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(画像=株式会社ジモティー)
加藤貴博(かとう たかひろ)
株式会社ジモティー代表取締役社長
早稲田大学政治経済学部卒業後、2001年株式会社リクルート入社。
広告営業、メディアプロデューサー、編集長、新規事業開発責任者を経て、2011年株式会社ジモティーの代表取締役に就任。
株式会社ジモティー
当社は、様々な情報を都道府県別や市区町村別ごとに一覧化した情報サイト「ジモティー」を運営しております。
ジモティーは利用者同士の手渡しで取引が可能な品物や利用者の地元の情報が多く掲載されていること、利用料が無料であることから、誰でも簡単に利用できるサービスとして、月間で約1,000万人の方々に利用されています。
環境に関わるアワードなどを複数受賞するなどサーキュラーエコノミーを体現するサービスとしても評価を得ています。

目次

  1. 創業時からの事業変遷
  2. 上場を目指された背景や思い
  3. 今後の事業戦略や展望
  4. 今後のファイナンス計画や重要テーマ
  5. ZUU onlineユーザーへ一言

創業時からの事業変遷

株式会社ジモティー
(画像=株式会社ジモティー)

ーー初めにこれまでの事業の変遷について教えてください。

加藤: 創業から上場まで、一貫して「ジモティー」という「地域における物や人のリソースのマッチングプラットフォーム」を運営しています。事業の初期段階では、家具や家電などの郵送取引に向いていない物の取引で成長してきました。

上場後には、自治体様とも連携を増やすことができており、住民の方が不要となった再利用可能な物を気軽に持ち込める場所を設け、当社を通じて譲渡できるスキームを自治体様と共同で構築しています。この取り組みを通じて、住民の方は粗大ごみを処分する時間を短縮でき、自治体様としても粗大ごみを処理する費用を削減できています。リユース可能な家具を格安、もしくは無料で譲り受けられるということで、ご近所の方は朝早くから並んで入荷を待っていただくなど、満足度の高いスキームが構築できています。結果として年々ご関心をお持ちいただく自治体様や企業様も非常に増えています。

株式会社ジモティー
(画像=株式会社ジモティー)

また、去年からは事業テーマとして「狭域性の進化」を掲げています。これまでは「ジモティー」では家具・家電などの大きい物の取り扱いが非常に多かったのですが、今後は従来のセグメントに加えて、服、子供用品などのセグメントにも注力し、「近距離」かつ「短時間」での取引をテーマにマーケティングとプロダクトを革新していきます。

ー御社の事業は、他のフリマ事業を展開される企業様と比較されることも多いかと思いますが、差別化ポイントについて教えてください。

加藤: おっしゃる通り、「不要品のリユース」という文脈では類似だと見なしていただくことも多いです。一方で、当社はGMVをKPIに置いていないのが大きな特徴です。GMVに対する手数料を一切狙わない代わりに、我々のプラットフォームでしか使えないような、ゼロ円の品物など、これまでマッチングが難しかった品物を流通させることにこだわっています。 そういったこれまでマッチングが難しかった品物の取引を増やすことは、利用者同士のコミュニケーションを生みます。利用者同士のコミュニケーションを増やすことによって、地域に住む人々のお互いに対する信頼性を高めていきたいと考えています。

例えば、「X(旧Twitter)」は不特定多数に対するコミュニケーションツールで、「Facebook」や「LINE」は知り合いや友達とのコミュニケーションツールですが、「ジモティー」は近所の他人を近所の知人に変えられるツールになっていきたいと考えています。そのためには、当社とユーザー様という関係はもちろん、ユーザー様同士のコミュニケーションの活性化に寄与するシステムをご提供していくことが非常に重要になると考えています。

