アンリツ株式会社
(画像=アンリツ株式会社)
坂本貴司(さかもと たかし)
アンリツ株式会社執行役員 人事総務総括
1985年電気通信大学電気通信学部卒業後、安立電気株式会社に入社(1985年10月、アンリツ株式会社に社名変更)。
計測事業本部マーケティング本部商品企画部長、計測事業統括部長等を経て、2020年4月より現職。
女性活躍推進、家庭と仕事の両立支援、障がい者雇用促進、外国籍社員活躍推進、シニア社員活躍推進などに取り組む。
アンリツ株式会社
アンリツは1895年の創業以来、進化を続ける情報通信の分野で、各種通信システムの開発・品質保証に欠かせない計測器を開発、製造、販売してきました。また、食品・医薬品用異物検出機や重量選別機、遠隔監視制御システム、通信用デバイスなど、オリジナル&ハイレベルな製品を提供しています。アンリツは、攻めの姿勢で従来の「はかる」を超えた新しい領域を果敢に開拓し、新たな事業の柱を成長させていきます。

目次

  1. ダイバーシティ経営に対する取り組み
  2. ダイバーシティ経営の取り組みで苦労した点と、乗り超えるための施策
  3. 取り組みを行う前後の変化や取り組み後の反響
  4. 従業員の価値(人的資本)向上に向けて取り組んでいることやこれから取り組もうと思っていること
  5. 理想とする組織像と従業員への期待について

ダイバーシティ経営に対する取り組み

当社では、経営ビジョンの”「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。”をキーワードに、ダイバーシティ経営の一環として、子会社を統合し、事業カンパニー制の導入に取り組みました。

企業名アイキャッチ
(画像=アンリツ株式会社)

1895年に当社は創業し、通信計測事業や食品の安全・安心に取り組むPQA事業など「はかる」技術を元に、日本だけでなく欧米やアジアなどグローバルに売上約1,100億円規模まで成長してきました。2030年には売上高2,000億円を目指す中期経営計画を立てており、そのために、現行事業だけでなく、医療・医薬品、光センシング、ローカル5G、EV・電池など新規事業領域開拓を重要視し、経営ビジョンも『「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。』に刷新しました。

企業名アイキャッチ
(画像=アンリツ株式会社)

この経営ビジョン達成に向けて、事業の交流と人材の交流を活性化させ、イノベーションや新領域開拓に繋げる事業と人のダイバーシティ化を目的に、2020年(〜2021年4月)に子会社統合及び事業カンパニー制を導入するに至りました。また、事業カンパニーを設置するだけでなく、外部からの研究者を積極的に受け入れる「先端技術研究所」や、開発部隊のシェアリング部門である「エンジニアリング本部」といった全社横断的な組織の新設もしました。

企業名アイキャッチ
(画像=アンリツ株式会社)

ダイバーシティ経営の取り組みで苦労した点と、乗り超えるための施策

ダイバーシティ経営の推進に向けて、人的資本最大化への取り組みを、方針を定めた上で行っています。当社では、「会社と多様な従業員がベクトルを合わせ、仕事と生活のバランスを取りながら生き生きと働くこと」を人材ビジョンとし、その下で、多様性、育成、環境整備に対する三つの方針を定めています。

多様性に関する具体的な取り組み施策としては、主に三つあり、一つ目はシニア層の活躍推進です。将来を見据え、定年の延長や新処遇制度の導入に取り組んでいます。二つ目はグローバルでの人材採用です。優秀なエンジニアの確保及び全社的なグローバル化に伴い、特にフィリピン現地でのエンジニア採用に注力しています。三つ目は、女性の活躍推進です。業界・企業特性上、男性比率が高いこともあり、女性の管理職登用や経験者採用、働き方改革など多方面に改善を重ねています。

また、ライフステージに合わせた柔軟な働き方を目指し、2022年度からは新たな管理職コースを新設し、テレワーク制度などと合わせて、引き続き働きやすい環境作りに尽力していきたいと考えています。

企業名アイキャッチ
(画像=アンリツ株式会社)

取り組みを行う前後の変化や取り組み後の反響

前述の具体的な施策のうち、女性の活躍推進については、これまで、当社CTOの女性役員が先頭に立ち、女性社員同士の座談会や、女性管理職とのコミュニケーションを行う場を設けることで、通常業務の上司とは違う繋がりを持つことやキャリアイメージの明確化を目指す、女性社員の意識改革への取り組みを行ってきました。

また、それに加え、部門の意識改革、男性育休取得の推進そして、前述の新しい管理職コースの創設等の人事制度改定も一因となり、定性・定量両面での改善に繋がっています。

例えば、毎年行う全社員対象のエンゲージメントサーベイにおいて、2021年に初めて働きがい満足度のスコアで女性が男性を上回る結果となりました。これまで、男性社員の働きがいが例年高かったのですが、さまざまな取り組みの末にこのような結果になったと考えています。

今後も、多様な社員が働きがいを持ちながら、生活と仕事を両立できる環境を整えていきたいと思います。特に、各自が“成長実感”が得られるような取り組みを強化したいと考えています。

従業員の価値(人的資本)向上に向けて取り組んでいることやこれから取り組もうと思っていること

若手、シニア問わず、社員の人材育成に力を入れています。2021年度にはリーダー研修とサブリーダー研修をリニューアルし、2022年度は定年延長実施に合わせ、シニア人材の活力最大化を図るため、新たにシニア層キャリア研修を開始しました。

目まぐるしく変化する事業環境では、さまざまな製品開発に対応できる経験を積んだエンジニアが必要です。長期的視野に立ち、このような人材を育成する仕組みとして、若手ソフトウェアエンジニア育成プログラムをスタートさせました。ソフトウェアエンジニアを目指す新入社員は、まずエンジニアリング本部(各カンパニーのソフトウェア開発、AI /クラウド/データ分析等の先端技術開発を担当する、カンパニー横断のシェアード開発部門)に配属され、3年間さまざまな製品開発プロジェクトで経験を積み、ソフトウェアエンジニアとしての基礎知識とスキルを身に付けます。

カンパニー横断の製品開発に携わることで、将来にわたって活きる人脈作りや、各カンパニー内技術のサイロ化防止とイノベーション創出も目的です。育成プログラムはOJTと集合教育で構成され、当社独自のスキル標準で成長目標を明確化し、一人ひとりの育成計画をデザインしています。

企業名アイキャッチ
(画像=アンリツ株式会社)
企業名アイキャッチ
(画像=アンリツ株式会社)

理想とする組織像と従業員への期待について

理想とする組織像は、会社と多様な従業員がベクトルを合わせ、事業貢献意識を持ちつつも、仕事と私生活のバランスを取りながら生き生きと働いている組織です。そして、会社と従業員がサステナブルな未来を共有し、社会課題の解決を目指す人材、組織を目指していきたいと考えています。

従業員への期待としては、一人一人が仕事・業務に対して「ここまでだ」という限界(自分勝手に壁だと思いこんでいるもの)を取り払って、これまでとは違う領域、仕事の範疇に好奇心をもって、一歩踏み出して欲しいと思います。加えて、当社の経営方針にもありますが、克己心や和の精神を持つことや協力関係を育むこと、進取の気性でブレイクスルーを生み出すことを目指してほしいと思います。

氏名
坂本貴司(さかもと たかし)
会社名
アンリツ株式会社
役職
執行役員 人事総務総括