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(画像=株式会社コスモス食品)
圓井 康輔(まるい やすすけ)
株式会社コスモス食品代表取締役社長
1960年生まれ。兵庫県宝塚市出身
1978年 株式会社コスモス酵素研究所にて発酵技術の開発製造に従事
1982年 株式会社コスモス食品においてフリーズドライ(真空凍結乾燥)の技術開発及び機械開発に従事
1987年 同社取締役海外事業部長として、国内外のフリーズドライ工場機械開発、商品開発に従事
1994年 発酵技術とフリーズドライ技術を融合させた全活循環農法を用いた、無農薬オーガニック農場(NATURE FUTURE FARM)を創設
1996年 同社代表取締役に就任。一貫してフリーズドライ技術を中心とした全活循環農法の活用と商品開発に取り組んでいる。
株式会社コスモス食品
フリーズドライ技術を中心に、宇宙自然の恵みを宇宙自然の力で活かすことに取り組んでいます。
【宇宙自然(COSMOS)の恵みを活かす】宇宙自然の恵み”そのもの”をフリーズドライを中心とした技術で活かす商品の開発を行う。
【宇宙自然(COSMOS)の力で活かす】保存料を使わず物理現象でそのままを保存再現する技術の追求と商品の開発を行う。
【宇宙自然(COSMOS)の循環で活かす】従来の廃棄物も発酵技術とフリーズドライ技術の活用でThe Circle(全活循環)させることを使命とする。

目次

  1. これまでの経歴や事業変遷
  2. ブレイクスルーとなった出来事について
  3. PDCAを回す上で重要視していること
  4. 今後の経営・事業戦略や展望
  5. ZUU onlineのユーザーに向けて⼀⾔

これまでの経歴や事業変遷

ーー まず初めに、これまでの経歴や事業の変遷について教えていただけますか?

株式会社コスモス食品 代表取締役社長・圓井 康輔氏(以下、社名・氏名略): 我々は1968年に創業し、フリーズドライを専門で行っている会社です。祖父が創業した会社になりますが、創業前祖父は環境試験機の開発を行っておりました。高度成長期以前だったため、様々な製品を多様な環境で試すことは難しく、そのような環境を作る機械を開発していました。

その環境を利用して、自動車やロケットの部品の開発に携わっている中で、この技術を転用し、食品保存を行えるのではないかと気づき、フリーズドライ製法の食品を販売するに至っております。その後は宇宙食を作ることを目指してフリーズドライの開発を続けております。環境試験機を利用すると、圧力や温度をコントロールできるため、その状態でも栄養を維持できる保存食を開発する取り組みもしていました。

ーー フリーズドライにはどのような歴史があるのでしょうか?

圓井 :フリーズドライ技術は、第一次世界大戦の頃にドイツで開発されました。戦場で緊急手術を行う際に血液が足りないという問題があり、血液を現地に送ると腐ってしまうことが問題でした。そこで、血液を真空中で水分だけを飛ばす技術が開発され、現地で輸血ができるようになりました。これがフリーズドライ技術のはじまりです。

その後、スイスのネスレ社がフリーズドライ技術に着目し、第一次世界大戦後にコーヒーなどの食品保存に利用し始めました。現在では、世界的な食品保存技術として広まっています。

ブレイクスルーとなった出来事について

ーー ブレイクスルーとなった出来事について教えてください。

圓井 :我々は何度も厳しい段階を経験しましたが、それが現在のブレイクスルーにつながっております。その一つはあるメーカーの下請けをしていた時代にありました。

フリーズドライは良くも悪くも乾燥する前の状態をそのまま残すことができます。その下請けをしていた当時は化学調味料をたくさん含んだ商品が溢れかえっており、そのような食品のフリーズドライをしていた際に社員の方が「これは家族には食べさせられないな」と言うほど、この状態は課題でした。

そこで、フリーズドライの製法だけでなく、フリーズドライをする前の食品から自社で開発することに踏み切りました。自分たちでタイにオーガニックの農園を作り、どのような方にも受け入れられるようなフリーズドライ製品の開発に踏み切っており、その中でも農地開拓やコストの観点で障壁はありましたが、それを乗り越えて現在に至っております。

ーー 貴社はどのような企業を目指しておりますか?

