NISA口座数が業界No.1の楽天証券をすすめる人はネット上に多いのですが、デメリットもあります。楽天グループのサービスをそこまで使うつもりがない場合は、無理に楽天証券を選ぶ必要はありません。NISA口座はすべての金融機関のなかで1人1口座しか開設できないため、他社とも比較して選びましょう。
本記事では、NISA口座を楽天証券にするデメリットについて解説します。他社で新NISAを始めたほうがいい人も紹介するので、これからどこで新NISAを始めたらいいのか迷っている人は確認してみましょう。
NISA口座を楽天証券で開設するデメリット
NISA口座を楽天証券で開設する主なデメリットは、以下の3つです。楽天ポイントを使わない人は、他社を選んだほうがいいでしょう。
楽天以外のポイントが使えなくなる
楽天証券は、楽天以外のポイントが使えません。楽天ポイントと名前が似ている「楽天証券ポイント」もありますが、使い勝手が良くないので95%の利用者が楽天ポイントを選んでいます。楽天ポイントを利用しない人が楽天証券に口座を開設すると自分が使いたいポイントを選べないだけでなく、せっかく貯まった楽天ポイントの有効期限が切れる可能性もあります。
SBI証券のように複数のポイントから選べないほか、マネックス証券のマネックスポイントのように他社ポイントへの交換もしづらいです。楽天以外のポイント(Tポイント、Pontaポイント、Vポイント)を使いたい場合は、SBI証券を選びましょう。
\3種類のポイントでポイント投資が可能/
ポイント還元率などの条件変更が多く混乱しやすい
楽天証券は、クレカ積立(クレジットカード決済でできる投信積立)のポイント還元率を2024年までの2年間で2回も変更しています。変更前の還元率は1.0%でしたが、2022年9月の改悪で人気のある低コスト銘柄は0.2%になりました。2023年6月買付分から現行のポイント還元率(0.5~1.0%)に変更されており、1年も経たない間での条件変更は利用者も混乱したことでしょう。
楽天証券以外の大手ネット証券では、2年間でクレカ積立のポイント還元率を2回も変更した例はありません。楽天は、証券だけでなくグループ全体で「コロコロと条件を変更する会社」というイメージがついており、将来的な改悪リスクもあります。グループ全体の業績が好調でサービス内容に大きな変更がないSBI証券のほうが、安心して利用できるでしょう。
\手数料無料化などのサービス拡充に積極的/
SBI証券との比較について詳しくはこちら
SBI証券と楽天証券|つみたてNISAならどっち?9つの項目で比較
投資信託専用のアプリがない
楽天証券には、投資信託専用のアプリがありません。スマホ用のサイトはありますが、アプリと比べて利便性は低い傾向です。例えばSBI証券であれば投信積立専用の「かんたん積立 アプリ」、松井証券であれば「投信アプリ」など投資信託専用のアプリがあります。
楽天証券は、評価の高い株アプリ「iSPEED」が有名ですが、投資信託用のアプリを開発する予定はありません(2024年2月24日時点)。
NISA口座を楽天証券で開設するメリット
楽天証券は多くのデメリットがありますが、NISA口座数が業界No.1であり、それを裏付ける以下のようなメリットがあります。
楽天カードで投資信託の積み立てができる
楽天証券は、楽天カードで投資信託の積み立て(クレカ積立)が可能です。楽天カードのランクに応じて積立金額の0.5~1.0%の楽天ポイントが貯まります。
【楽天証券のクレカ積立】
カード名 | ポイント還元率 (クレカ積立) | 年会費 (税込み) |
---|---|---|
楽天プレミアムカード | 1.0% | 1万1,000円 |
楽天ゴールドカード | 0.75%(※) | 2,200円 |
楽天カード | 0.5%(※) | 永年無料 |
楽天カードを普段から使っている人は、新たに別のカードを発行することなくクレカ積立が始められます。
\楽天カードで投資信託の積立投資ができる/
日経新聞が無料で読める
楽天証券は、大手ネット証券で唯一、日経新聞が無料で読めます。日経テレコン(楽天証券版)からアクセスすると、直近3日分の日経新聞、日経産業新聞、日経MJの閲覧が可能です。日経電子版と比べて機能面の制約はありますが、月4,000円以上かかる情報が無料で読めると考えれば、十分すぎるメリットといえるのではないでしょうか。
\月4,000円以上の情報が無料で読める/
ポイント投資で楽天ポイントが使いやすい
楽天証券は、ポイント投資で楽天ポイントが使いやすいです。ポイント投資の対象商品は、他の大手ネット証券より幅広く投資信託、日本株、米国株に1ポイントから使えます。
【大手ネット証券のポイント投資の比較】
楽天証券 | SBI証券 | マネックス 証券 | auカブコム 証券 | 松井証券 | |
ポイント 投資 対象 ポイント | 楽天ポイント | Vポイント Tポイント Ponta ポイント | マネックス ポイント | Ponta ポイント | 松井証券 ポイント |
ポイント 投資 対象商品 | 投資信託 日本株 単元未満株 米国株 | 投資信託 日本株 単元未満株 | 投資信託 (積み立てを除く) | 投資信託 単元未満株 (積み立てを除く) | 投資信託 (3銘柄) |
利用単位 (下限) | 1ポイント | 1ポイント | 1ポイント | 1ポイント | 100ポイント |
条件達成で楽天銀行の預金金利が最大0.1%に上がる
楽天銀行に口座があれば、口座の連携(マネーブリッジ)により普通預金金利が最大0.1%に上がります。条件は、楽天証券と楽天銀行の口座開設、マネーブリッジ(無料)申し込みの2つだけです。少しでも銀行預金の金利を上げたい人は、楽天銀行と楽天証券に口座を開設しましょう。
条件達成で楽天市場のポイント還元率が最大1.0%上がる
