/machi/kezaikoyo/koyo/hyousyou/005.html
・魅力ある職場づくり
・他、NHK ニュースウォッチ9 特集等。
現職 株式会社ミツイ 代表取締役社長
特定非営利活動法人まちあす 副代表理事
社会福祉法人ライフ学校 外部理事
1.これまでの事業や組織の変遷について教えてください
元々私は大塚商会の営業職で、業績も全国トップを取るなど前職では仕事も好調でした。しかし、父親からの一本の電話をきっかけに父親の事業を手伝うことになり、2014年4月に起業しました。
当初の事業は介護業界で、入居希望者の状況をうけ、事業体を大きく変える出来事がありました。そこである親子との出会いが事業展開のきっかけを作ってくれました。親子と言っても、母80代認知症症状のある方、娘さんは50代で統合失調症の方でした。親子の希望は「高齢者施設で一緒に暮らしたい」という事でしたが、法律上暮らせないという現実がありました。彼女らは他の施設を探しても断り続けられてきたようでした。そこで私は各役所へ確認したのですが、法律の問題なので、なかなか承諾してもらえない状況が続きました。「親子なのに法律の壁により一緒に暮らせないなんておかしい」と感じ、根気強く役所に訴えた結果、特例での入居を認めて貰う事ができたのです。親族、関係機関から感謝の言葉を頂いた時に「一つずつ世の中を変えていこう」と決意しました。
そこから保育事業、障がい事業等の開設も行うこととなり、介護から保育、障がい事業まで幅広い福祉業界へと事業が拡大していきました。保育園はそれまで、お子さんがいる保育士は働くのが難しい状況だったのですが、そこに疑問を感じ、子連れ出勤可能な保育園を作ったことでたくさんの応募をもらい、無事に開園することができました。
2.組織拡大におけるどんな課題に苦労し、それらを乗り越えるためにどんな施策・取り組みをされたでしょうか。
組織拡大への道のりは一筋縄ではいきませんでした。初期の事業拡大において最初にぶつかった壁は、資金調達の壁でした。そこで、メガバンクを中心に一つ一つ銀行を訪れましたが、全ての銀行から断られてしまいました。しかし、そこでも諦めることなく交渉を進め、最終的には融資を得ることができました。その過程で気づいたのが、チャンスは必ずありどんなに困難な状況でも、可能性を信じてアクションし続けることが重要だと学びました。
その一方で、私たちの事業の成長を支えてくれたのが、社員一人一人からの提案です。私はその提案を大切にし、それぞれの意見を尊重しています。その結果、社員たちはチャレンジする事を恐れず、“可能性のある提案”を次々と出し続けてくれました。その想いがまさに組織の成長を後押しし、組織全体を向上させてきました。
更に、組織拡大の過程で欠かせない存在が人でした。出会いが組織拡大の重要な鍵を握っていました。
現副社長をはじめ、私たちのビジョンに共感してくれ、参画してもらい我々の事業を支えてくれました。また、偶然の出会いから得た人材が、我々の事業をどんどん展開させてくれました。それぞれが個々のスキルや経験、専門性を活かし、組織全体の力となっています。
3.組織拡大の過程で何を重視してきたでしょうか。また、従業員にはどのように向き合ってきたでしょうか。
組織拡大の過程で特に重視してきたのは、肯定的な言葉を多用し、前向きな雰囲気を作ることでした。やってみる精神を大切にし、ダメという言葉は社内で使わず、毎回議論を肯定的に進めてきました。
その結果、否定的な雰囲気を排除し、前向きな雰囲気を作り上げることができました。人間は肯定的な言葉によって能力を発揮しやすくなると信じており、それが社員一人一人の力を引き出すきっかけになりました。
また、中心にあるのが社員との向き合い方です。私たちは常に社員の立場に立ち、彼らが抱える課題や悩みを一緒に解決しようと努力しました。
一方で、社員も自立して考え、自身の決定を尊重しました。これにより、彼らは自らのアイデアを現実のものにする自信を持つことができました。私たちはそれを大いに評価し、行動を通じて価値を見出してきました。
4.従業員の価値(人的資本)向上に向けてどのようなことに取り組んできたでしょうか。
人的資本の向上に焦点を当て、我々は様々な取り組みを行ってきました。その一つはICTを活用した業務効率化です。当時では珍しかった、電子化システム導入です。これにより、ワークライフバランスが向上し、無駄な残業を控えることができました。また、残業時間の削減により、社員自身が自分の時間を過ごすことができる環境を構築しました。これは、社員がより仕事に集中し、有意義な時間を過ごせるようにするためです。創業9年で売上10億、社員数215名まで企業成長をしてきました。「HR事業部」を創設し、新入社員、既存社員研修等の教育体制を構築しました。弊社のような福祉事業がメインの企業は社員(人)が全てであり、各種研修制度等を進めている事で働きがいのある職場環境整備をしています。
業界では早い段階でICT化、DX化等を推進してきたこともあり、社員の平均残業時間も33分/月となっており、ワークライフバランスの強化に努めてきた結果であると感じています。今後も、DX、ICT、CRM、SFAなど積極活用し、超業務効率化を図り働きがいのある職場構築を継続して行きます。今ではLGBTQ+の考えがあるので表現しづらいですが、管理職の女性比率は55%、育休後復帰率100%、障がい者雇用率4.4%となっています。 現在でも「子連れ出勤可能」となっており、営業社員が子連れでお客様先に訪問する事も見慣れるようになってきました。昨今、人的資本の開示義務などもあり、勿論弊社は非該当ではあるが積極的に開示を図っていく予定です。
事業全体としては、現在のコングロマリット経営をさらに図り、地域を点から線、面にし、社内横の繋がりからの事業展開を図っていきます。さらには地域に根ざしている事で、本来は競合である他社とは「共存」し、他社に対しても各種研修、懇談会等の開催も継続していき、地域インフラのトップランナーとして小さな変化を起こし続けたいと考えています。
弊社は多角化をしている事で受け皿は広く、市場の変化に対してリスク分散されており、ドミナント展開している事で、人財の異動も容易に対応が可能となっています。さらには「生まれてから最期までをサポートする」事でLTVを高め市場優位性を図り、さらなる事業展開をしていく取り組みを行っております。
社員の多様性を重視し、その多様性を活かすための環境作りに取り組んできました。当社では、女性管理職の割合が55%と、業界全体と比べても非常に高くなっています。私たちの取り組みにより、社員一人一人が自分の能力を存分に発揮でき、新しい価値を創出できるようになりました。
特に注力してきたのが教育研修です。社員一人一人が個々のスキルや経験、専門性を深められるよう、定期的な研修やスキルアップのための環境を提供してきました。従業員が仕事に自信を持つことができ、仕事の達成感を得られるようにすることで、個々の人的資本向上に繋がると考えています。
5.最後に、今後の展望と従業員への期待について教えてください
今後の展望としては、弊社の社是を基に従業員それぞれが自分たちで考え行動し、事業を展開していくことです。現場の最前線で活躍する社員を尊重し、働きがいのある組織を目指していきます。この組織になるためには、行動指針の則りアクションを起こし続けることが大切だと考えます。
誰もが活躍できる働きがいのある環境を創造する事で、社員が小さな変化を起こし、それが広まり、世の中に変革を起こす事に繋がると信じています。結果として、社員一人一人がその存在価値を高め、会社全体の価値も向上すると信じています。
- 氏名
- 金沢 和樹(かなざわ かずき)
- 会社名
- 株式会社ミツイ
- 役職
- 代表取締役社長