製造業の未来について発信していくYouTubeチャンネル「AMANO SCOPE」とコラボレーションし、DXに取り組む製造業の姿をより多角的にお伝えする本企画。初回となる今回ご紹介するのは、自動車部品や空気圧制御部品、工業用ミシン部品などを加工し完成品として納入しているマツモトプレシジョンです。DXやERPの導入などに取り組む工場の様子、そして代表取締役社長を務める松本敏忠氏との対談をお届けします。
歴史ある企業にありがちな「仕事のやり方を変えたくない」という抵抗感をいかにして取り除き、新しい時代にマッチした姿へと変革を遂げたのか。
製造業をリードする数多くの経営者らと対談してきたAMANO SCOPEの天野眞也氏が、地域に根差しながら時代に合わせ先進的な変革を遂げるマツモトプレシジョンの今の姿、DXに取り組むことで見えた課題や将来の展望などに切り込みます。
また、本記事ではYouTubeチャンネルの動画も紹介。「ザ・サステナブルファクトリー」と称し、ファクトリーブランディングに取り組む工場の様子や、松本氏との対談の様子を映像でお届けします。
目次
進化を続ける工場、ERP導入で現場に起きた変化とは
最初にご紹介するのは、ファクトリーブランディングの現場として注目を集める、マツモトプレシジョンの工場の様子です。
この工場では、DXやERP導入に取り組み、生産性の向上や従業員の意識変革を実現しています。マツモトプレシジョンの吉井憲一工場長の案内のもと、天野氏が工場の現在の様子や従業員の皆さんの声を取材しました。
天野氏(以下、敬称略) マツモトプレシジョン様では、ファクトリーブランディングとして、先進的な取り組みに次々とチャレンジなさっています。特に中小企業の製造業で工場関係の方々には、ものすごく気づきになることが多いのではないかと思います。代表例としてERPが挙げられると思いますが、導入前と後で、具体的に業務にどのような変化があったのでしょうか。
吉井氏(以下、敬称略) 以前も、全てがアナログだったわけではなく、デジタルで管理している情報も比較的多くありました。しかし、情報ごとに個別のシステムを使っており、それぞれのシステム間のデータが共有されていなかったんです。そのためERP導入以前は、例えば、原料などが納品されると、納品伝票をもとにシステム上の注文情報を消し、その後、同じ納品伝票の内容を経理担当者が買掛情報として入力し、さらに銀行振り込みをする際にまたデータを入力する…というように、同じ情報を複数回にわたってそれぞれ個別のシステムに入力していました。
ERPを導入しデータを一元的に管理できるようになったことで、先ほどの例でいくと現在は注文データの消し込みを行えば、購買登録、買掛登録、銀行振り込み手続きまでデータが連動し、一括で対応できるようになっています。さらに工場では生産の状態をiPadで登録していて、工程でのしかかり状況や進度が確認できます。
生産計画の進捗管理が容易になったことで、異常時の処置も素早く対処できるようになりました。ERPを導入して全ての情報が一元管理され、全社最適化が図られている状態です。
天野 製品の検査などは、どのような仕組みになっているのでしょうか。
検査担当従業員 以前は部品のサイズなどを測った結果を紙に手で書いたり、一回一回端末に打ち込んだりしていました。現在は、機械で検査して取れたデータが、全て自動入力になっています。最終的には合否の判定まで出るようにプログラムされています。人手によるミスもなくなりましたし、しかも正確で、圧倒的に早く行うことができるようになりました。
天野 導入の当初はどのような感じでしたか。ご苦労もあったのではないでしょうか。
ERP導入担当者 そうですね。自社開発でそれぞれが独自に作ったたくさんのシステムを、ERPで導入した共通プラットフォームにどう押し込むか、最初はかなり苦労しました。それから、やはりそれまで慣れ親しんできたやり方を変更することに対する抵抗があり、正直やりたくないという意識もみんなの中にあったと思います。
天野 そこをどうやって乗り越えていったのですか。
ERP導入担当者 会社からは生産性が上がればお給料も上がるとメッセージがあり、実際に1年ほどたって、全社員の給料がアップしたんです。それから、今までは製造工程それぞれが個別で管理していたデータを一括で管理することで、生産計画の精度も高まりました。結果として、生産計画の自由度も上がり、生産性を落とすことなく従業員も計画的に休みを取ることができるようになっています。
