moomoo証券

世界で2,100万人以上が利用するmoomoo証券は、無料で使える高クオリティな機能が満載のアプリ「moomoo」を提供するなどフィンテック業界を牽引する企業でもある。2024年5月時点で、アプリ「moomoo」は100万ダウロードを超えており(※)、注目を集めている。

2024年3月から本格的に日本株取引を開始した同社は日本株式市場をどのように捉えているか。代表取締役社長を務める伊澤フランシスコ氏に話を聞く。

※…data.ai(現在はSensor Towerに統合)集計によるアプリ名「moomoo」の累計ダウンロード数。 すべてのサポートデバイス(iOS/Android)の合計値。集計期間は2022年10月27日~2024年5月5日

▽お話をお聞きした人:代表取締役社長 伊澤フランシスコ氏
リーマン・ブラザーズ証券やソシエテ・ジェネラル証券などの大手外資系証券会社のトレーディング部門にて株式およびデリバティブ取引を経験。SBI証券のマーケティング部長、サクソバンク証券社長を経て2022年10月にmoomoo証券株式会社 代表取締役社長に就任し現在に至る。

−−最近、社名をよく見かけます。moomoo証券とは、どのような証券会社なのでしょうか?

moomoo証券は米国のナスダック市場に上場する富途控股(Futu Holdings:フートゥー・ホールディングス)のグループ会社です。フートゥー・ホールディングスは香港籍のフィンテック企業で、香港や、アメリカ、シンガポール、マレーシア、オーストラリアで資産管理プラットホームとオンライン証券のサービスを提供しています。日本でも同様のビジネスを展開するためにひびき証券(大正9年設立)を買収し、moomoo証券として日本国内における証券業のライセンスを取得しました。

ちなみにmoomooとは、英語で牛の鳴き声を意味しています。投資の世界では、雄牛が角を下から上へ突き上げる仕草を連想できる上昇(強気)相場のことをブル(Bull:雄牛)と呼んでおり、moomoo証券のロゴマークも雄牛をイメージしたものになっています。

−−moomoo証券のサービスについて教えてください。

moomoo証券は、米国株取引のサービス提供からスタートし、2024年3月18日から日本株も取り扱うようになりました。7,000銘柄以上の米国株を取り扱っており、日本初となる300銘柄以上での24時間取引に対応しています。米国株の売買手数料が、NISA(少額投資非課税制度)口座は0円、一般口座は0.088%で、業界屈指の最安水準となっています。

日本株は東京証券取引所に上場する4,000銘柄以上の個別株やETF、ETN、REITなどを取引できます。手数料はNISA口座、一般口座ともに0円です。6月ごろを目処に日本株の単元未満株取引にも対応する予定です。今秋までには投資信託の取り扱いも開始し、NISA「つみたて投資枠」での投資も可能にしたいと考えています。

−−moomoo証券が他のオンライン証券とどう違うのか、強みや独自性について教えてください。

当社最大の強みは技術力の高さにあると思います。先に述べたように親会社がフィンテック企業であり、moomoo証券ではイノベーションをすべての活動の中核に位置づけています。

最先端の機能やツールをアプリに搭載するために、つねに進化を重ねています。moomooアプリはその結晶です。熟練の投資家のみならず、初心者も直感的にストレスなく使用できるUI(ユーザーインターフェイス:デザイン上のわかりやすさや操作性)やユーザビリティ(操作の有効性や利用の満足度)にこだわっています。

他のオンライン証券との違いについてですが、大半のオンライン証券では口座を開設したうえで、取引や情報収集に用いるアプリをダウンロードするというのが通常の流れでしょう。口座開設後でなければアプリで提供されている金融情報にアクセスできないケースも少なくないはずです。これに対し、当社で口座を開設していなくても、iOS端末のApp StoreやAndroid端末のGoogle Playストアからmoomooアプリをダウンロードでき、無料で利用できます。

複雑な金融情報を分析しビギナーにもわかりやすく可視化

−−アプリについてもう少し詳しく教えていただけますでしょうか?

