トヨタ・ブランドのフラグシップとなる「クラウン」。そのセダン版が2023年11月に発売されました。最新の「クラウン(セダン)」のユーティリティの内容は、どのようなものになっているのかを解説します。文・鈴木ケンイチ/写真・PBKK
後席を重視したゆとりあるパッケージング
トヨタの「クラウン(セダン)」は、正統派セダンとして、オーナーカーだけでなく、ショーファーカー(オーナーが後ろに乗って、別の人が運転を行うというスタイル)というニーズにも応える必要があります。
そのためパッケージングは後席に座った人のためのゆとりのスペースが用意されています。具体的には、3000㎜という長いホイールベースが設定されており、前席乗員と後席乗員のカップルディスタンスも1000㎜と大きなものとなっています。また、後席の頭上空間も十部なスペースが用意されており、足を伸ばすことのできるくつろぎの空間が実現しています。
使いやすさにこだわるラゲッジ
ラゲッジスペースはハイブリッド車で450リットル、FC(燃料電池)モデルで400リットル。9.5インチのゴルフバッグでいえば、ハイブリッドであれば3個、FC(燃料電池)モデルでは2個を収納します。
ラゲッジのフタとなるトランクリッドの開閉は電動でも可能です。ハンズフリーパワートランクリッド(はさみ込み防止機能付き)となっているため、キーを携帯した状態でバンパー下に足先を出し入れすると、自動でトランクリッドが開閉します。
また、半ドアを防止するイージークローザー機能が、トランクリッドとすべてのドアに備わっています。
後席用のおもてなし機能
後席用のおもてなし機能も充実しています。後席はリヤパワーシート(40/20/40分割リクライニング)で、電動でリクライニングを行います。また、後席の左右席はリフレッシュシートとなっており、座面の中に仕込まれたエアブラダー(空気袋)によって、乗員の背中から大腿部までを押圧することができます。
足元には置き型フットレストが用意されています。踏む面の角度を2段階に調整可能。使わないときは、取り外して専用の袋に入れて、ラゲッジなどに収納しておきます。
後席のドアは手動のサンシェード、バックウインドウには電動リヤサンシェードが装備されています。また、販売店オプションとしては、ヘッドレストピロー(脱着式)も用意されています。
乗り降りをサポートするアイテム
後席の乗り降りをサポートする機能も充実しています。前席の背面にはシートバックアシスタントグリップ、後席ドアには乗降サポートグリップが備わり、乗降時の手すりとなります。また、降車時リクライニングサポート機能により、ドアを開けると、自動で後席リクライニングが降りやすい角度に調整されます。
おもてなしの光の演出
室内には64色に切り替え可能なLED照明が配置されています。LED照明はインパネ左右、センターコンソール、リヤドアトリム、フロントカップホルダー、足元などに間接照明として機能するように配置されており、空間に広がりと奥行きを生み出します。多彩なカラーバリエーションを使い、癒しの空間を演出しています。
また、ドアロック解除に連動して室内照明が点灯する、イルミネーテッドエントリーシステムを採用。ドライバーや乗員による乗車を、お迎えする光の演出です。
快適な空間を生み出す空調機能
エアコンにはナノイーX機能を装備。お肌や髪に優しい弱酸性で、ウイルス/菌の抑制、脱臭機能が備わっています。
シートには、ヒーター機能とベンチレーション機能を装備。前席だけでなく、後席の後左右席にも備わっています。
万一の災害時に頼りになる給電機能
「クラウン(セダン)」には、ハイブリッドとFC(燃料電池)という2つのパワートレインが用意されていますが、そのどちらにも給電機能が備わっています。
家庭用と同じ交流のコンセント(AC100・1500W)を、センターコンソール後部とラゲッジルームの右側に設置。車を停止した状態で、AC100Vの家電製品を、最大1500Wまで使用することができます。燃料を満タン状態であれば、消費電力400W/時をハイブリッド車で約6日間、FC(燃料電池)モデルで約4日間、提供することができます。
トヨタの最上位モデルとなる「クラウン(セダン)」。ドライバーズカーだけでなく、ショーファーカーとしても使われるため、後席に乗る人のための装備や機能が数多く用意されています。ユーティリティ面では、この部分が新型「クラウン(セダン)」の特徴と言えるでしょう。