企業名アイキャッチ
(画像=株式会社KAKEAI)
本田 英貴(ほんだ ひでたか)
株式会社KAKEAI代表取締役社長 兼 CEO
筑波大学卒業後、2002年に新卒で株式会社リクルートに入社。商品企画、新規事業開発室などを経て、電通とのJVにおける経営企画室長。その後、リクルートホールディングス人事部マネジャー。人事では「マネジメント力強化・支援」や「Will,Can,Must・人材開発委員会・考課・配置等のデジタル化」を担当。2015年リクルート退職後、スタートアップ数社での役員を経て2018年に株式会社KAKEAIを創業。
株式会社KAKEAI
複数の特許やAI、また数万人のKakeaiユーザーが日々実施する1on1に関するデータを活かした1on1支援クラウド「Kakeai」を提供しています。Kakeaiは、現場の上司部下および経営・人事の1on1にかかる負担を減らしつつ、質の高いコミュニケーションを生み出すツールです。2023年10月現在、世界47カ国でご利用いただいており、国内においては、従業員数名の企業から数万人の企業、病院、学校、保育園、介護施設、飲食店等、あらゆる組織、職種の皆様へご提供しています。

創業のきっかけについて教えてください。

私は元々リクルートに入社し、人事部門で働いていました。当時の私はマネジメントに自信があり、会社でもマネージャーとして大きな仕事を任されるようになっていました。そんな中、ある時社内の管理職向けに360度評価を実施することになりました。私はメンバーから良い評価をもらえるだろうと考えていましたが、実際には「あなたには誰もついていきたくないって知っていますか?」というコメントをもらいました。

そのコメントは、自分が考えていた自己評価と大きく違っていて、最初は受け入れられませんでした。仕事を部下に割り振ることができなくなり、夜遅くまで寝れなくなったり、頭痛がしたりと、体調を崩し始めました。病院に行くと、うつ病と診断され、休職することになりました。

当時の私は、自分はメンバーにとって役に立っていると思い込んでいましたが、実際には大きくずれていました。この経験から、テクノロジーを用いてマネジャーとメンバーの間に入り、私のような失敗を減らしたいと考えるようになりました。マネージャーは部下の人生に大きな影響を与える立場にあります。しかし、自分が良かれと思って行っていることが、実際には部下にとって迷惑だったり、コミュニケーションのズレが生じていることに気づかないこともあります。

マネージャーが部下とのコミュニケーションを改善するためには、問題の大きさを把握することが重要です。そして、研修や360度フィードバックなどを通じて、具体的な改善策を見つけ出すことが大切です。ただ、当時はそうしたソリューションが足りていなかったため、この部分を解決できるサービスを提供したいと考え事業を始めました。

株式会社KAKEAI
(画像=株式会社KAKEAI)

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

田坂広志先生の「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」という本です。休職し、自分のことに目を向けられるようになった時期にこの本に出会いました。

私自身が人事部で育成に携わっていたこともあり、マネージャーの役割については理解しているつもりでした。この本を読むことで、改めてマネージャーは部下の人生を背負っているからこそ、責任を持って向き合うことで、難しさや喜びが得られる仕事だと学びました。

マネジメントに対してこうした考えを持つことで、マネージャーとしての仕事の重さをより強く実感しました。部下に対して操作的な言動をする上司がいますが、それは自分の成果のために彼らを操ろうとしているだけです。私自身も、部下と関わる中で、自分の仕事をうまく生かすためにメンバーを動かしていたことに気づき、反省しました。そして、マネージャーは人の人生を背負う仕事だという考え方を大切にするようになりました。

読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。

この書籍は、自分自身のマネジメントにおいて、立ち戻る場所として活用しています。また、サービスを創る上でもこの本を参考にしています。マネジメントの難しい部分は感性や感覚に大きく左右されてしまうことです。そのため、感性や感覚によるマネジメントを言語化し、仕組みでサポートしたいと考えています。事業を拡大することで、部下の人生を大切にする考え方を広めることが目標です。私にとってはこの本が、そういった考え方を実現するための起点となっています。

株式会社KAKEAI
(画像=株式会社KAKEAI)

経営において重要としている考え方を教えてください。

私は社員一人一人が事業を自分のものにできるかということを重要視しています。これを実現するために3つのことを意識しています。

1つ目は分担の意識を持つことです。例えば、エンジニアがプロダクトを作っている時間があるからこそ、セールスができる、といった具合です。事業を行っている中で、サービスを更新し続けるためには、全員が役割を分担して取り組むことが重要だと考えています。 そして、自分とは異なる領域を担ってくれている人のお陰で、自分は今の業務にコミットできるという認識を常に持たねばなりません。

2つ目は顧客視点を持つことです。私たちの事業は、社会のためのものであり、社員一人一人が自分の人生の目的と重ね合わせて働いています。そのため、属人的なコミュニケーションをなくし、お客様の視点で事業の価値を語ることが大切だと考えています。

3つ目は透明性です。経営の状況を社員に伝えることで、お客様に変化を与え、社会が前に進むことを意識して働くことができます。

従業員への思いについて教えてください。

これからの時代は、個々の人生の目的に向かって、生きることが大切だと考えています。 自分自身に向き合って真剣に取り組むと、良いことも悪いこともたくさんあり、真剣にやったからこその楽しさを感じることができます。

私たちは会社のパーパスと個々の人生のパーパスが重なることで、結果が出てくると考えて います。そのため会社が個に向き合わなければ会社は存続できません。個人が個人に向き合い、会社が個人に向き合うことをサポートできる存在になっていきたいと考えています。

株式会社KAKEAI
(画像=株式会社KAKEAI)
氏名
本田 英貴(ほんだ ひでたか)
会社名
株式会社KAKEAI
役職
代表取締役社長 兼 CEO