◉2011年の人気投信ランキング


次に2011年の資金流入ランキングを見て見ましょう。北米への投資が多い年となります。
なお、この年は円相場が75円32銭の戦後最高値を記録しました。

2011年度ファンド別資金流入ランキング と最近のポートフォリオ

※ランキングはETFを除く追加型株式投信について2011年12月30日時点
※モーニングスターカテゴリは2013年4月30日、投資地域は2012年9月以降のデータです

2011 年に入り、世界経済の回復に陰りが見え始めます。特に後半は、先進国、新興国双方の成長速度が鈍化すると共に、財政、金融の安定性への懸念が増しました。

2011 年 6 月以降、ユーロ圏では、当事国の意見対立によりギリシャのデフォルト懸念が収束せず、市場の懸念はイタリアやスペインにまで拡大します。このような環境下で、欧州のマネーが米国にシフトしました。その結果として、日本人のの投資行動も米国へ向かいました。特に金融危機以来、割安に放置されていたREITへの資金流入が目立ちました。
また、米国では、連邦政府の債務上限引上げを巡る政治的対立により、一時的なデフォルトの可能性が生じました。実際には、妥協の成立により回避したものの、8 月 5 日には、大手格付会社の 1 つが米国債の格付を史上初めてトリプル A からダブルA+へと引き下げます。

このような米国の財政懸念とユーロ圏債務危機の深刻化を反映し、2011年夏から秋には世界同時株安、国債価格の下落、為替市場の変動など、世界的な金融市場の混乱が生じます。2011 年 8 月以降、国際機関やアナリストによる世界経済の見通しは下方修正が相次ぎました。


◉2012年の人気投信ランキング


2012年も前年に引き続き、北米への投資が多いです。しかし、前年よりは豪ドル債とエマージング諸国への投資が増えています。
1位については、スタンダード・アンド・プアーズが、2011年8月にアメリカ国債を最上位から格下げしたことで、信用力が高い債券を主要投資対象とするという豪ドル債券に人気が集まった結果と見ることも出来ます。

2012年度ファンド別資金流入ランキング と最近のポートフォリオ

※ランキングはETFを除く追加型株式投信について2012年12月28日時点
※モーニングスターカテゴリは2013年4月30日、投資地域は2012年9月以降のデータです

世界経済は、欧州債務危機が長期化する中、中国など新興国経済の減速が続き、アメリカ経済も回復のテンポを緩めていましたが、足元では底打ちの兆しが表れ始めます。中国の実質GDP成長率も下げ止まり、その他の新興国もこれまでの金融緩和や財政出動などの効果が表れ、減速に歯止めがかかるようになりました。

米国経済は、これまで景気の足を引っ張ってきた住宅市場が底打ちし、欧州経済は景気後退を続けているものの、金融統合、さらには財政統合へと、統合を深化させる方向へ向かい、信頼を高め始めます。この住宅市場の回復や流動性相場の加速の結果として、引き続き、REIT市場に資金が流れ続けました。
アメリカの「財政の崖」など不透明要因が残りつつも、世界経済は来年以降の回復が期待できるというムードに包まれました。

以上、前回に続いて2010年から2012年の人気ファンドと経済情勢のまとめをお届けしました。
何かしらの参考になれば幸いです。

BY saya