圓井 :我々は全活循環と呼んでおり、すべてを生かし、循環を活用していくことを目指しています。例えば、オーガニックで無農薬のほうれん草を栽培し、フリーズドライしてお客様に届けていますが、その過程で捨てるべき200トンの廃棄物が出ます。それを発酵させて調味料にし、さらに発酵させて農地の肥料として使用することを通じて循環させています。

宇宙食というのも考えており、宇宙に行くためにフリーズドライして軽くし、保存できるようにする必要がありますが、それだけでは無理だと考えています。地球自体が宇宙船のようで、循環しないといけないと思っています。食品メーカーとして、循環していくものを作っていくのが使命だと考えています。

PDCAを回す上で重要視していること

ーー PDCAを回す際に重要視していることについて教えてください。

圓井 :私たちがPDCAを回す上で大切にしていることは分析です。PDCAのAをAnalyzeとして弊社では分析を指しており、フリーズドライの工程や商品の味のブラッシュアップでは常に分析を大切にしてきました。

かつて下請けをして商品開発を行なっていた際には、ノウハウを蓄積することができず、もう一段進化させることができておりませんでした。

そこで商品をブラッシュアップすべくPDCAを回すようになり、その中でAをAnalyzeとすることが一番商品開発で重要だと気づきました。例えば、現在目立った宣伝をしなくても販売数が伸びているワカメスープは分析の賜物です。

当初、原料となるわかめを現地に調達する際に、生産量の限度があったことから生産者の方に原料の提供を断られてしまいました。そこでどうしたら材料を分けてもらえるのかということに着目をし分析した結果、生産量を伸ばすために人員不足を補うべく弊社の社員も生産を手伝えばいいのではないかと思い、それを実行しました。その結果、原料を提供していただけるようになり商品開発が始まりました。

その後もフリーズドライの中でもいかに食感を残すか、栄養価を残すのかをAnalyzeをし続けて改良した結果が今のワカメスープの販売数に繋がっており、弊社ではPDCAのAをAnalyzeとすることにこだわっています。

今後の経営・事業戦略や展望

ーー 今後の事業戦略や将来の展望はどのようにお考えですか?

圓井 :今では海外の引き合いも多く、今後は海外進出も検討しています。日本食の場合では、だし汁の取り方など海外の方や、海外に住んでいる状態だと再現しにくいことが多いです。その状態を再現するような商品の開発を通じて、海外への進出を考えています。

日本の伝統的な文化が希薄化していく中で、海外の人にも家庭で食べれる日本の味を提供することで日本文化を次の世代に繋ぐ一部になっていきたいです。

ーー 国内外での事業展開において課題は何でしょうか?

圓井 :課題としては、日本の良質な材料を守り続けることが挙げられます。地方には、とても良い食材があるのですが、地方に留まっているために売り上げを拡大できずそれを継承していく人が少なくなっています。その課題に対して、フリーズドライ技術を活用して、良質な材料を保存し、それを商品として全国提供することで、日本の良さを守っていきたいと考えています。

株式会社コスモス食品
(画像=株式会社コスモス食品)

ZUU onlineのユーザーに向けて⼀⾔

ーー ZUU onlineのユーザーに向けて一言お願いいたします。

圓井 :ぜひ一度私たちの商品を食べていただきたいです。フリーズドライには昔の乾燥食品のようなイメージもあるかもしれませんが、今はかなり進化しています。フレッシュな感触や人工的な調味料も使わずに作った美味しい商品もたくさんあります。地方の食品を扱った商品も増えてきているため、その観点にも着目して企業全体を応援していただけますと幸いです。

氏名
圓井 康輔(まるい やすすけ)
会社名
株式会社コスモス食品
役職
代表取締役社長