「はやぶさ2」を搭載したH-IIAロケット26号機の打ち上げが、12月3日13時22分04秒(日本時間)に再設定された。12月1日は打ち上げ時間帯にかけて射点周辺で制限風速を超える強風が予想されることから延期となっていた。
宇宙関連事業
「はやぶさ2」の打ち上げにより注目される宇宙事業だが、経済産業省とJAXAの資料によると、世界の宇宙関連の民間産業は過去5年間で毎年平均10%を超える勢いで成長しており、今や年間13兆円規模のマーケットだ。マーケットは大きく分けて、静止衛星(通信放送)と低中軌道衛星(地球観測)及びロケット打上げサービスの3つの市場がある。特に衛星については、今後も先進国の底堅い需要の伸び(通信放送)に加えて、新興国でも10年後に4倍の規模まで地球観測衛星利用の拡大が見込まれる。
そして、株式市場では、衛星・ロケット関連銘柄に注目が集まっている。そもそも宇宙開発そのものの規模が大きいため、さまざまな分野に広がりを見せる総合産業であり多くの関連銘柄がある。メインは人工衛星やロケットの運用や製造ではあるが、地上の設備製造や部品や素材の製造・加工、その部材の輸入からソフトウェア開発まで多岐にわたる。国際宇宙開発ステーション『きぼう』を例にとってみても、国内だけで約650社もの企業が携わっている。そこで今回は、宇宙事業に関連の注目銘柄を確認していきたい。
大企業が占める関連銘柄
三菱重工業 <
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三菱重工業は2011年に受注した大型客船をめぐって前期と今期で関連もあわせて1000億円の特別損失を出しているが、日立との事業統合や航空・宇宙部門でカバーし営業増益は続いている。また、国際宇宙開発ステーション「きぼう」の日本実験棟の場合だと、船内実験室・船内保管室を担当している。
川崎重工 <
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川崎重工業も航空・宇宙事業の生産性改善が進んでいるとの評価を受け11月21日の東証において年初来高値を更新、SMBC日興証券でも11月20日に投資判断を「2」から「1」へ、目標株価も400円から600円に上方修正した。為替メリットが大きい同社の業績は大きく改善すると指摘しており、また、航空・宇宙事業の生産性改善が進んでいることなども評価している。
IHI <
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IHIの中間期経常利益は38.4%増の323億円、純利益は64.2%増の209億円であり好調、テクニカル指標では上昇トレンド継続中となっている。民間航空機エンジン向け部品などのほか、自動車エンジンの燃焼効率を上げるターボチャージャー(過給器)販売などが好調の要員だった。
NEC <
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NECはこれまで67機にもおよぶ人工衛星の取りまとめを担当しており、この夏にはメキシコ宇宙庁と衛星開発で協力することが決定しており、決算内容は横ばいでトレンドも下降ぎみだがROEは上昇傾向にあり、逆張り投資家からは注目されている銘柄だ。
三菱電機 <
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三菱電機は14年9月中間期の連結決算発表時に、15年3月期の利益予想を上方修正した。営業利益を2,600億円から2750億円(同16.9%増)、純利益を1,750億円から1,900億円(同23.8%増)に増額している。また、宇宙システム事業では、高精度測位システムの体制確立のため準天頂衛星初号機に続き3機のシステム設計・製造を受注するなど、同事業も順調に拡大するとみられる。(ZUU online)