1988年に入社して以来、生産管理・生産工場運営に携わり、執行役員就任後は生産管理全般の責任者として生産性向上等に取り組む。取締役就任後は経営管理全般の責任者を兼務し、代表取締役を補佐。2021年代表取締役社長に就任し、当社グループの経営理念の実践を通じて持続的成長および企業価値の向上に取り組む。
目次
人的資本経営を推進する3つの柱
ーー人的資本経営におけるこれまでの取り組みを教えてください。
人的資本経営に対する取り組みは、主に3つの柱で進めて参りました。1つ目は、女性の活躍支援推進による女性の管理職比率の向上です。育児と仕事の両立支援や育児休業制度の拡充などの取り組みを行っております。その結果、女性従業員の結婚や妊娠による離職率の低下が見られ、確実に効果が出ていると考えています。
2つ目は、キャリア採用、すなわち中途採用の推進です。当社はここ十数年、キャリア採用を進めてきており、現在の執行役員や管理職ポストの約半数が中途社員で占められております。これにより様々な方々の考えを取り入れることができ、さらなる成長を目指していくことができると考えています。
3つ目は、2023度から始めた経営層と従業員の意見交換会です。現場で働く従業員の方々と経営層が直接話し合い、コミュニケーションが活性化されることで、新たな着眼点での取り組みやエンゲージメントの向上に寄与し、会社の発展につなげていくことができると考えています。これら三つの重点施策を中心にしながら、今後も様々な取り組みを続けていきます。
15年かけて実現した女性が輝く職場環境
ーー人的資本経営の取り組みにおいてどのような点に苦労しましたか
女性の働きやすい環境を整えることに苦労しました。当社は、コンクリート二次製品の製造、販売、施工という業務内容で、男性の職場風土が強く根付いていたからです。しかし、新卒総合職における女性の採用活動を積極的に行い、約15年間継続的に進めてきました。その結果、新卒で採用した女性社員の管理職登用が最近ようやく実現しました。
また、結婚や妊娠、出産など女性のライフイベントを経験後でも活躍し続けるための環境作りも重要だと考えています。最近では時短勤務制度の拡充など、働き方の多様化を進めています。こうした取り組みを行うことで、現職の女性社員だけでなく、男女問わず働き方に変化が見られるようになりました。今後もより良い職場環境の実現に向けて努めていきます。
多様性や柔軟性を尊重する文化が浸透したワケ
ーー取り組みを行う前後でどのような変化があったのでしょうか。
最近では事業部門に女性が配属できるようになったことが大きな変化だと感じています。女性従業員が自身で配置や配属を望んでいることもありますが、事業部門の意識が変わり、従業員の受け入れ体制が整ってきたことが変化の要因と感じています。また、近年では男性従業員の育児休暇取得率も向上しており、会社全体としてワークライフバランスへの意識が高まっています。取り組みが始まった影響で、企業全体の雰囲気も変わり、多様性や柔軟性を尊重する文化が浸透してきていると感じています。
また、経営層との意見交換会を通して、一般従業員のマインドや視点が変わり、新たな気づきが得られることが多くなったと思います。私自身も最初は、この取り組みが上手くいくのかを心配していましたが、多くの従業員があらゆる立場や様々な視点で会社のことを前向きに考えてくれていることが分かり、嬉しく感じました。意見交換会は定期的に開催されており、各部署からの意見を聞くことで私にとっても多くの発見があり、非常に有意義だと感じています。2023年から始まったこの取り組みが、経営のプラスになるだけでなく、従業員一人一人が前向きに取り組む機会が増えることを期待しています。
自己啓発から始まる社会貢献への道
ーー今後の展望と従業員に対して期待することを教えてください。
当社では、サステナビリティ基本方針の中に新たな価値を創造する組織形成と人づくりを掲げており、従業員の成長が企業の成長に繋がり、社会構築への貢献にもつながると考えています。この実現に向けて従業員には、自己啓発や能力開発に努める意識を持ってほしいと思っています。
会社としては何度もお伝えをしていますが、キャリアの具体化やサクセッションプランを遂行し、従業員の向上心をサポートしていきたいと考えています。例えば、研修プログラムの充実やメンター制度を通じて、従業員が自己成長できる環境を整えています。会社と従業員が共に成長していくことが重要だと考え、エンゲージメントの向上を通じて従業員との協力関係を強化し、持続可能な成長を促進するために積極的かつ継続的な取り組みを進めていくつもりです。
日本コンクリート工業からステークホルダーの皆様へのメッセージ
ーーステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いします。
日コングループは、防災・減災や社会基盤の維持、災害復旧、効率化や省力化など、コンクリート製品に対する期待は高いため、当社はさらにビジネスチャンスを拡大できると考えています。そのため、中期経営計画に基づく様々な施策を進めており、グループ内コミュニケーションも順調に進んでいると思います。シナジー効果も生まれつつありますので、ぜひ期待していただきたいと思います。
また、私自身「感謝」という言葉が非常に重要だと考えており、互いの立場を尊重し、感謝の気持ちを持って接することで、解決に向かう課題も多いと思います。そのため、社内外のステークホルダーの皆様とより良い未来を実現すべく皆さんと共に進んでいきたいと考えています。 最後に、厳しい環境にあっても歩みを止めず、持続的成長と企業価値の向上に向けて努力する日コングループを、ぜひ期待していただきたいと思います。
- 氏名
- 塚本 博(つかもと ひろし)
- 会社名
- 日本コンクリート工業株式会社
- 役職
- 代表取締役社長