東京大学法学部卒。在学中に当時史上最年少で司法試験に合格し、卒業後、米国法律事務所White&Caseの東京拠点に入所。
その勤務経験から、AIを活用したクラウドドキュメントワークスペース「LAWGUE」の着想を得る。2018年に現在のFRAIM株式会社の前身となる日本法務システム研究所を設立。その後、2021年に社名を変更。
2021年に「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」に選出。
日々の業務で作成されている多くの文書をより速く、正確に作ることができる次なる文書体験の実現により、世の中の働き方をもっと豊かにしていくことを目指している。
1.これまでの事業の変遷について教えてください。
弊社は2018年に創業しました。私自身は元々弁護士として働いていたのですが、当時から文書作成の非効率さに課題感があり、この分野で会社を立ち上げました。
当初は、サービスの開発部分で私にエンジニアの技術がなかったため、約100人くらいの様々なエンジニアの方とお会いし、実際に一緒に開発を進めてきました。そこから2019年に初めは契約書業務の領域からプロダクトをリリースし、その後資本業務提携などを重ねながら会社として成長してきました。
2.感銘を受けた書籍とその理由は?
私が最も感銘を受けた書籍は、リチャード・バック氏の「カモメのジョナサン」です。本書では、餌を取るために飛ぶだけでは満足できず、飛行技術を磨くことに没頭していくカモメのジョナサンが描かれます。自分の信じた道を突き進み、極めていくジョナサンのストーリーが強く印象に残っています。
私自身、大学で学ぶうちに「法律を学んでみたい」と感じて大学に入り直したり、当時からかなり難しいとされていた在学中での司法試験合格を目指して勉強し、それを達成したりと、その時々で自分が極めたいと思ったものに没頭してきたように思います。そういった自分の在り方の背景には、この本の影響があったのかもしれません。
3.読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
「カモメのジョナサン」から学んだ「自分の強みを見つけて磨く」という教訓は、会社経営においてもエディターやAIなどにまつわる高い技術力というコアな強みにリソースを集中する一方で、販売などのコアな強みではない分野や他社とも一緒に推進可能な分野に関しては積極的に業務提携などを活用するという今のスタイルに生きています。
また、「自社のコアな強み」を発展させていくために採用面においても試行錯誤を重ねており、本当に自社に合う人材だけを採用するという方針をとっています。その結果、少数精鋭で生産性高く業務に取り組める組織を構築できています。
4.経営において重要としている考え方について教えてください。
経営において最も重要としているのは、持続的な成長のために顧客への提供価値の向上を追求することです。また、成長を実現するための仕組みを作っていくことも重要だと考えています。社内ナレッジの仕組み化にも注力しており、ノウハウなどはシステム化して残しています。
また、当社がSaaSビジネスとして提供するLAWGUEの強みとなっているコア技術の部分に関しては、利益とのバランスをとりつつも継続して最大限の成長投資をしており、これが結果として好循環につながっていると考えています。
5.最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。
弊社としては、高い技術力を背景とした独自性の高いプロダクトを顧客に提供していくことで、少数精鋭のメンバーで最大の成果を出していくことを目指しています。これを実現するために、SaaSビジネスと並行して製品のOEM展開や技術のライセンス提供などを推進しており、これからも他社を巻き込みながら価値提供の範囲を広げ、事業を拡大していきたいと考えています。結果として従業員一人当たりの生産性を高め、しっかりと社員に還元できる状態を維持していくとともに、一人一人が自分の仕事に意味を感じることができる、そんな生産性とやりがいが両立した状態を目指しています。
そのためにも従業員には引き続き、一人一人が経営視点を持ったうえで、しっかりと力を発揮してもらうことを期待しています。
- 氏名
- 堀口 圭(ほりぐち けい)
- 会社名
- FRAIM株式会社
- 役職
- 代表取締役社長