それから、副次的な効果ですが、当社の工場の取り組みがいろいろなメディアで取り上げられたことで、記事などを目にした外部の方から声をかけていただくことが増えたんです。ありがたいことに「マツモトプレシジョンは頑張っているね、すごいね」とお褒めの言葉をいただくことも多く、やはり働く一員として誇らしい気持ちになりますね。
マツモトプレシジョンの工場見学動画
さまざまな変化を遂げているマツモトプレシジョンの実際の工場の中の様子、そして従業員の皆さんの声については、天野氏がナビゲートする以下の動画よりご覧ください。
自動化などによる生産性工場だけではなく、マツモトプレシジョンでは、「ザ・サステナブルファクトリー」を体現するさまざまな取り組みを行っています。例えばCO2排出量削減のため、駐車場全体に東北地方最大規模のソーラーカーポートを設置。他にも重油の廃止などを行い、マツモトプレシジョンで使用する電力は再生可能エネルギー100%を達成しています。
また、社内には地域通貨の1つ、デジタルの「会津コイン」が使えるショップを開設。ちょっとした食べ物などを買いに車で外へ出なくても社内で済ませることができ、また地域通貨を採用することで手数料が東京の決済事業者ではなく地元に還元するように配慮しています。
ここからは、マツモトプレシジョンの松本氏と、AMANO SCOPEの天野氏の対談をお届けします。
1990年、大学を卒業後に小売業界に就職。その後2014年に松本機械工業(株)現マツモトプレシジョン(株)に事業承継を目的に入社。2017年、取締役社長を経て2020年に養子縁組を果たし代表取締役に就く。「地域社会に認められるリーディングカンパニーを目指す」事をヴィジョンに掲げ、社会から選ばれる中小企業の条件を満たす為に「ファクトリーブランディング」を推進。
株式会社FAプロダクツ 顧問
1992年、キーエンスに新卒入社。工場の自動化に関わるセンサやカメラの提案に従事し、グループ責任者、営業所長を経て社長直轄の海外営業・重点顧客プロジェクトの初代リーダーに抜擢。売上数百億円から二千億円の企業へと成長するまでの期間、営業として第一線でけん引する。キーエンスで築き上げた自動車・食品・半導体などのあらゆる業界の生産現場を見てきた経験と、顧客と共に海外を含む新工場プロジェクトを成功に導いてきた実績を基に、2010年に起業。
選ばれる企業になるためのファクトリーブランディング
天野氏 まずは、簡単に自己紹介と御社についてのご説明をお願いいたします。
松本氏(以下、敬称略) マツモトプレシジョンの代表を務めています、松本です。私はもともと、製造業とは全く別の業界、小売業で仕事をしていて、当社を創業した松本家の娘婿としてちょうど10年前、2014年9月に入社しました。
当社は、精密機械部品の加工を行う会社で、金属部品の切削加工や研削加工、それから金属熱処理などを素材の調達から一貫して対応しています。今年で創業75周年を迎え、東京から始まり、福島県喜多方市に来てからはちょうど50年目になります。
天野 本日は工場も見学させていただきました。改めて、社長が掲げていらっしゃるファクトリーブランディングについて、その内容やなぜそのような取り組みをしようと思ったのか、お聞かせいただけますか。
松本 ファクトリーブランディングについて、そもそもの経緯からご説明させてください。
私が社長に就任した2018年、まずは会社として目指すところを明確にしようと考え、ミッションステートメントを作成しました。このステートメントの一部で、『私たちは、地域社会に認められる「リーディング・カンパニー」を目指します』というビジョンを掲げました。ステートメント中でも、私が最も大事にしているところです。
先ほどこの土地に来て50年と言いましたが、当社の従業員の皆さんは全てこの地域社会の方たちです。地域の方たちに「あの会社は駄目だ」と思われてしまうと、もう企業としてやっていくことができません。
この地に根をはって、地域社会に支持されながら企業活動を続けていくためにはどうしたらよいか、そうした課題感がファクトリーブランディングのそもそもの出発点でした。
天野 なるほど。地域に選ばれる企業を目指すための取り組みの1つとして、ファクトリーブランディングを掲げたのですね。
