「認知症」は、誰もが抱えるリスクの一つだ。認知症が進行してからでは、自分で自分をコントロールできなくなるため、リスクへの備えは早期にしておくことが重要となる。本記事では、認知症保険の概要や自分が認知症になったときに備えて今からできることを紹介する。
認知症は誰もが抱えるリスク
認知症になるリスクは、誰にでもある。そのリスクは決して低くはなく、多くの人が思っている以上に認知症を患う可能性は高い。
そもそも認知症とはどんな病気 ?
認知症になると、脳の神経細胞の働きが徐々に悪くなり、記憶や判断力などの認知機能が低下していく。これにより、社会生活に支障が出てくる。認知症は若くても発症する可能性があり、65歳未満で発症した場合は「若年性認知症」と呼ばれる。
認知症になる確率は ?
内閣府の過去の「高齢社会白書」で公表された推計によると、65歳以上の認知症患者の人数と有病率は、今後以下のように推移していく見込みだ (※各年齢の認知症有病率が一定の場合で推計) 。
<65歳以上の認知症患者の人数と有病率の推計>
年 | 65歳以上の認知症患者数 | 有病率 |
---|---|---|
2025年 | 675万人 | 18.5% |
2030年 | 744万人 | 20.2% |
2040年 | 802万人 | 20.7% |
2050年 | 797万人 | 21.1% |
2060年 | 850万人 | 24.5% |
2025年時点で認知症患者数は675万人、有病率は18.5%となり、約5.4人に1人が認知症になると考えられている。2050年になると患者数は797万人、有病率は21.1%まで増える見込みだ。ちなみに有病率の増加の原因は複数あると考えられており、食事形式の変化や運動習慣の欠如などが指摘されている。
「認知症保険」に加入すれば大丈夫 ?
認知症になるリスクの高さを感じると、認知症保険への加入を検討したくなる人もいるのではないだろうか。ここでは、認知症保険の概要や加入することでどの程度備えられるのかを解説する。
認知症保険とは ?
認知症保険とは、認知症という診断を受けた際に保障を受けられる民間の保険のことだ。加入しておくと認知症と診断された場合に保険金や給付金が受け取れ、認知症の介護に必要となる費用に充てることができる。認知症保険の保険金と給付金に関しては、受取方法を「一時金型」と「年金型」から選ぶことが可能だ。
認知症保険や公的保険でカバーできないことも
ただし認知症保険に加入したからといって備えが万全というわけではない。基本的に認知症保険は「診断を受けると保険金が給付される」という保険だ。その後も認知症の発症に伴ってかかる細かな費用ごとに、一部の費用を負担してもらえるわけではない。そういったシーンでは、公的保険である介護保険の出番となるだろう。
しかし、介護保険でも全ての費用をカバーできるわけではない。介護保険適用外の介護サービスを利用せざるを得なくなったり、自宅での常時付き添いが必要になったりする場合は、家族の負担がかなり増えてしまうケースも少なくない。例えば、介護保険適用外のサービスには以下のようなものがある。
- 散歩や趣味のための外出介助
- 家事のサポートや代行
- 自宅内の家具の移動 など
自分が認知症になったときに備えて今からできること
自分が将来、認知症になった場合の備えとして、今からどのようなことに取り組めばよいのだろうか。
家族の負担を減らすためにできることは、エンディングノートや遺言書を作成しておくこと、そして資産運用に取り組んでおくことだ。
エンディングノートや遺言書の作成
エンディングノートを作成することで、認知症の介護にかかる家族の負担を直接的に減らせるわけではない。しかし、例えば銀行口座の情報や利用しているサービスのID・パスワードを記録しておくことで、家族がこうした情報を探したり、問い合わせたりする必要がなくなり、手間を減らすことができる。
また、遺言書を作成しておけば遺産分配で家族が争うことを避けやすくなるだろう。認知症になると適切な判断ができなくなるため、今のうちから遺言書の作成に取りかかっても決して早くはない。
資産運用をしておく
資産運用でお金を増やしておけば、介護をしてくれる家族に経済面で迷惑をかけずに済む可能性が高くなる。介護で家族の金銭状況が厳しくなると、悪循環に陥りがちだ。なぜなら、家計が苦しいのに介護のために働く時間も確保しにくくなるからだ。
ただし資産運用をするにあたっては、慎重に投資方法を選びたい。基本的にリスクがゼロの投資は存在しないが、安定的にリターンを得られる方法はある。例えば、保有しているだけで円預金よりも高い利息が得られる「外貨預金」などが候補の一つに挙がるだろう。
お金の備えは資産運用でしっかりと
自分が認知症になるかならないかは、誰にも分からない。しかし事前に備えをしておけば、仮になった場合でも周りにかける迷惑を最小限に抑えることができる。今のうちから資産運用を始め、万が一認知症になった場合でも、金銭面で家族に負担をかけることだけは避けられるようにしておきたい。
(提供:大和ネクスト銀行)
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