ヘルスケア事業に参入する企業が相次いでいる。2014年10月、伊藤忠商事 <8001> は、国際共同治験や大規模な案件などの幅広いニーズに対応するため、同社子会社で臨床開発支援や製造販売後調査業務を手掛けるACRONETとエイツーヘルスケアを同年11月1日付で統合することを発表した。
また、以前からも旭化成 <3407> が2012年4月にアメリカの医療機器メーカーであるゾールメディカルを買収、2013年には三菱ケミカルホールディングス <4188> が医薬用カプセルを展開するクオリカプスを買収、三井化学 <4183> がアコモン(スイス)、KOCソリューション(韓国)、ヘレウスホールディングス(ドイツ)を買収するなど、各業界がヘルスケア事業に熱い視線を注いでいる。なぜ各企業はヘルスケアへの参入をしたがるのだろうか。その背景に迫っていく。
医療費増加によるヘルスケア市場拡大
各企業がヘルスケア事業に参入する背景には、日本において今後も医療費が増加することが予想されているからだ。日本では、平成24年度において国民医療費は39兆2,117億円にも上る。10年前の平成15年度国民医療費31兆5,375億円に比べれば7兆6,742億円も増加している。
医療関係に留まらない幅広いヘルスケア事業
今後も更なる増加が見込まれるだけに、これに関連する分野も市場規模が大きくなるという期待があるのだ。また、ヘルスケアの範囲もかなり広い。創薬や医療機器など治療関連産業から始まり、機能性食品や健康器具といった病気予防、フィットネスや化粧品といった健康維持・増進・強化もその範疇に含まれてくる。さらにはこれらに関連したIT技術や高齢者用賃貸住宅などの不動産も大きな枠組みではヘルスケアとなる。