上場を目指された背景や思い

ーー次に、上場を目指された背景であったり、想いについて教えてください。

加藤: 事業を始めた当初は、必ずしも上場だけがイグジットの選択肢ではありませんでした。その中でも、上場を目指した背景には「事業の持続性を示す」という目的がありました。創業当初より、当社が目指している方向性ではマネタイズがなかなか難しいのではないか、という意見をいただいていましたので、しっかりと採算性を高め、世の中に事業としての継続性を示すためにも上場が必要だと感じました。

実際に上場を果たしたことによって、事業の継続性を示せただけではなく、人材獲得の面でもプラスがありました。上場によって当社の目指している方向性や理念を多くの方に知っていただき、結果として非常に多くの優秀な人材にジョインいただくことができました。

今後の事業戦略や展望

ーー今後の展望について、教えてください。

加藤: 先程も申し上げた「狭域性の進化」を実現していくためにも「ジモティー」のユーザーにご登録いただく情報や、物品の検索性能など含めて全体的なバージョンアップを測るタイミングだと考えています。実際に、かなり大きなプロダクトの刷新を現在進行形で実施しておりますので、まずこれをしっかりとやり切ることが非常に重要になると思っています。

株式会社ジモティー
(画像=株式会社ジモティー)

「ジモティースポット」に関しても、当初の想定よりも取り扱える商品の幅が大きく、収益性も高められることが判明してきています。今後は「ジモティースポット」の店舗サイズを大きくしていくことや、店舗数を加速度的に増やすためのアライアンスも非常に重要になってくると思います。「ジモティー」と「ジモティースポット」の2つの事業を10倍にするためにはどうすれば良いのか、という大きなスケールで考えていくことが重要です。

また、マネタイズのスキームについても改善をしていきます。去年までネットワーク広告がメインの収益源でしたが、自社広告化に着手し、収益性改善を試みています。単純にネットワーク広告を自社広告化するにとどまらず、今後はユーザー様がいる場所に合わせて広告の内容やプロダクトの作り方自体を最適化していく「ジオマーケティング」に取り組んでいきます。

ー顧客課題・ニーズに徹底的に向き合っていらっしゃる印象を受けますが、何か具体的な取り組みをされているのでしょうか?

加藤: まず、ユーザー様に直接お話を伺う機会はプロダクトを作ってるメンバーを中心に継続して実施しています。また、当社ではカスタマーサポートの部署が最も人数が多く、加えてそのメンバーのほとんどがユーザー様の中から応募いただいた方々です。元々ジモティーを利用していたので、ユーザー様目線の意見が出ますし、ジモティーの利便性を上げたい、地域の中での暮らしやすさに貢献したい、といった気持ちで参加いただける仲間が多いのは顧客の課題に向き合う上でとても大きな強みとなっています。

今後のファイナンス計画や重要テーマ

ー先程、10倍の成長を目指していく、というお話がありましたが、その上でファイナンスっていうのをどういうふうに活用していきますか?

加藤: 成長を加速させていく上で、ファイナンスは非常に重要だと考えています。 我々が構築している「ジモティー」と「ジモティースポット」という2つのプラットフォームのコアバリューがしっかりと定着し、拡張していくタイミングでは、ファイナンスの力を使ってテコの原理を働かせていくつもりです。 戦略提携やM&Aも含め、ファイナンスを活用した成長速度を早めるための戦略にも取り組んでいきたいと考えています。

ZUU onlineユーザーへ一言

株式会社ジモティー
(画像=株式会社ジモティー)

ーー最後に、ZUU onlineユーザーに一言お願いします。

加藤: 私どもは短期的な小手先の成長を追うのではなく、中長期的にしっかりとリターンを生み出し続けられる仕組みづくりに取り組んできました。 今はその取り組みの芽が出始めているタイミングで、これからは非常にドラスティックな変化をするフェーズに差し掛かっています。 当社の事業やビジョンにご共感いただけるようであれば、応援いただければと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

氏名
加藤貴博(かとう たかひろ)
会社名
株式会社ジモティー
役職
代表取締役社長