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(画像=株式会社常磐植物化学研究所)
立﨑 仁(たつざき じん)
株式会社常磐植物化学研究所 代表取締役社長
1978 年、千葉県出身。学習院大学理学部化学科卒業、ノースカロライナ大学大学院薬学研究科修了。
株式会社カネボウ化粧品での勤務経験を経て2007年に株式会社常磐植物化学研究所入社。
2010年に同・取締役社長、2013年には同・代表取締役社長に就任し現在に至る。
事業の傍ら植物化学研究にも従事、2019年に千葉大学より博士(薬科学)の学位授与。
2021年に第19回勇気ある経営大賞 優秀賞を受賞。
東京生薬協会常務理事、日本医薬品原薬工業会理事、日本健康食品規格協会(JIHFS)理事などを務める。
株式会社常磐植物化学研究所
当社は1949年創業の日本初の植物化学の専門企業で、医薬品・機能性食品・化粧品原料の製造販売を行っています。人づくりをモノづくりと考え、最高の製品をお届けします。
近年はESG経営に注力しており、従来の太陽光発電に加え、カーボンニュートラル都市ガスと電気を2022年に導入、本社工場(佐倉市)のCO2排出量(Scope1、Scope2)は実質99%削減(2013年度比)を見込んでおり、『エコアクション21 オブザイヤー2022』で銅賞を受賞しました。
また、健康経営優良法人2023(ブライト500)の認定を受けるほか、理念経営が評価され、中小企業白書2022年度版へ事例掲載されました。
ESG経営を推進してウェルビーイングな社会の実現に寄与し、植物、人、社会から生かされる企業を目指します。

これまでの事業変遷と組織拡大の沿革

今年、創業75周年を迎える当社は、植物成分を研究開発し、植物のちからを引き出すことで、社会の発展や人々の健康に貢献する製品・サービスを提供している会社です。当初は、医薬品の原料を作ることが主でしたが、その後、健康食品や化粧品、添加物などの分野にも業態が広がりました。

近年、特に2015年以降は機能性表示食品制度に注力しており、サプリメントやお茶、お菓子などに機能性を記載できる機能性成分の研究開発に力を入れています。これは、70年以上にわたり多種多様な植物成分を研究し、製品を開発・製造してきた植物化学の専門企業である当社の強みが最も活かされる分野だからです。

当社では、独自製品の開発から製造、そしてエビデンスの蓄積まで一貫して行い、お客様に提供しておりますが、お客様には、これらの付加価値を評価して購入して頂き、様々な商品開発に活かしていただくことにより消費者の皆様の健康のお役に立つことができていると自負しております。

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組織課題や重要テーマ

当社はこれまで組織の拡大や事業拡大を進めてきました。過去にぶつかってきた組織の課題を振り返ってみると、今回のテーマである「人が宝」が重要であり、常に考えてきたことになります。基本的には、人を育てる会社が成長する会社だと考えています。

100年以上前から松下幸之助さんが「人を作る」ことを重視していたように、当社でも人財に対する取り組みは常に行っています。専門性の高い仕事を行っているため、世界一の人財を育て、世界一の製品を作ることを目指すことにより当社の経営理念やフィロソフィに共感できる人財を育てることが、世界一の製品作りにつながると考えています。

当社では、月に約20日間働くうち1日は学習日を設けており、各種教育ツールやサービスを導入することで社員の学習環境を充実させています。さらに、道徳雑誌を全社で共有し、倫理教育も徹底しています。 また、選択的週休3日制度や副業・兼業制度も導入しており、社員が働きやすく、自己研鑽できる環境を整えています。

いい会社とはこれまでに苦労した経験を次に活かして改善している会社だと考えています。当社でも過去には退職者が出て人財が不足する時期もありました。その原因は、仕組みが整っていないことにあったのです。当たり前のことをしっかりと行うことができない会社は、人財が育たず、自然と退職者が出てしまうものです。目標とする先輩や環境がなければ、人が辞めてしまうのは当然ではないでしょうか。そういった点を改善することを重要テーマとして常に意識しています。

健康経営への取り組み

私自身が健康を害した経験がきっかけで、社員の健康に対する考え方が変わりました。コロナ禍の直前に救急搬送されたことから、会社が良くなっても社員が健康でなければ意味がないと感じ、健康経営に真剣に取り組むようになりました。コロナ禍以降、大切な社員の健康を支えたいという想いから、社員向けにサプリメントを開発し、福利厚生として無償で提供しました。

この「健康経営サプリ」は、当社の製品と機能性表示食品のノウハウを自社の健康経営に生かせないかと考えたことから生まれました。この当社独自の取り組みに社外からも関心の声が上がり、後に法人向けに「健康経営サプリ」を販売するようになりました。

さらに当社では、従業員に毎日昼食を提供しています。今年からは本社に隣接した場所に新設した食堂「sakuraヘルシーテラス」が本格稼働し、より健康的な昼食を社員に提供していきます。他にも、毎朝ラジオ体操を行っており、2021年からは、社員のラジオ体操指導員認定の取得を推進しており、現在では8割近くの社員が指導員認定を取得しています。ラジオ体操を正しく行うと、運動効果が大きく異なりますし、1日3分の運動効果が1週間で15分、1ヶ月で1時間、1年で12時間、5年で60時間となります。この時間を有効に使えるかどうかは非常に重要なポイントであり、当社がラジオ体操を真剣に取り組む理由です。