はい、moomooアプリは2018年に米国のシリコンバレーで開発されました。香港では成人人口の40%以上、シンガポールでは30%近くを占めるダウンロード数を誇り、全世界のユーザー数が2,100万人以上に達しています。日本では2022年10月からアプリの提供を開始し、2023年には1日当たりの平均ダウンロード数が国内オンライン証券会社の中でトップ3にランクインしました。

ダウ・ジョーンズ・ニュースやBenzinga、CNBC、みんかぶなど、国内外の多彩な金融情報にアクセスできます。英語のニュースは日本語に翻訳されて提供されるので、日本に居ながら海外の最新情報をリアルタイムで察知できますし、本家である米国モーニングスターの現地作成レポートも閲覧できます。

※一部機能は、口座開設後にご利用いただけます。

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(画像=国内外の多彩な金融情報にアクセスが可能)

口座開設後はmoomooアプリを通じて取引が可能になります。また、市場に出ている売り買いの注文状況をリアルタイムで分析したり、生成AI技術を駆使してチャートの推移を予測したりする様々なツールを活用いただくこともできます。

−−moomoo証券ならアプリをダウンロードした直後から、最先端の情報をチェックできるということですね。初心者でも、難なく活用できるのでしょうか?

moomoo証券は、より多くのお客さま様が投資の目的を達成するうえで、わかりやすく情報を可視化することが非常に重要なポイントであると考えています。

投資を始める根本的な理由は資産を増やしたいというところにあるはずです。ですが、具体的にどうすれば資産を増やせるのかがわからない人も少なくありません。

手数料の安さやポイントが貯まるサービスなどに魅力を感じて証券会社を選んでも、「何に投資すればいいのか?」という根本的な問題が解決されなければ、資産を増やすという目的を果たすのは難しいのが現実です。単に多彩な情報を提供するだけでは不十分で、それらを的確に読み解く能力が求められます。

たとえば、個別銘柄の取捨選択を行う際には業績の推移と今後の見通しについて分析する必要がありますが、過去何年分もの財務諸表を詳細に確認するのは大変な作業です。記載されている内容がよくわからないというケースも珍しくないでしょう。

moomooアプリでは、生成AIをはじめとするフィンテックを駆使し、財務諸表などの分析結果がグラフ化された状態でチェックできるようになっています。

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(画像=財務諸表などの分析結果がグラフ化された状態でチェックできる)

特にビギナーのお客さまにとっては、パッと見てわかるアプローチが非常に重要なポイントとなってきます。どれだけ的確な分析であっても、長い文章では、集中力も続きませんし理解が難しいです。お客さまにとって有用な情報を可視化して直感的に把握していただくことこそ、「資産を増やす」という目標に結びついていくと私たちは考えています。

重要な海外投資家の動きも素早く察知できる

−−先程、海外発の最新情報をリアルタイムでチェックできるとおっしゃっていました。日本株を取引する際にも、海外からの情報が重要になってくるのでしょうか?

現在、東証プライム市場における買い手の約7割を占めているのが海外の投資家で、彼らの動向が日本株の推移に並々ならぬ影響を及ぼしています。したがって、海外の投資家が日本株のことをどのように捉えているのかという観点が非常に重要です。

国内の機関投資家や金融機関の専門家も日本株の分析を行っていますが、海外の投資家が異なる見解を示すケースも考えられるでしょう。その点、すでに当社で口座を開設しているお客さまなら、海外で作成された日本株に関するレポートが公開されると同時に翻訳された情報をアプリで閲覧できます。

−−たとえばどのようなレポートが見られるのでしょうか?

昨今の日本株においては、海外の投資家をはじめとする大口取引の動向が重要な情報のひとつになっています。以前、世界最大の投資会社を率いるウォーレン・バフェット氏が日本の商社株を買っていたことが話題になりました。

バフェット氏は米国の法令に従って四半期ごとに保有銘柄に関する情報を公開していますが、日本では具体的にどんな銘柄を買っていたのかを把握できない個人投資家も多かったようです。しかし、moomoo証券のお客さまはバフェット氏の保有銘柄に関する詳細な情報を、翻訳・ビジュアル化されたうえで24時間以内に入手できます。

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(画像=「注文・約定分析」の画面)

