この記事は2024年6月11日(火)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「小林芳彦氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=fumoto-lab/stock.adobe.com)

2024年6月11日(火)の午前12時半に現役トレーダーの小林芳彦さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

小林芳彦
1979年慶応義塾大学商学部卒、同4月株式会社協和銀行入行。 外国為替研修生・営業店外国為替業務経験後、1987年から本店資金為替部調査役。 インターバンク(フォワード)ディーラー・カスタマーデスクヘッドなどを歴任後、1989年10月よりクレディスイス銀行(資金為替部長)、1997年クレディスイス・ファーストボストン銀行(シニアセールス)、1998年バイエリッシェ・ヒポ・フェラインス銀行(為替資金部長)、2001年バンク・オブ・アメリカ(為替資金部営業部長)で数十社の法人顧客を担当。

現在の為替相場の傾向や相場観

まず、先週7日(金)の米雇用統計に関して疑問が残っている。というのは、確かにNFP(非農業部門雇用者数)は市場予想18.5万人増のところ、27.2万人増と予想を大幅に上回った。しかし失業率は上昇しており、なおかつ2カ所以上で働いている人口が増加、正規雇用は減少しパートタイムが増えているというのが実状だ。

これを見ると正規雇用で解雇された人が生活を維持するために2カ所・3カ所で掛け持ちで働いているということなのだろう。また、NFPというのが事業所別の従業員数のため、1人で3カ所で掛け持ちをすると「3人」とカウントされてしまう。

よってNFPそのものは予想よりも強かったが、こうした背景からデータと実際に相違があるのではないだろうか。なおかつバイデン大統領になってから移民が増加しており、全員に正規の就労ビザがあるとは思えないので、安い賃金で違法な労働をしている可能性もあるのかもしれない。

よってNFPでデータ上、人数は増えていても、実は米国の雇用状況はさほどよくないのではないかという気がしており、どこかでこの状況が吹き出してくるような気がしている。

現在の為替相場の戦略やスタンス

今週の米ドル/円予想レンジは、先週同様、155.00~158.50円でのもみ合いを想定。また、158円ちょうど付近では、当局のステルス介入の可能性が残っていると思っている。

予想下値に関しては、米国の利下げが遠のいていることから、やはり155円は相当堅いと判断している。かといって160円を目指して買っていくのはどうかという気がしており、155円台や156円の前半は買っていくが、157円ミドルから上の158円付近までは買う気になれない。

そもそも経団連など産業界は「日本経済にとって円安はマイナス」と考えているため、160円を超えて跳ねた場合には、また介入が入るだろうし160円を見させない為には158円付近でステルス介入の可能性が非常に高いのではないかと思っている。

こうした状況下のため、先週同様リアルタイムのトレードに徹するのが賢明だろう。

▽米ドル/円の日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。