これらの取り組みは、社員のために会社を作るという経営者の考え方が根底にあるからこそ実現しているのです。一見、トレンドに乗った経営者に見えるかもしれませんが、私たちの会社は社員のために福利厚生の充実化や環境整備を真剣に行っています。これが、私たちの会社の強みのひとつであり、今後も続けていくべきだと考えています。

今の時代に必要な従業員との向き合い方

基本的には、従業員第一の目線で考え、すぐに実行に移す姿勢を持っています。例えば、会社から社員へ昼食費として一日1000円を充てることが高いのかどうかは企業によって違うと思いますが、その価値について考えることが大切だと思います。従業員に対して経費をかけることよりも、いかに健康的な昼食を提供できるかを考えることの方が価値があり、重要だと感じています。そういった本質的な価値を考えることが、「健康経営サプリ」や新たな食堂「sakuraヘルシーテラス」などのアイデアに繋がりました。

加えて、コロナ禍がきっかけで、従来は当たり前ではなかったことが普及し始めています。リモートワークやオンライン打ち合わせなど、企業や組織の取り巻く環境も大きく変化している現代において、私たちは従業員に対する向き合い方も変えていく必要があります。

従業員の価値(人的資本)向上に向けて取り組んでいることやこれから取り組もうと思っていること

当社では従業員の価値向上に向け、さまざまな取り組みを行っていますが、主に今後注力していく2つの施策についてお話しします。

まず、当社では従業員のエンゲージメント向上や可視化する仕組みとして、目標を大切にしてもらう、「パーパス経営」を実践し、強化しています。研修を通じて、従業員に自分のライフプランや会社の目標を明確化させています。その結果、多くの従業員が社会貢献に関心を持ち、自分のやりたいことと会社の目標が重なることがわかります。

こういった研修を通じて感じる点として、個々の従業員がやりたいことを持っているのに、実際に行動するのが難しいといった問題があります。そこで会社として支援することで、従業員が一歩踏み出す勇気を持てると考えており、このような取り組みを行っていくことで、社員の価値向上につなげていく狙いがあります。

二つ目に当社では、リーダーやマネージャークラスの社員が、チーム内でコミュニケーションを図るための仕組みも用意しています。これにより、従業員が自分の能力やアイデアを発揮し、成果を上げることが期待できます。結果として、企業全体の働きがいや成果マネジメントが向上すると考えています。 毎日の不安や迷いを解消するためには社内でのコミュニケーションが欠かせません。当社では毎月全社で定例会を開催することで、コミュニケーション不足を解消する取り組みを行っています。また、1対1の面談も実施しており、社内で不安を解消できる仕組みが整っていると思います。

このようにパーパス経営に基づく研修や社内コミュニケーションを増やしていくという取り組みを通じて当社では従業員の価値向上に励んでいます。重要なポイントとして、このような取り組みを行っていく際に時代に合わせた働き方や仕組み作りがあります。私たちの会社は、データやノウハウを蓄積し、見えにくい部分を可視化することが得意です。このデータを活用することで社内環境を整備し、従業員に対してさらなる理解を深めたいと考えています。

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今後の展望と従業員への期待について など

当社では一番を目指すことを重視しており、社内でも共有しています。全社での共通目標として、2049年の創業100周年に向けて、「世界一の植物化学企業」になることを目指しています。

今後の計画としては、20年かけて更に人を育てていく予定です。当社のフィロソフィに共感する人財を集め、育てていこうと考えており、当社に関わること自体が人生のプラスであり、働きながら社会の役に立っていると感じられるような会社にしていきたいと思っています。さらに、社員の働く目的と生きる目的を一致させていきたいと考えています。そのような人財が作る製品やサービスは非常に社会的な価値があり、必ず有益になると考えています。 また、「世界一の植物化学企業」となるためには、人や社会・地球環境から生かされることが必要不可欠と考えており、現在はESG経営にも注力しています。工場で使用するガスや電気は全てカーボンニュートラル化したものに全量切り替えており、本社工場は99%カーボンニュートラル化を実現しています。また、社会のウェルビーイングに向けて、本社(千葉県佐倉市)に隣接した場所に、社員や一般の方に健康的な食事を提供する施設「sakuraヘルシーテラス」をオープンし、更に2024年はフットサルやテニスなどの運動ができる施設「SAKURAスポーツパーク」を新設します。

会社の価値向上のためには、お金儲けや売上の追求という目的よりも、社会をより良くし、皆さんの生活をより良くするための手段として利益を上げていくという考え方を持っています。これからも従業員の価値向上のためにさまざまな取り組みを行っていくと同時に、ESG経営を推進して、人や社会、地球環境から生かされ、応援される社員、会社になります。

氏名
立﨑 仁(たつざき じん)
会社名
株式会社常磐植物化学研究所
役職
代表取締役社長