松本 はい。そして、従業員全員が同じ方向を向くためにも、わかりやすいキーワードを打ち出そうと思いました。それが「ザ・サステナブルファクトリー」です。
サステナブル、つまり持続可能性ですね。環境、社会、経済、あらゆる面で持続可能な工場となり、ものづくりを通して企業価値を高め続ける、そのための変革がファクトリーブランディングの根本なのです。
「Digital or Die」強烈なメッセージが変革を後押し
天野 具体的に取り組みの必要性を感じた最初のきっかけは何だったのでしょうか。
松本 10年前、私がこの会社に来た際に、変革の必要性を感じたことです。福島での50年間で培ったものがあり、皆一生懸命仕事をしていて、もちろん残すべき良い面もたくさんありました。
一方で現状に満足してしまい、「今のままでいい」という雰囲気を感じたことも確かです。時代はどんどん新しくなっていきますし、喜多方市は人口が約4万人しかおらず、製造業というよりかはどちらかというと観光や農業といった産業が中心のところです。そうした環境で人材を確保してものづくりを続けていくためには、企業を変革して新しいことに前向きに取り組むカルチャーを作っていかなければならないと思いました。
そしてまず考えたのが、ものづくりにおいて「稼ぐ力」をつけるということです。稼ぐ力がつけば、従業員の給与を上げることができます。給与を上げることができれば、働く皆さんに喜んでもらえて、多くの方が集まる会社、まさに地域の皆さんに選ばれる会社になると考えました。
天野 なるほど。その流れで、ERPの導入やDXにつながっていくのですね。
松本 そうですね。稼ぐことができる体質にするためには、まずは生産性の向上が必須です。最初はERPやDXのもっと手前、無駄を省くというところから、わかりやすい例でいうとペーパーレスの取り組みから始めました。
以前の当社は大量に紙を使っていて、1ヵ月の紙代とコピー代で約7万円かかっていました。会議のたびに資料を人数分プリントアウトして配るのが当たり前になっていたのです。
しかも、従業員は全員デスクトップのパソコンを使っていました。パソコンを持ち歩けないから、紙で配るしかないわけです。そこに目をつけてノートパソコンを1人1台ずつ配布し、もうプリントアウトする必要はないねというところからのスタートでした。
天野 その後のERPの導入は、どのような流れで始まったのですか。
松本 就任して1年ほどたったときに、会津若松で行われたインダストリー4.0に関するセミナーに参加したことがきっかけです。そのセミナーの中で「Digital or Die」という強烈なメッセージがあり、衝撃を受けました。デジタル化を進めるか、デジタル化をせずに衰退して死を迎えるか、という究極の選択を迫られるような表現です。
就任後、現場を見て業務に携わるうちに、だんだんとその言葉が意味することを実感するようになりました。そして、私自身もデジタル化に関する新たな知識を学び、急速に当社での構造変化が動き出したのです。そのうちの1つがERPの導入です。
「賢く稼いで皆で分けよう」キーとなった高賃金化
天野 ペーパーレスから始めて、そこからデジタル化に向けて舵を切り、ERPの導入などさまざまな取り組みを行っていらっしゃいますが、現場の方からは抵抗もあったのではないでしょうか。
松本 漠然とした不安はあったと思うのですが、具体的な反対や、ここは無理だという意見などは特になかったと思います。もちろん、やろうと決めてすぐにうまく進んだわけではなく、従業員の理解を促し、考え方を浸透させるのには時間も必要でした。
時代の変化に伴い製造業がどうなっていくのかという情報を伝え、そして現場の作業がこう変われば、無駄が省けて稼ぐ力がついて、そしてそれが皆さんに還元されますよ、給料が上がりますよ、というストーリーを、実は2年ほどかけて根付かせていったのです。管理職から少しずつ浸透させ、徐々に現場に広げていったという感じですね。
天野 なるほど。働く人たちの給料が上がる「高賃金化」は、2024年の大きなトレンドの1つだと思います。それを7、8年前にすでに社員の皆さんに話をして取り組んでいるという点で、御社の先進性を感じますね。
社長という立場からすると、なかなかすぐに賃金に反映するとは言いづらいところもあると思いますが、努力した分だけ自分に返ってくるという従業員にとってのわかりやすさ、モチベーションアップの効果という点で、やはり高賃金化は強い手段ですよね。
