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(画像=株式会社オリエントコーポレーション)
松岡 英行(まつおか ひでゆき)
株式会社オリエントコーポレーション 常務執行役員 人事・総務グループ長
1990年に株式会社オリエントコーポレーション入社。当社入社以来、個品割賦、カード事業や経営企画部門等の多様な業務に従事し、2016年にカード企画部長に就任。
2018年より執行役員、2020年に常務執行役員に就任、2022年より人事・総務部門を統括。
株式会社オリエントコーポレーション
信販業界のパイオニアとして他社に先駆けた取り組みに挑戦し、それぞれの時代のライフスタイルや決済ニーズに合わせたサービスを提供してまいりました。
長期目線で社会価値と企業価値の両立をめざす「サステナビリティ」を経営の軸として、10 年後のめざす社会・めざす姿、その実現に向けた重要課題(マテリアリティ)からバックキャスティングの考え方のもと、お客さま起点で価値を創造する新時代の金融サービスグループをめざしております。

目次

  1. 人的資本経営の取り組みについて
  2. 人的資本経営で苦労した点とそれを乗り越えた施策
  3. 取り組みを行った後の反響について
  4. 従業員による付加価値創造について
  5. ステークホルダーの皆様のメッセージ

人的資本経営の取り組みについて

私たちオリエントコーポレーションは、1954年の創業以来、数々の挑戦を経て、お客さま起点で価値を創造する新時代の金融サービスグループに向けて、変革を進めております。約1100万人のクレジットカード会員と、コストコや森ビルなど名高い企業との協業により、提携カードの発行を行っています。BtoBtoCモデルを軸に、85万店の加盟店とともに、お客様のファイナンスのニーズに応えています。 中期経営計画では、社会への貢献と企業価値の向上を目指すべく、「Transformation Now!」をスローガンに掲げ、「グリーン」「デジタル」「オープンイノベーション」を切り口として、従来型の信販モデルから脱却し、お客さま起点での価値提供の拡大を目指しています。

当社では、「人的資本経営」という言葉を人事が関わる領域だけでなくそれ以外の活動も含めたものと捉え、教育や学習の支援など社員のスキル・能力発揮に向けた投資に加え、社員が自身の能力を存分に発揮できる環境を整備するなど、成長戦略の重要な要素と位置付けています。 中期経営計画では経営戦略の一つに人財戦略を掲げています。人財戦略では、経営戦略と連動させながら、会社が期待する「求める人材像」と会社が社員に対して何を約束するかの「人財マネジメントポリシー」を定め、社員エンゲージメントの最大化を追求して会社と社員が互いに成長できるwin-winの関係を築いていくことを目指しています。中期経営計画における重点実施事項としては、多様性に富んだ人材集団作りと新時代のための人事基盤づくりの二つの柱を立てています。具体的には、去年4月から新たな人事制度基盤として、ミッションを基軸にした新人事制度を導入しました。これは、単純な仕事ではなく、自分の仕事が世の中や社会、マーケットに対して何を果たすのかというミッションを大切にする考え方に基づくものです。

また、当社で働く全ての社員が仕事を通じて自分らしく活躍できる会社を目指しており、そのためには多様な価値観、考え方やライフイベントに寄り添っていくことが重要であると考え、社員の自律的なキャリア形成支援に注力しています。世の中の価値観の変化が激しい中で、従来の企業が主導する社員の異動や配置などが限界を迎えつつあることを認識し、これからは社員一人ひとりの価値観やライフステージに合わせたキャリアの考え方を踏まえて人事制度を組み立てていこうとしています。 具体的な制度として、当社は全国に支店を持っていますが、今後は社員が望まない転居を伴う転勤を廃止しました。また、2025年の4月から社員のキャリア志向を踏まえたジョブポスティングに移行することも掲げており、社員がよりチャレンジしやすい制度を目指していきます。社員自ら望んだ部署につき、能動的に行動していくことで自身の力を存分に発揮して成長し、また会社への貢献も最大化する環境を目指しています。