また、moomooアプリの個別銘柄情報ページに格納されている「注文・約定分析」というメニューでは、その銘柄における日々の平均的な注文金額や約定金額がモニタリングされています。そして、何らかの大口の取引が入って通常とは異なる金額に達した場合は、リアルタイムでグラフィック表示され、すぐに異変を察知できます。

もちろん、moomooアプリの豊富な情報は米国株の取引でも有益に活用できます。たとえばNasdaq TotalView(※)は、米国のNasdaqやニューヨーク証券取引所、地方証券取引所などに上場する全銘柄の注文状況(板情報)を確認できるサービスで、一般的な板情報の20倍以上に及ぶ気配値を確認できます。

※2024年7月31日まで無料トライアル実施中。その後は有料プランへの申し込みが必要となります。

預貯金から投資へシフトしつつある日本で気軽に使えるアプリを目指す

−−新NISAがスタートして日本国内でも投資を実践する人が増えていますが、海外の金融先進国と比べると、まだまだ温度差が感じられるのでしょうか?

依然として海外の個人投資家のほうが金融リテラシーは高いと言えそうです。特に世界最大の株式市場を有する米国や富裕層の占める割合が大きいシンガポールではその傾向が強くなっています。

米国では、日本の確定拠出年金のモデルとなった制度(401k)がずいぶん前から存在していましたし、株式市場や不動産市場が長く右肩上がりを描いてきたため投資が生活に根づいています。そういった海外と比べると、相変わらず日本では個人の金融資産が預貯金に偏っているのが実情です。

とはいえ、金融庁はNISAの拡充とともに投資家教育にも力を入れていますし、東証も上場している日本企業の価値向上を目指して様々な改革に取り組んでいます。着実に日本でも、預貯金から投資へのシフトが進む流れが生じていると思います。

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(画像=インタビューに答える伊澤社長)

−−これから投資を始めるビギナーにも、積極的にアプローチしていきますか?

これまでにmoomoo証券で口座を開いて米国株や日本株の取引を始めているお客さまは、どちらかと言えばそれなりの投資経験がある方が多かったのが現実です。しかし、投資信託の取り扱いもスタートさせてNISAのつみたて投資に対応する今秋には、初心者のお客さまにフォーカスしたサービスも拡充させていく方針です。

初心者がいきなり個々の投資信託を細かく分析するのは困難ですから、ガイドに従っていけば自分に適した選択肢を導き出せるナビゲーション機能や投資教育メニューを充実させていきたいと考えています。また、当社が得意とするソーシャルトレーディングも強化していくつもりです。

−−ソーシャルトレーディングとは、どのようなものでしょうか?

ソーシャルトレーディングとは、コミュニティ内の投資家同士が情報を共有したり、アドバイスを受けたり、上級者の手法を模倣したりしながら、投資の技術を磨いていくことです。moomooアプリで利用できるシミュレーション・トレーディングもその一環で、リアルタイムで更新される株価情報に基づいて、実際に資金を投入することなくデモトレードを行えます。

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(画像=デモトレードの画面)

デモトレードの成績優秀者がランキングで表示され、彼らがどういった銘柄をどのように売買しているのかを個々にチェックできます。高い成果を上げている上位者のマネをしながら、その着眼点や売買タイミングを体得していくことができます。

他にも投資について学べる多様な動画も用意していますし、2100万人を超える世界規模のユーザーネットワークを通じて海外の投資家とコミュニケーションを交わしながら知識や経験を共有することが可能です。

−−最後に日本株式市場へ本格的に参入されての意気込みをお願いします。

米国株と日本株に加え、今秋を目処に投資信託まで取り扱いを拡大させてようやくサービスの基礎部分が完成した段階と考えています。その後もさらに拡充を進めながら、より多くのお客さまが投資の本来の目的を果たせるようにサポートを行っていきたいと考えています。

「まずはアプリを気軽に使ってみてください」という入口からスタートするのが当社のビジネスモデルです。実際にアプリを使ってみて情報の内容や操作性、機能などを気に入ったら、moomoo証券に口座も開設して投資を始めてくださいというスタンスです。この記事をきっかけにできるだけ多くの方々にアプリを使ってみていただけますと幸いです。