松本 「賢く稼いで皆で分けよう」というのが私の口癖です。効率よく仕事をして稼ぐことができれば、皆に還元することができます。その手段が、やはりデジタル化だと常日頃から言っています。
デジタル化以前の細かな改善活動だけでは、そこまでの原資は出すことができません。1分1秒を削る努力は引き続きやらなければなりませんが、それ以外のところでも生産性をしっかりと上げて評価する、その体制を作るためにはやはりこれまでと同じことをしていては実現不可能です。
今後は、賃金を上げ続けなければ人材を確保できない時代に入っていきます。そう考えると、小手先の改革ではだめで、デジタル化をベースに根本的に変革していくことが必須だと思います。
天野 先ほど、実際に工場を見学して現場の方たちのお話を伺いましたが、皆さん口を揃えて「最初はいやだった、それまでのやり方を変えたくなかった」とおっしゃっていました。社長から生産性が上がれば給料も上がると言われて、いやいやながらとりあえずやってみたそうです。
しかし、実際にやってみてどうだったかと質問すると、本当に給料が上がってモチベーションも上がりましたとおっしゃっていました。そしてさらに、賃金アップも嬉しかったけれど、デジタル化をしてみたら仕事が楽になったという声もありました。
おそらくどんな企業でも、やる前はいろいろな先入観もあり、仕事のやり方を変えたくないという心理が働いてしまうと思うのです。生産性が上がれば給料が上がるというわかりやすいメッセージを出すことで、そうした障害を取り除き、まずはやってみるという環境を整えることに成功したのだなと感じました。
覚悟を持って「やめる」判断、生産品種は5年で約半数に
天野 実際に、DX、ERPの導入を通じて無駄が減り、生産している部品の点数も大きく変わったと伺いました。
松本 収益力が低いものについて検討し、必要に応じて生産を止めることで、生産品種数が2018年度比で46%まで減りました。もちろん、製造原価が高いものは一律にやめるということではありません。重要なものは収益性が低くても生産したり、原価低減活動をしたり、そうした改善とあわせてになりますが、生産品種を減らすことは選択と集中の意味でも大切です。
またそれに伴い、設備のスクラップも進めています。250台ぐらいあった工場の生産設備のうち、4、50台を数年掛けて処分しました。設備があれば一生懸命にその機械を動かそうという心理が現場で働いてしまいます。生産力が低いにもかかわらず、一生懸命手をかけ、時間をかけながら、頑張って機械に仕事をさせてしまい、結果として生産性が悪いことに工数を使ってしまうのです。やはりその状況に誰かが気づいて、判断をしなければなりません。
天野 私もたくさんの工場に行きましたが、気がつくと少量多品種になってしまったという話を本当によく耳にします。やめるという判断は難しく、できる会社はなかなかないと感じています。
御社のようにここまで絞り込むためには、どの部品が儲かっていて、どの部品が儲かっていないのか、あるいはどの設備が効率よく生産ができていて、どの設備ができていないのか、ボトルネックはどこにあるのか、そうしたことを数字で見ることが必要です。そうでなければ、なかなかやめる判断はできません。ここにやはり、ERPを導入した効果がものすごく出ていると思います。
地方の中小企業でもグローバルな要請には「やる」が必要
天野 ビジョンミッションバリューについて、先ほど地域に関するお話を伺いましたが、ミッションの中には「世界」が出てくるのですね。
松本 『私たちは、より高い技術を身に着けて、世界の顧客に「ベスト・バリュー」を提供します』というのが当社のミッションです。お客様はグローバルカンパニーなので、そのお客様を介しながら広く世の中に出ていく私たちの商品そのものに対して、世界を考えた責任を持つ必要があります。
自分たちが作るものが世界中に届くということを、こうしてミッションとして掲げることで肝に銘じ、愚直にものづくりに取り組んでいこうというメッセージをミッションに込めています。
天野 日本の企業で「グローバル」という言葉がミッションの中に出てくるところは、それほど多くないですよね。工場見学をさせていただいて、「世界の顧客にベストバリューを提供する」ということを体現されていらっしゃるなと、強く感じました。
