総括
FX「2か月連続経常黒字、外準増加、海外は政策高評価もリラがまだ安いのは」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.5-5.5
*世銀、ドイツ銀、S&Pがトルコの政策を評価
*ただリラは弱い 国民の外貨預金が多すぎる
*10月の経常収支は2か月連続の黒字
*失業率は8.5%に低下
*来週は政策金利決定
*スウェーデンのNATO加盟批准は未決
*3Q・GDPは改善
*正統派政策の効果はまだ出ない
*トルコのソブリン債取引を推奨=ドイツ銀など
*インフレは60%台
*OECDは2023年のトルコ経済の成長見通しを上方修正
*S&Pはソブリン格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に修正
*預金の半分近くが外貨、国民のリラ信頼度は低い
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張
*NATOとの関係は悪化(ロシアへの武器輸出など)
*EU加盟へ厳しい報告書が出された
*米国で1月に投資家デーを開催
*トルコ、スウェーデンのNATO加盟批准会議を延期
(リラは一時5円を割り込む)
12月の円高推移でリラは一時5円を割り込んだ。現在は5.04円。年間では対円で27.90%安、対ドルで54.57%安。経常収支改善、外貨準備増加と好材料もあるが、問題は預金の40%が外貨であること、国民は政府の政策をまだ信頼していない。
円も安いが、それでも外貨預金は全預金の0.6%程度だ
(10月の経常収支は2か月連続の黒字、失業率は8.5%に低下)
10月の経常収支は、貿易赤字の縮小を一因に1.86億ドルの黒字。 予想は7.5億ドルの黒字。10月の貿易赤字は17.5%減少し65億ドルだった。
シムシェキ財務相は「われわれは、投資、雇用、生産、輸出を重点にした持続可能な成長を確立すると同時に、実施する政策によって経済の脆弱性を是正している」とした。
貿易相手国の需要低迷が、輸出増加を抑える主因の一つで、10月の鉱工業生産指数が前月比0.4%低下したのは、そのためだと述べた。
10月の失業率は8.5%に低下し、10年ぶりの低水準になった。
(トルコ経済は正しい軌道に乗る、世銀)
世界銀行カントリーディレクターのロペス氏は、「ドイツ銀行やJPモルガンなどの一部の投資ファンドは、来年のトルコの債券市場は非常に熱くなるだろうと述べている」と語る。トルコ経済は正しい方向に進んでおり、信用格付け機関や他の金融機関が指摘する明るい兆しを見せているものの、同国の金融政策の完全な影響には忍耐が必要であると強調した。
トルコの経済方針を支持しているのは世界銀行だけではないと述べた。「信用格付け会社を見てみると、そのうちのいくつかはすでにトルコの見通しをネガティブから中立に変更している」と述べ、S&Pの決定を指摘した。
同氏はまた、クレジット・デフォルト・スワップの金利が現在350ベーシスポイントを下回っており、同国の認識されるリスクレベルが6カ月前の550ベーシスポイント以上の水準から大幅に改善していることを示していると指摘した。
経済が安定するにつれて、より多くの融資を呼び込む可能性があると世界銀行関係者は述べ、さらに次のように付け加えた。中銀は利上げによって高インフレと闘ってきたが、「おそらく市場が利上げが限界に達すると考え始める段階に達している」と述べた。
「われわれに必要なのは、トルコリラの下落の影響がインフレに波及した後、金融政策と財政政策によってインフレがもう少し許容できる数字にまで落ち着くよう、粘り強く取り組むことだ」と述べた。
(来週は政策金利決定)
トルコ中銀は先月、主要政策金利を40%に引き上げ、引き締めサイクルは間もなく完了するとの見通しを示した。次回金融政策決定会合は12月21日。予想は2.5%利上げ。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン下位で推移
日足、ボリバン3σ下限から反発、ボリバン下位で推移。12月4日-7日の上昇ラインがサポート、12月7日-11日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、2σ下限。一時3σ下限を下抜く。11月27日週-12月4日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、2σ下限近辺で推移。7月-8月の上昇ラインを下抜く。10月-11月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。
メルハバ
スウェーデンのNATO加盟はまだ批准されず
エルドアン大統領は、米国議会がトルコへのF-16戦闘機40機の売却を承認する行動を起こさない限り、トルコ議会はスウェーデンのNATO加盟の批准を進めないと示唆した。
トルコ議会委員長もスウェーデンのNATO加盟を最終決定することを急いでいないと語った。