楽天証券は、楽天市場のポイント還元率が上がるSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象サービスの一つであり、条件達成でポイント還元率が最大1.0%上がります。
【SPU(楽天証券)】
条件 | ポイント還元率UP |
---|---|
・マネーブリッジの設定 ・投資信託への投資金額が月3万円以上 ・うち楽天ポイントを1ポイント以上利用 |
0.5% |
・マネーブリッジの設定 ・米国株への投資金額が月3万円以上 ・うち楽天ポイントを1ポイント以上利用 |
0.5% |
条件の判定は、毎月行われるため、楽天市場でまとめ買いしたい月だけ条件を達成させてポイント還元率を増やすこともできます。
\条件達成で楽天市場のポイント還元率UP/
楽天証券でNISAを始めたほうがいい人
楽天証券でNISAを始めたほうがいい人は、以下2つのどちらかに当てはまる人です。特に楽天グループのサービスを使っている人は、楽天証券でNISAを始めたほうがいいでしょう。
楽天会員で楽天グループのサービスを使っている人
楽天証券は、利用者の83.9%(2023年12月時点)が楽天会員であり、楽天グループのサービスを使えば使うほどメリットが大きくなります。
楽天は、楽天ポイントを付与して自社グループのサービスを使ってもらい、ポイントを循環させることでグループ全体の収益につなげる「楽天経済圏」を形成しています。楽天証券も楽天経済圏の一つのため、楽天証券は楽天グループのサービス利用者におすすめです。
証券口座をはじめて開設する人
楽天証券は、他の大手ネット証券と比べて初心者にわかりやすいアプリ、サイト設計を心がけているため、証券口座をはじめて開設する投資初心者に向いています。例えばSBI証券と楽天証券でスマホ用のサイトにログインすると、楽天証券ならログイン後すぐに資産の合計額が表示されます。
スマホアプリの評価も高く、株アプリ「iSPEED」はApple Storeで★4.5です(2024年3月1日時点)。使いやすいサイト、アプリを使いたいなら楽天証券を選びましょう。
\サイトやアプリが使いやすい/
他社でNISAを始めたほうがいい人
一方で楽天ポイントを使わない人やIPO投資がしたい人などは、他社でNISAを始めたほうがいいでしょう。
新NISAで取引する日本株や米国株の手数料は、大手ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)ならどこも無料または実質無料なので、楽天証券に無理にこだわる必要はありません。
楽天ポイントを使わない人:SBI証券
楽天ポイントを使わない人は、複数のポイントから選べるSBI証券がおすすめです。6種類のポイントが貯まり、うち3種類(Tポイント、Pontaポイント、Vポイント)はポイント投資にも対応しています。楽天のようにモバイル事業で赤字が続いているなどの懸念点がなく、サービスの改悪が楽天証券よりも少ないです。
楽天ポイントを使うつもりがない場合は、ネット証券最大手のSBI証券を選びましょう。
\6種類のポイントから選べる/
IPOを始めたい人:SBI証券
IPO投資を始めたい場合もSBI証券が向いています。IPO(新規公開株)は、証券取引所で取引できるようになる前(上場前)の株式に応募し、抽選に当たれば購入できる仕組みです。証券会社によって取り扱いの有無や引受株数が異なるため、証券会社選びが大切になります。SBI証券のIPOは、業界最多の実績数を誇り引受株数が多い主幹事の実績も豊富です。
【大手ネット証券5社のIPOの実績(2023年4~12月)】
実績数 | うち主幹事数 | |
---|---|---|
SBI証券 | 74社 | 17社 |
松井証券 | 53社 | 0社 |
楽天証券 | 48社 | 0社 |
マネックス証券 | 42社 | 0社 |
auカブコム証券 | 22社 | 0社 |
IPOは複数の証券会社で同じ銘柄に申し込むこともできますが、もし1社だけに申し込むならSBI証券を選びましょう。
\IPOの実績数が業界最多/
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SBI証券で口座開設するメリットを紹介
できる限り手厚いサポートを求める人:松井証券
手数料の安さを重視しつつも手厚いサポートを求める人は、松井証券がおすすめです。ネット証券のなかではサポートが手厚く、日本株と米国株は銘柄選びや取引タイミングの相談もできます。他のネット証券は、操作方法など不明点の問い合わせ以外は原則受け付けていません。そのため、はじめて株式投資をする人も松井証券であれば安心です。
電話の問い合わせも待ち時間が短く、2024年1月の実績ではどの時間帯でも3分以内です。手厚い顧客サポートを求めるなら、松井証券を選びましょう。
\顧客サポートが手厚い/
松井証券について詳しくはこちら
松井証券の口コミ分析でわかった!おすすめポイントと注意点、対応策まで解説
NISA口座は楽天証券以外の証券会社とも比較して決めよう
NISA口座は、楽天証券以外の証券会社とも比較して決めましょう。NISA口座は、すべての金融機関のなかで1人1口座しか開設できません。NISA口座開設後に証券会社を変更することはできますが、手続きに2週間程度かかります。楽天証券は、楽天グループのサービス利用者にメリットがあるものの、人によっては無理に楽天証券を選ぶ必要がない場合もあります。
新NISAで手数料が安い大手ネット証券は、楽天証券以外に4社(SBI証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)あるので、比較したうえでNISA口座を開設しましょう。
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金融系ライター・個人投資家
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