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人的資本経営で苦労した点とそれを乗り越えた施策

望まない転居を伴う転勤の廃止と全国規模のネットワークとの両立は、私たちが現在取り組んでいる大きな課題ですが、自律的キャリア形成のカルチャーを作っていくことで、地域における責任あるポジションへの挑戦といった形でその実現に向けて取り組んでいきます。 そのために、まず社員がキャリアを考えるベースを構築することが必要だと考えています。

これまでの会社主導の異動運用においては、社員が自らのキャリア形成に関し行動する機会は多くはありませんでしたが、現在、将来のキャリア志向も踏まえた上で、社員自ら自発的に行動を促すような様々な施策をスタートさせています。 誰もが挑戦できる環境を整え、スキル面では資格取得の支援なども行っています。

一番大事なのは、直属の上司が部下のキャリアに親身になって相談を受け、時には部下のキャリアを考えたアドバイスができる環境作りです。 その前提として、自分でキャリアを考えるとはどういうことか、という点について、法政大学の田中研之輔先生をお招きして、全社員対象のセミナーを実施しています。 田中先生は、多くの講演実績を持つ著名な講師であり、当社に直接訪問いただき、社員のキャリアについて熱心に語ってくださいました。

取り組みを行った後の反響について

田中先生がセミナーで講演したテーマは、自分のキャリアを自律的に考える方法についてでした。その後のアンケート調査では、「目から鱗でした」という感想もいただきました。また、上司の方々にとっても、部下との向き合い方や自身のキャリアについて考える良い機会となりました。去年4月からは、国家資格のキャリアコンサルタントを人事部に配置し、客観的な立場からアドバイスができる体制を目指しています。これにより、社員の意識も変わりつつあります。 目標があることで、自分がやりたいことに対して足りないスキルを自ら能動的に学ぶ環境が整っています。デジタルをキーワードに、社員全員がデジタル人材として学ぶ環境を作ることを目指しています。そのため、社内の学習プラットフォームにデジタル人材向けの講座を用意し、DX人材初級プログラムを作成しました。これにより、初年度で約3000人以上の社員が学ぶことができました。

この取り組みを通じて、学びのカルチャーが浸透し始めています。また、学習プラットフォームにはデジタルだけでなく、経営、マーケティング、語学など様々な分野のコンテンツが用意されており、全員が自由に学べる環境が整っています。ただし、まだ十分満足いくものではないため、継続して取り組みを進めていく必要があると考えています。

従業員による付加価値創造について

新たな人財戦略においては、自律的キャリア形成とインクルージョン&ダイバーシティを二つの大きな柱としています。ダイバーシティに関しては、2014年から女性活躍を中心に様々な取り組みを行ってきましたが、目的を改めて捉え直してインクルージョンという考え方を採り入れ、多様性だけでなく一人一人が力を発揮できる環境づくりを重視しています。 今年4月には、インクルージョン&ダイバーシティ基本方針を新たに制定しました。最終的に目指すインクルージョンを先に持ってくる当社独自のネーミングを行い、インクルージョンの浸透を図ることで、新しい視点を持つ人材が集まり、新サービスや商品開発につなげていくことを目指しています。

経験者採用も積極的に行い、昨年度は50名、今年度は約100名が採用できる見込みです。新卒採用も100名を見込んでおり、バランスの取れた体制を構築しています。 一般的に、社員は日々の業務に追われるあまり、手段と目的が見失われがちです。そこで、ミッション定義書を作成し、自分たちの仕事が誰のためにどのような価値を提供しているのかを意識しながら働けるようにしています。ミッション定義書を基に、それぞれが目指すべきキャリアについて考え、仕事に対する新たなアイデアや創意工夫を生み出してほしいと考えています。 また、学びに関しては、外部の知見を積極的に取り入れ、自ら学んで成長していくことを当社の方針として定着させたいと考えています。

ステークホルダーの皆様のメッセージ

私たちは、投資家の皆様や関係者の皆様への透明性を重視し、人的資本経営の取り組みを継続的に開示してまいります。 統合報告書の発行や、社外の研究機関との連携などを通じて、企業価値の向上に資する情報を積極的にお伝えしてまいります。私どもの取り組みを、どうぞご期待ください。

氏名
松岡 英行(まつおか ひでゆき)
会社名
株式会社オリエントコーポレーション
役職
常務執行役員 人事・総務グループ長