日本の中小企業も、もっともっと世界に向けて発信すべきだと私は思っています。御社のいわゆるファクトリーブランディングの対象となるお客様は、国内だけではないというところも、1つポイントなのかもしれないですね。
松本 そういう意味で、グローバルに選ばれる企業となるためにDXと合わせて力を入れているのがGX(グリーントランスフォーメーション・気候変動対策)ですね。エネルギーマネジメントという点で、これをしっかり進めるためには、やはりデータの活用が必須です。DXのベースが固まったことで、GXにも注力しやすい環境が整ったと感じています。
中でも、今後注力したいことの1つがカーボンフットプリントです。ヨーロッパなどではカーボンフットプリントはどんどん進んでいます。われわれがやり遂げるにはまだ少し時間がかかると思いますが、早くスタートしておかないと取り残されて、衰退してしまうという危機感を持っています。
たとえ当社のような地方の中小企業でも、グローバルに要請されていることは「やる」という意識を持つことが大切です。視座を上げて、そこに手をかける、そういうモチベーションをまず持とうということを常日頃従業員にも伝えています。
一人ひとりが変わることが会社の変革をもたらす
天野 トップとして、次々に先進的な取り組みを進めていらっしゃる松本社長ですが、社長が考える、経営者が持つべきマインドセットというのは、どういうものなのでしょうか。
松本 マインドセットについて、私は5つの項目を掲げています。
中でも最も大事だと考えているのが「自己変革」です。まず自分自身を律しなければならないという意味と同時に、従業員それぞれの自己変革の先にある、「会社変革」を考えています。
会社は人の集まりなので、いくら私が会社を変えるぞと言ったところで、所属している人たちにその意識がなければ何も変えることはできません。よく、「これが私の個性なので」といって変化を嫌う考え方を聞くことがありますが、会社組織においてはそれぞれの個性は一度横に置いて、組織に合わせた変革をしてもらう必要があります。
私はこれまでに何回か転職した経験があるのですが、転職は自分を変える1つの良い機会でもあるのです。新しい職場では過去の自分を周囲が知らないので、リセットできますよね。しかし、地方の方はあまり転職しない傾向があるので、この感覚がないのです。20年30年、変わるタイミングがなかった方たちに向けて、世の中が大きく変化している今こそ、思い切って自己変革しましょうとメッセージを発しています。
そのほか、「正しい危機感を持つ」「他者の知見活用」「三方良しの精神」「自我作古」を合わせた全部で5つが、私が必要だと思うマインドセットです。
「自我作古」は「我より古を作す(われよりいにしえをなす)」と読み、前人未踏の新しい分野に挑戦し、たとえ困難や試練が待ち受けていても、それに耐えて開拓に当たるという意味で、慶應義塾大学を創設した福沢諭吉が建学の理念として掲げた言葉として知られています。
天野 確かに、何かを始めようと提案すると、「実績はあるのか」とよく言う方がいますが、実績がたくさんあるものだけを取り入れていたら、一番目にはなれないですよね。御社の取り組みを見ていると、まずはやってみるという言葉通り、先例となるような取り組みがたくさんありますが、背景にはこうしたマインドセットがあるのですね。
最後に、これからDXなどを始めようとしている企業、今まさに苦労しながら取り組んでいる企業の皆さんが、何か勇気を得られるようなメッセージをお願いできますか。
松本 会社が変わるためには、まずはそれぞれの経営者が変えようと覚悟することが必要だと思います。そして、変わろうという想いが募るためには、世の中を知り、時代の変化に目を向けることが大切なのではないでしょうか。
何となく感じていても目を伏せてしまい、積極的に知ろうとしないことは意外と多いと思うのです。しかし、今どんな変化が世の中で起きているのか、知らないと取り組むことはできません。世の中の知見を吸収して、自分の地域や会社にマッチすると思うことを、少しずつ始めてみるのがよいのではないかと私は思います。
天野 今後のマツモトプレシジョンのさらなる変化を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
マツモトプレシジョンの対談動画
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(提供:Koto Online)