1983年大分県生まれ。 西南学院大学経済学部を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。 クライアント企業の人事部、財務部や各営業セクションとのリレーションシップマネジメント業務に従事。 主に外資系金融機関(証券・銀行・投資顧問)や、私立大学学校法人の確定拠出型企業年金や、 弔慰金制度などの福利厚生制度の構築を担当。
2012年、独立・起業し、世界一周へ旅立つ。帰国後、株式会社クレア・ライフ・パートナーズを設立。
これまでの事業の変遷について教えてください。
元々日本生命保険相互会社に勤めており、最初は倉敷支社で支社長とともに保険のセールススタッフ等約500〜600名の組織を運営する、いわゆる業務企画に従事していました。支社勤務の後、東京に異動となってからは法人部に配属となり、退職金の運用や外資系金融機関と団体保険・年金制度設計や機関投資家としてのリレーションシップマネジメントに関わる業務へ従事していました。
その後、2012年に現在の妻と世界一周旅行を計画したのですが、実現するためには会社で取得できる休みの日数に限界があったため退職を決意し、創業しました。当時はスタートアップという言葉も独立のためのハウツーも殆ど無かった状況で、何か大きな社会大義のためというよりは、世界一周旅行のために売れるものを持って売りに行くというスタンスでの起業でした。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
会社員の頃に上司に勧められて読んだナポレオン・ヒル氏の『思考は現実化する』という本は、思考に描けないことはできない、アイデアとして思い浮かんだことは書き出して表現してみることが重要だと考えるきっかけとなりました。
また、世界一周旅行をするきっかけにもなった、高橋歩氏の『いつもココロに青空を。青空はつながっている。』も、影響を受けた本の1つです。日本生命という全てが仕組み化・ルール化され、イノベーションやチャレンジが比較的少ない環境で生きてきた自分にとって、やりたいことを思い描き、表現しながら生きてみることは素晴らしい、そういう生き方が認められる文化があるんだということを知るきっかけになりました。また、当社ではお客様のやりたいことを中心に考えるというスタンスを重視していますが、その考えもこの本から影響を受けています。
読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
本の良いところは1から10まで体系立てて学べる所で、実際に専門知識関係は書籍で学んでいます。
また、当社では浜口 隆則氏の『戦わない経営』という書籍をサービス設計上の戦略を理解してもらうために中間管理職の幹部に配布しています。当社では一つ一つの事業は参入障壁は決して高くないのですが、それぞれを全てワンストップでやる会社は他にはありません。他社ができないこと、大きな会社ができないことをやること自体が中小企業の社会貢献の1つの形だと考えているため、何かと競争して勝ち抜くのではなく、全員から必要とされるサービスをつくっていきたいと思い、幹部に読んでもらっています。
経営において重要としている考え方を教えてください。
私自身は経営者という感覚はあまりなく、自分のことは強いて言うなら職人だと思っています。例えば、全国チェーンでどこでも食べられるラーメン店をつくりたいわけではなく、量は少なくても本当に食べたいと思った人に届けばよく、そのかわりどこを探してもない絶品のラーメンをつくりたい、といったようなイメージです。
そのため、サービスは絶対他社に真似できないものをつくりたいと思っており、「これは本当にあるべき姿なのか」という点は常に意識しています。
経営という観点では、常に相手を活かす「ナンバー2戦略」を考えています。簡単に言うと仕事をする相手を全員上司だと思って、その人の気の利いた最強の片腕になろうという発想です。取引先のお客様を上司として見立て仕事をする、社員とミーティングするときも社員が自分の上司だとしたらどういう風に動いてもらったらいいかという観点で発想をしています。天性の経営者の方はご自身のアイデアやリーダーシップを全面に発揮するのかもしれませんが、自分の場合はいつも向き合う人のナンバー2だったとして、どういう姿だと仕事がしやすいのかを考えて動くタイプだと思います。それが結果として相手の良さを引き出す、強みを引き出し100%以上の力を発揮してくれることに繋がっていると考えています。
思い描いている未来構想や従業員への期待について
基幹事業である資産形成のコンサルティング事業は日本ではまだ珍しい分野ですが、どうしても消費者と事業者の利益相反関係が発生しやすい業界なので、消費者側から見たときにこの金額を払うと適正なコンサルティングをやってもらえる、という文化をもう少し日本に根づかせたいと思っています。特に富裕層ではない資産形成の方々はこういったサービスに触れることがほとんどないと思うので、サービスの存在自体を認知してもらうことから始めています。
ただ、ある程度お金を動かせる人でないとそういう感覚にはなりづらいので、現状はまず上場企業に福利厚生制度としてサービスを導入いただいています。少しずつ認知が広がっていけば、仕事が忙しい中でもやりたいことを実現するためのお金の準備に不足がない、自分の人生は良かったと思える方を増やすことができるのではないかと思っています。
当社ではウイスキー事業も行っていますが、こちらは今年の4月にスコットランドに支社を設立する予定です。ワイン産業に比べて、ウイスキーは一番のメイン所であるスコットランドから輸出されているものでも年間60億ポンドくらいと規模が小さい産業ですが、私たちは飲み物としてだけでなくギフトやアートという側面でも魅力的な商品となるように、お酒が飲めない人でも楽しめるよう現在様々な角度から事業化を検討してます。